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終焉の呪い子たち(さいごののろいごたち)  作者: 藤宮空音
第3章 生徒会編

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【第28話】初仕事(見学)②

「クソ……ッ、こうなったら……!」

「必殺技……!」


そう言って2人が新たな呪文を唱え始め──る前に、ロイリーが即座に魔法を発動する。


さすが、生徒会メンバー。高度な技術を必要とする無詠唱で魔法を発動している。そのせいか、魔法の発動がめちゃくちゃ早い。

ものすごい速さで、2人の間に木や、植物の(つた)で出来た壁が編み上がった。


「ふーー、間に合った〜〜! もう! ダメッスよ! 無許可の魔法戦は! お2人さん!!」


ロイリーは、先ほどまでものすごく真剣な顔をしていたから、突然その口調で喋られると、なんだか拍子抜けする。

当の2人はというと、大きな魔法にびっくりして腰を抜かしたようだった。


「何年の何クラスの何さんッスか!!」


ロイリーが2人の元に進みながら、そう問いかける。

たどり着く間に、大きな植物の壁はメキメキと音を出して編み目を(ほど)きながら地の底に潜り、元通りの真っ(たいら)なグラウンドが現れた。


「すごい……勝手に戻るんだ」

「あ、それ、30秒で元に戻る指示を追加で組み込んだんスよ〜!」


レミアが思わず感嘆の声を漏らしていると、ロイリーが振り返ってにこにことしながらそう言う。


「……え!?」


(あの一瞬で……!?)


さすが生徒会メンバー、恐るべし。

ロイリーに対する好感度が、グングンと上がっていく。(もっと)も、ロイリーへの好感度は最初から高い位置にあるが。



ロイリーが彼らの名前を聞いて、少しお小言を言い、彼らを帰す。すると、問題児2人は逃げるように演習場を出て行った。



「も〜〜〜、ホント困るッスね。仕事増やさないで欲しいッス〜〜!」


ロイリーは眉を下げ、口角を落としながら、普段より少し大きな声でそう叫ぶ。


「ロイリー先輩、さすがです……! あんな高度な魔法を一瞬で!」

「いや〜、そんなことないッスよ! 植物系の魔法が1番得意なだけッス! 無詠唱も頭の中に呪文をイメージして、それを素早くなぞるだけッスから!」


(それが難しいのに……!)


レミアが素直に褒めると、ロイリーはたはは〜と笑って卑下(ひげ)してしまう。その姿に、レミアは少し悲しくなった。


(本当にすごいのに、伝わらない……)


ロイリーは、そんなレミアの様子を見て、慌てて付け足す。


「でもありがとうッス! 褒めてもらえると、やっぱ嬉しいッス!」

「……!! はい! ロイリー先輩はすごいです!!」


なんだかんだ言葉を受け取ってくれたロイリーに、レミアは嬉しくなる。伝わって良かった、と思った。


「そういえば、レミアちゃんは──」

「あの!」

「……?」


レミアは少し引っかかっていることがあって、話し始めたロイリーを制止する。


「あの……、その"レミアちゃん"っていうの、ちょっと慣れなくて……。すみません、最初に言っておくべきだったんですけど……」


言うタイミングがなくて……、と、レミアはごにょごにょと付け足す。


「あ!!! 配慮出来てなくてごめんッス! 馴れ馴れしすぎたッスよね……」


犬が、耳としっぽを垂らしてしょげてしまうように、ロイリーは何とも悲しげにしょんぼりとしてしまった。

それを見ていると、なんだか可哀想になってくるほどだ。


「あっ、いえ……! 馴れ馴れしいだなんてそんな! 仲良くしていただいて嬉しいです! えっと、ほら、あの……、"ちゃん"に慣れないな〜と思っただけなので……! 逆に"レミア"とかどうですか!?」


レミアは思い付く限りを尽くしてロイリーを励ます。


「レミアで……? ……え、!? レミアでいいんスか!?」

「むしろ、レミアの方が呼ばれ慣れてるのでしっくり来ます!」


レミアが拳をグッと握り込んでガッツポーズのような仕草を見せると、ロイリーは嬉しそうに顔を輝かせた。


「じゃ、じゃあ! 改めてよろしくッス! レミア!!」


犬の耳としっぽが喜びでピン!と立っているのが見えそうなくらいだ。ロイリー先輩は、ワンちゃんだ。レミアはそう思った。


「──で、さっきの続きなんスけど、レミアは何の魔法が得意ッスか?」

「え゛っ……」


そう聞かれてレミアは固まる。


得意な魔法など、いまだ見つかっていない。


レミアはAクラスに入って、初めて受けた実技の授業を思い出していた──。




***


初めての実技の授業。

今まで、ずっと1人、見学だった惨めな授業。


レミアは少しワクワクしていた。


(これで私も実践魔法の練習が出来る……!)


クラスの皆は、少し遠巻きにレミアを注目している。

やはり、紫ピンズの実力は皆の気になるところらしい。


「はい、じゃあね、みんなね、今日はね、特別な授業になりますよ〜」


担当の先生が独特のリズムでゆったりとそう言うと、皆の注目がそちらに動く。


すると、別の方向から元気な女性の声がした。


「ウッス! オッス! チョリーッス! Bクラスでっす!」

「じゃあね、今日はABクラス合同でね、魔法ドッヂをやってもらうからね」


声のした方を見れば、クセの強そうなギャルっぽい先生がおでこの近くで、いえーい、とピースをしていた。


魔法ドッヂ、と聞いて、そこかしこから、うぉぉお!とか、やったー!などの喜びの声が聞こえる。


(魔法ドッヂ……! 楽しそう!!)


魔法ドッヂ

──それは、特殊な結果が張られた演習場でのみ、やることが出来る、魔法使用可のドッヂボールのことだ。


レミアも中等科のとき、一度だけやっているところを見学したことがある。

そのルールの性質上、相手を攻撃可能なため、倫理観的な観点からか、比較的低学年にはあまり推奨されていないらしい。そのため、体験出来る機会はそう多くなかったのだ。


「んじゃ、みんな、あーしに付いてきてね〜ん」


ギャル先生がそう言い、皆を引率する。レミアもウキウキしながら、ぞろぞろと流れに乗って付いていこうとすると、後ろから、優しく肩を掴まれる。


「君はね、こっちね」


振り返れば、Aクラス担当の先生が(そば)に立っていた。


「僕とね、マンツーマン」

「……えっ」


レミアの口からは思わず悲しみの声が漏れる。


後から聞いたところによれば、レミアはものすごく悲壮感のある顔をしていたらしい。

先生は、思わず「魔法ドッヂ行っていいよ」と言いそうになったという。


思ったよりも文字数が伸びたため、また変なところで切ってます。すみません……。


閲覧ありがとうございます!

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