表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
終焉の呪い子たち(さいごののろいごたち)  作者: 藤宮空音
第2章 魔力発現編

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

17/68

【第16話】建国神話

結局、レミアは一番上位クラスのAクラスに行くことになった。

なんと、イレーナの所属クラスだ。


教壇に立たされている今、イレーナからはものすごい形相(ぎょうそう)で睨まれている。

思わず目を逸らし、他の人の顔にざっと視線を滑らせたが、ほとんどがこちらを凝視しており、居心地が悪い。

結局レミアは遠くの天井を見ることにした。


「では、ミュー。自己紹介をしてください」


レミアは「本当に? 嫌なんですけど……」という思いを込めて、おずおずと担任──クレディ先生の顔を見つめる。

クレディには特に伝わらなかったらしく、こくりと頷かれた。早く自己紹介をしろということだ。


「レミア・ミューです。……よろしくお願いします」


レミアはそれだけ言うと、ペコリと頭を下げた。

ぱらぱらとまばらに拍手が鳴った。あまり歓迎はされていない様子だ。

それよりも、ざわめきの方が大きい。


よく耳を澄ませば、


「なんであの子が?」

「学期の途中にクラス変更なんて聞いたことないけど」

「おもしれぇじゃん」

「急にAに来てついてこれるのかな」

「でもあれでしょ? イレーナをぼこぼこにしたって噂の」


などなど、色々と言われていた。

イレーナの件は、もう全員忘れてほしい。横暴なイメージが付くのは遠慮したいところだ。


(まぁAクラスはプライド高そうだし、みんな自分が1番を目指してる人だから歓迎はされないよね……)


紫ピンズということと、魔法を初めて扱ったわりには出来ている方、だったらしく、その2点を考慮しての結果らしい。学期の間にクラス変更など、本来はあるはずもなく、今回はレミアだけの特別移動措置(そち)となった。


(クラスなんてどこでもよかったのに、よりにもよってAだなんて……)


レミアはこっそりとため息を吐く(つく)


そんなこんなでレミアはAクラスに編入することになったのだ。



***


一転。

レミアはAクラスの授業を楽しんでいた。


(さすがAクラス……! 教えてくれる先生の質が高いし、段取りもしっかりしててわかりやすい……!)


先ほど受けた魔法数学の授業が大変わかりやすかったために、レミアは興奮していた。

Eクラスを受け持っていた先生など、ボソボソ喋るし話が飛ぶし、計算式も飛ぶしでわかりにくいことこの上なかったのだ。


「では皆さん、今日は建国の歴史について学びます。現代史にも繋がるところがありますから、しっかりと勉強するように」


そう、今は魔法史の授業が始まるところだ。


「みなさん、創始の魔女、メリー・ルンノベのことは知っていますか?」


魔法史担当のクレディ先生は教室を見回し、生徒の反応を確認する。

頷いている人もいれば、何かしらメモしている人、ぼーっとしている人、すでに眠気と戦っている人……など、皆それぞれの反応を見せていた。


メリー・ルンノベについては、もちろんレミアも知っていたので、少し頷いてみせる。


「そう、彼女こそがこのルンノベ王国建国の母。有名ですね」


クレディはそう言うと、建国神話を語り始めた。



――――――――――


──昔々、世界は一つでした。


その時代、魔法は存在していませんでしたが、あるときから、魔力を持った人間がぽつぽつと生まれ始めました。


「なんだ! この光は!?」

「とっ、特別な力だ! 緑を再生し、土地を豊かにすることができるぞ!」


それが、最初の魔導士たち。私たちの遠い遠い祖先です。


最初、人間と魔導士は、助け合いながらともに暮らしていました。


「井戸の水が重くて運べないんだ」

「そうか、では私が魔法で持ち上げて運ぼう」


しかし、段々と人間は魔導士たちの魔法に頼ってばかりいるようになり、さらにその上、魔導士たちのことを恐れ、数の優位を使って差別するようになったのです。


「おい! 魔導士! ここの草を刈っといてくれよ!」

「ひぃぃぃ! そこの魔導士が森をまるごと燃やしているところを見たんだ! このままじゃ俺たちの村もいつか焼かれちまう!」

「ちっ、ちがう! わざとじゃないんだ……! どうか怖がらないでくれよ……!」

「出ていけ! 人殺し!!」

「な、なんで……、どうして……!」


そこで、魔導士たちは考えました。

彼らと我々は別々に暮らすべきなのだと。


「人間とはもう一緒に暮らせない。お互いに傷つけあってしまうのなら、離れて暮らそう」


そして、当時一番力のあった、メリー・ルンノベに相談しました。


「そう、いい考えね」


すると、彼女はその類稀(たぐいまれ)なる頭脳と、魔力、魔法操作で異空間を作り出し、結界を編み上げ、そこに王国を築いたのです。


「おぉ! なんと素晴らしい! メリー様万歳!!」

「王国の名前は、メリー様の名前からいただいて、ルンノベ王国にしよう」


それが、表世界との断絶、ひいては裏世界の起源であり、ルンノベ王国の始まりだとされています。


――――――――――


クレディは余韻たっぷりに語り終わると、なんともアンニュイな表情で窓の外を見た。


なんと、建国神話(迫真の演技付き)だとは恐れ入る。


「これが、建国神話です。諸説あるとは言われていますし、メリー・ルンノベにここまでの力があったかは──」


クレディは余韻に浸っていたのかと思えば、こちらに向き直り、また淡々と説明を始める。

なんだか思っていたのと違っておもしろい人だ。


「これ以降、メリー・ルンノベの血を引く、ルンノベ家が代々国王を務めています。現在の王は、有史以来、第136代目と言われており、オルロード・ルンノベ様が務めておいでです」


レミアは真剣に授業を聞き、感動していた。

今までこんなに詳しく学ぶ機会など、本の中以外ではなかったからだ。


(Aクラスに来れて良かった……!)


どうでもいいと思っていたクラス分けだが、質の高い授業を受けられたことは、レミアにとって代えがたい体験となった。


「では、次は英雄伝説についてです」


(次はどんな風に教えてくれるんだろう……!?)


クレディがそう言うと、レミアはワクワクした表情で彼女を見つめた。

閲覧ありがとうございます!

高評価、ブクマ、感想、リアクションなどなど、大変励みになっております!ありがとうございます!

まだの方もぜひ応援していただけるとモチベに繋がって嬉しいです!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ