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終焉の呪い子たち(さいごののろいごたち)  作者: 藤宮空音
第3章 生徒会編

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【第25話】生徒会へようこそ①

章のタイトルを変更し、小分けにしてみました。

(学園生活編→魔力発現編に変更。生徒会編追加)

視界は紫で埋め尽くされている。


誰かが自分の名前を呼んでいる。


あぁ、またこの夢だ、そう思った。


男の子が2人、女の子が1人、こちらを向いて何かを言っていた。


あともう少し。

もう少しで顔が見えそうなのに。


黒いモヤがかかったかのように、誰の顔も見ることは出来なかった。


──突如頭の中に声が響く。


奪え! 奪え!! 奪え!!!


ハッ!


レミアは汗だくでガバッと起き上がった。


寝起きの、よく回っていない頭で、ゼェハァと肩で大きく息を吸っている自分を段々と認識する。


「…………また、この夢……」


レミアはぼんやりとしながら、ベッドサイドの目覚まし時計を眺めていると、脳が急に時間を認識し始める。


(……。8時。…………。──8時……? 8時!?!?)


「ヤバッ!? 遅刻する遅刻する……!!」


かけ布団を大きく飛ばし、1人で寝るには随分と大きいベッドの、真ん中から端まで。

急いで移動して、降りて立ち上がる。時刻は8時。いつもより30分も遅い目覚めだ。


近くで寝ていたらしいノアが、飛んできた布団の中に埋もれ、にゃ~、とくぐもった不満の鳴き声をあげる。


「ぷはっ! んにゃ〜……、何? 人間は時間という概念に縛られて(せわ)しないなぁ〜」


あれから結局、ノアは1人で寮まで帰ってきたらしい。さすがだ。


レミアは、机の上にそっと飾ってあるピンズを急ぎつつ、でも丁寧に取って首にかける。

エドワルドを真似して、ネックレスみたいになるように紐をつけたのだ。それをそのまま服の下に隠す。


首にかかるその重みが、少し嬉しかった。

何も紫である必要はなかったけど、魔力を得たことはやっぱり純粋に嬉しい。


「ノア! 私もう行くね!」

「行ってらっしゃ〜い」


ノアはバタバタと部屋を出て行くレミアを静かに見守り、大あくびをして二度寝についた。



***


レミアは朝ごはんも食べずに寮を急いで出たが、食べないのであれば、普通に歩いても余裕で間に合う時間だと気付く。


「……ごはん……食べると遅刻……。食べないと余裕……。食べたかった……!」


そんなことを呟きながら、学校の門をくぐる。


教室の前までたどり着くと、前方にイレーナが見えた。

イレーナはこちらに気付くと、一瞬だけ睨んでさっさと教室の中に消えていってしまった。


なんと、イレーナを飛ばし回したあの日から、イレーナは全く突っかかって来なくなったのだ。


(私に興味が失せたのかも……)


元々イレーナは誰彼構わず当たり散らすタイプだし、移り気の激しいタイプだということを思い出す。


(まぁそれならいっか。私もイレーナにはそんなに興味ないしなぁ)


「邪魔」


そんなことを考えていると、後ろから声をかけられる。

そういえば、教室の扉の前に突っ立っていた。


「あ、ご、ごめんなさい……」

「……」


レミアが急いで横に退()くと、声の主は特に何か言うでもなく、こちらを見ることもなく、そのまま無言で教室に入っていった。


(……感じ……(わる))


レミアはそう思いながら、癖毛の黒髪の彼の後ろ姿を見つめる。


(……ん!? あの人、生徒会のアンバーって人だ! この前の英雄伝説授業のときに、呪い子のことを知ってるだとかなんだとか言ってた……)


キーンコーン。


(まずい! 鐘の音だ!)


今日の朝は遅刻スレスレで飛び出してきたのを思い出す。

朝ごはんを抜いたことで時間に多少余裕が出来ていたが、扉の前でぼーっとしている場合ではなかった。早く席につかねば。


レミアはぐぅうう、と派手になるお腹を押さえながら急いで自分の席についた。



***


時刻は17時すぎ。

本日全ての授業が終わったところだ。


なんだか廊下が騒がしくて、自席からチラリとそちらを伺う。

開いた扉から人だかりが見えるくらいで、そこに何があるかまではわからなかった。


(なんだろ。後で見に行こうかな)


いや、でも後になっても「皆が興味のあるそれ」がそこにあるとは限らない、と思い当たる。


(生き物とかだったら動いちゃうよね……? みんなが興味のある生き物って何だろう……? ハッ! まさか――)


レミアはふと心当たりを感じて焦る。


(ノアなんじゃ……!?)


レミアは猫撫で声でかわい子ぶりっ子しながらゴロニャーと鳴くノアを想像する。


(絶対そうだ……! みんながあんなに夢中だなんてもう猫しかない!! ついに学校までついて来ちゃったのか……!)


そんなことを考えながらレミアが頭を抱えて俯いていると、ふと、視界の端に影が落ちる。


人の気配を感じてバッと顔を上げると、目の前にはなんて綺麗な顔──。

ユーヴェリア学園高等科、生徒会長のルクス・ウォーレーが立っていた。

相変わらず、薄っすらと青みがかった、透けるようなシルバーの髪と、色素の薄い蒼い瞳が美しすぎて目立つ。


「……睫毛(まつげ)(なが)

「……」


思わずポロリとひとりごとが(こぼ)れる。目の前の彼は特に何も言わなければ、にこりともしない。


(怖すぎ……! 怒らせた……!? ごめんなさい! 脳と口が一時的に直結しちゃってただけなんです! ……誰か助けて!!)


レミアはぶるりと震える。よく見てみれば、教室中のみならず、廊下の群衆たちからも一斉に注目されていた。


(何!? 助けて!! ノア! おじさん!! やっぱり紫ピンズは嫌です!! でも魔力は欲しいです!!)


レミアは焦りのあまり、この場にいない者にまで助けを求め始め、思考は変な方向に行く。


(っていうかみんなの注目の的って──ウォーレー先輩……! 全然ノアじゃない! 生き物だったけど!!)


レミアは顔には一切出さず、内心暴れまくっていた。

(はた)から見れば、ものすごく冷静に対処しているように見えるだろう。「睫毛長」とは言ったが。


「……君がレミア・ミュー?」

「……そ、そうです」


(この人が自分に、一体何の用……?)


レミアは怪訝(けげん)に思いながらもそう答える。


「そうか。じゃあ、一緒にこっちへ」


そう言うと、ルクスはくるりと背を(ひるがえ)して教室の扉までさっさと向かう。


(えっ……。ついてこいってことですか……!?)


レミアは焦って追いかける。


ルクスが近くに来ると、群衆は皆距離を取り、バッと行く先を開けた。

人でいっぱいで、先も見えなかった廊下に、瞬く間に一本道が現れる。


(なんか……磁石みたいだ)


ルクスと群衆が、まるで、弾き合うN極とS極のようだ、と思いながらルクスの3歩ほど後ろを歩く。


群衆が常に両脇にいて、ジロジロと見られる。

心地の悪い花道を通っているような気分だった。


「着いたよ」


ルクスがそう言い、他と違って白く、大きな扉の前で止まる。扉の上を見上げれば、「生徒会室」と書いてあった。


(……生徒会室!? なんで!? 私何かした!?)


そんな心配をよそに、ルクスはガチャリと扉を開ける。


促されるまま中に入ると、大きな机を囲み、3人の生徒が着席していた。


にっこりとしながら、こちらにひらひらと手を振ってる1人を除き、残りの2人は見向きもしなかった。

そのうちの一人をレミアは知っていた。癖のある黒髪に、黒縁メガネ。アンバーだ。


「みんな、連れてきたよ」


ルクスがそう言うと、他の2人もやっとこちらに目を向ける。……睨まれているように感じるのは勘違いだろうか……?レミアが思わずそう感じるほど、2人の表情は険しいものだった。


「改めて。……あれ、改めてないか。まぁいいや」


そう、ぶつぶつ呟いたかと思うと、ルクスはこちらを真顔で見据える。相変わらず感情が読めない──と、言うよりは、表情の乏しい顔で彼はこう言った。


「レミア・ミュー。君をユーヴェリア学園高等科、生徒会に歓迎します」

「………………………………え?」


この場にいる、ほとんどの人間から歓迎されているとは到底思えない空気の中、レミアは1人困惑する。


(「生徒会に歓迎します」……!?)


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