【第26話】生徒会へようこそ②
※第25話(生徒会へようこそ)のタイトルを変更しました。
生徒会へようこそ→生徒会へようこそ①
「レミア・ミュー。君をユーヴェリア学園高等科、生徒会に歓迎します」
先ほど言われたその言葉を頭の中で繰り返す。
(なんで……!?!?)
わけがわからなくて、レミアは困惑する。
(なんで私が生徒会に? 1年生の生徒会メンバー選抜はもう終わったんだよね……!?)
レミアはイレーナが校門前で抗議していたのを思い出す。そしてもう一つ、最悪なことを思い出した。
(まずい……! イレーナの恨みをまた買うかも)
黙っていてもしょうがないので、レミアはおずおずと質問することにする。
「あの……1年生のメンバー選抜は終わったかと思うんですが…」
「そうだね」
「……」
「……」
(えっ、話し続けてくれないの!?)
ルクスは一言そう言ったきり、こちらを見て黙っている。
(怖い! 怖いよ!! 無言で見つめないで!! っていうか瞬きしてる!?)
あまりにも人形のように微動だにしないルクスに怯え、焦った頭が余計なことを考え出す。
すると、机の一番向こうの右端の方で、はぁ、とため息を吐く声が聞こえた。
「会長。それではあまりにも説明不足かと」
そう言って話し出したのは、エメラルド色の瞳と、ハニーブロンドのポニーテールが印象的な女子生徒だ。背筋をピンと伸ばし、きちりとした様子で椅子に座っている。
「生徒会メンバーの選抜は、毎年、学年に関わらず6月に行われます。生徒会メンバーになるためには、ここで選ばれなければなりません」
「そーそー! この選抜のときに、自分で立候補するか、今いる生徒会メンバーに選ばれないといけないッス!」
女子生徒の説明に、彼女の向かいに座っていた男子生徒が口を挟む。
軽そうな口調でそう話す彼は、薄ピンクの髪に、人の良さそうなタレ目が特徴的だ。そして、右目の下には、印象的な泣きぼくろが添えられている。
彼女は彼の方をジロリと睨む。
「ロイリー先輩、今はその説明をするつもりはなかったのですが」
「え、あれ!? そうなんスか!? クラリスちゃんごめんッス!」
ロイリーと呼ばれた彼は、ぱん、と両手を合わせ、ごめんのポーズでたはは~と笑いながら謝る。
クラリスと呼ばれた彼女は、はぁ、とため息を吐いたものの、説明を続けてくれた。
「……立候補したり、既存のメンバーから推薦されるだけでは生徒会メンバーにはなれません。既存の生徒会メンバー全員からの同意が必要になります。もちろん、本人の同意も必要ですが……。
そして今年、それをくぐり抜け、晴れて生徒会メンバーになった唯一人が彼、というわけです」
クラリスはそう言って、手の平を上に向けてアンバーを紹介するように示す。
急に注目されたアンバーは、ほんの一瞬だけ目を泳がせると、ムスッとした顔でフイと横を向いてしまった。
「彼はロイリー先輩の推薦による立候補でしたが、水色ピンズで筆記、実技ともに成績優秀。ロイリー先輩とも交流があり、既存のメンバーとも上手くやれるだろう、との見解から満場一致で合意を得て生徒会メンバーとなっていただきました。彼の将来」
「クラリス先輩!」
クラリスがそのままスラスラと喋ろうとすると、慌ててアンバーが止めに入った。
「僕の話はもういいですから!」
アンバーは、いつもより少し大きな声を出して、眼鏡を押さえるフリをしながら目元を片手で軽く隠す。
(感じが悪い人だと思ってたけど、もしかして照れ屋なだけなのかな……?)
レミアの中で、彼に対する好感度が少し上がる。
話を止められたクラリスは、「そう?」という顔をしながらも、アンバーの意思を尊重し、その話はそこでやめた。
「……そうですね。以上が一般的な場合の生徒会への入り方です。その他、生徒会メンバーが長期休学など、なんらかの理由で欠員になった場合、必要に応じて、6月以外に先ほどの手順を踏んでメンバーを入れることもあります。が、」
そこで言葉を区切り、クラリスは手を組み、目を伏せる。
「あなたの場合は、今説明したどちらでもありません。特例中の特例。……いいえ、異例です」
そして、たっぷりと間を空け、レミアの方を見据えて言う。
「あなたが生徒会メンバーになったのは、国の意向です。この場にいる誰も、もちろん、本人であるあなたも、これを断る権利はないのです」
(え……!? 国!? なんで……!?)
レミアは思わず、隣に立っていたルクスの顔を見る。ルクスは、表情を変えずにこくり、と頷いた。
クラリスの方に視線を戻せば、彼女は薄っすらとこちらを睨んでいるし、その向かいに座るロイリーを見れば、力なさそうに笑ってこちらを見ているし、アンバーは相変わらず全く視線もくれなかった。
「え……、えと、……どうして私が……国の意向で……?」
レミアは混乱しつつも、近くに立つルクスにそう問う。
ルクスは質問相手として間違っているかもしれないと思ったが、もう口に出した後だった。
ルクスは珍しくにこりと笑ったかと思うと、次の瞬間、こう言った。
「わかんない」
「……へ?」
(そんなにっこりとしながら「わかんない」って……!?)
レミアは今までの話での混乱と同じくらい、ルクスの性格に衝撃を受ける。
(クールで怖い人かと思ってたけど、なんか、幼い……!?)
「はぁ…………。会長」
「だってクラリス。僕にも君にもわからないことなんだから、こう答えるしかないよね?」
「いや、そうなんですけど……」
レミアはさすがにクラリスに同情した。
間違ったことは言っていないが、何と言うか……、体裁……?的な問題というか……。
「まぁ、いいでしょう。
そういうことで、あなたは今日から生徒会メンバーです。でも私はあなたをまだ、認めていません。精々頑張ることね」
クラリスはそう言うと、フンとよそを向いてしまった。
「まぁまぁ、クラリスはあぁ言ってるけど、僕は歓迎するよ」
ルクスはにこ、と笑ってそう言ったかと思えば、怪しく目を細めて続ける。
「戦力はちょうど欲しいと思ってたところなんだ」
レミアは背筋が凍るような思いがして、ぶるりと震える。
(一体どんな量の仕事を任されるんだろう……!?)
「はいはーい! 俺も歓迎するッスよ! レミアちゃん──あ、レミアちゃんって呼んでいいッスか? と同じ書記なんで俺!」
ロイリーが元気良くそう言うと、
「僕は認めない……!」
と、唸るような声でアンバーがこちらを睨みながら言った。
(や、やっぱりロイリー先輩以外からはあんまり歓迎されてる感じがしない……!)
「よ、よろしくお願いします……」
拒否権がないということで……。
今すぐ回れ右をして帰りたい気持ちを抑えながら、内心半泣き状態でレミアはぺこりとお辞儀をした。
ピンズの色の順番
(魔力が大きい順)
紫→青→水色(ここまでが一般的に優秀と言われる上位色)
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