【第14話】学校へ
主人公の望みと、話の向かう先がハッキリしてないのはよくない!と思い、レミアの望みと、大体どんな話かというのを改めて設定し直しました。
これは
普通の幸せな生活を夢見る少女の、人生を見届ける物語
です。
降りかかる運命に翻弄されながらも、抵抗し、受け入れ、選択し、仲間とともに懸命に生きる姿を見届けることができる話を目指しています。
それに伴い、あらすじ、第1話(魔力0の少女)、第8話(水面下)を1〜2文ずつ加筆しています。
長々と失礼いたしました。
それでは本編をお楽しみください!
タタタッと物陰に隠れながら寮の中を移動する。
レミアは人の視線から逃れるために必死だった。
今日は朝から一苦労だ。
学校に着いて来たがるノアを説得し終えたかと思えば、先ほどは食堂で大注目されてしまった。
朝ごはんを食べるため、いつものように学生証をかざすと、朝ごはんに選択肢が生まれていた。
その中で一番少なそうなものを選んだのだが、それでも豪華すぎて、
今まで冷製スープばかり食べていたあの子が……!?
と一同をザワつかせてしまった。
その一件で、1年生以外にも噂が広まるのは時間の問題だろうとレミアは思う。
(1年生の間には、事件のことはもう広まってそうだしな……)
イレーナとレミアの事件には目撃者はいないはずだが、イレーナが黙っているわけがない。
それに、跳ね返った魔法で校舎に何かしら傷がついている可能性もゼロじゃない。
そういえば、イレーナは無事なのだろうか。
イレーナも少しくらい痛い思いをすればいい、という気持ちはあったが、さすがに命にかかわるような怪我をしていたら嫌だな、とも思った。
そんなことを考えつつロビーまで降りると、なるべく俯いて、人の流れに紛れながら寮を出た。
(制服にフードがついてたらいいのに……!)
レミアはそう思いながら、足早に学校へと向かう道を歩く。
その途中、新聞のような紙が落ちているのが、遠目ながらに見えた。スルーしようとしたが、近づくうちに、ものすごく気になる見出しになっていることに気付き、思わず手に取る。
「号外! 紫ピンズの保持者出る! さすがルンノベ王国最高峰の学園、ユーヴェリア……」
(はぃ……? 紫ピンズの保持者は、その、国最高峰のユーヴェリアで虐げられていたんですけど……)
さすがも何も……。
レミアは見出しを読み上げると、さもユーヴェリアが育て上げたというような記事に嫌悪感を覚えた。よく読まなければ、魔力成長して紫になった、という風にも見える。
記事をよく読んでみたが、魔力が後から発現したということは全く書かれていなかった。
(意図的に隠しているか……、または本当に情報が出回っていないか……)
と、レミアは思考する。
「っていうか情報回るの、早すぎる……! これ新聞だよね!?」
レミアはそう呟いて、新聞をとりあえず畳んで鞄にしまう。元の場所に戻して、情報が広まる手助けをするのはなんとなく嫌だったからだ。
尤も、そんな小さな抵抗くらいでは噂が広まる速度にはちっとも影響しないだろうが……。
引き続き学校への道を歩いていると、前方に何やら人だかりができていた。
(今度は何──?)
前に立っている人々が視界の邪魔をし、何があるのか自分の目で確認することが出来ない。
代わりに周りの人たちの会話はよく聞こえてきた。
「ルクス様よ」
「クラリス様もいるぜ」
「あっ、ロイリー様も合流したわ!」
「お! あれって最近生徒会に選出された1年のアンバー様じゃないか?」
「なんて幸運! 生徒会メンバーが集合しているところを見られるなんて!」
……なるほど、どうやら生徒会メンバーがたまたま集合しているらしい。それを、我ら一般民衆がやや距離を取って野次馬しているというわけだ。
ご覧の通り、生徒会は全校生徒の憧れの的。
今まで自分のことでいっぱいいっぱいだったレミアは生徒会についてはあまり詳しくなかったが、ルクス・ウォーレーの存在だけは知っていた。
なぜなら、彼は中等科のときから有名で、この学園で一番の有名人と言っても過言ではないからだ。
ルクス・ウォーレー、高等科3年生。ユーヴェリア学園高等科生徒会長。
薄っすらと青みがかった、透けるようなシルバーの髪に、色素の薄い蒼い瞳が特徴的な、全体的に儚い印象の男性だ。その美貌と、スラリと長い手足は道行く人の目を思わず奪うほど。
「さっすがルクス様! 佇まいだけでお美しいわ」
「見た!? あのスタイル! 本当にスラリとしていて、まるで計算し尽くされた神の造形物よ」
彼がなぜ有名なのか。もちろんその見た目の人気ゆえ……と言いたいところだが、彼が有名な理由はもう一つある。
「ルクス様ってあのウォーレー家の出身なのよね? 将来は武大臣になられるのかしら?」
「ん~、どうかしら……? 今はルクス様のいとこのジーク様が務めてらっしゃるから……」
「あ~、年齢的にね~……」
そう、ウォーレー家。
このルンノベ王国は、一人の君主が国を統治する君主制。だが、王を補佐する役割の大臣が3人いる。
それが、武大臣、文大臣、医大臣。そのうちの武大臣を代々務めているのが、ウォーレー家なのだ。
そんな高貴な家柄の出だということも相まって、彼は相当な有名人なのである。
「ルクス様! 納得いきませんわ!」
突如、聞き馴染みのある甲高い声がする。
「イレーナだ」
少し背伸びをして見てみれば、オレンジ色の縦ロールがルクスの目の前に立ちはだかっているのが見えた。
突然の出来事に、当然、周囲はザワつき始めた。
(何事かよくわかんないけど、勇気あるなぁ……)
レミアはそう思ったが、いや、怖いもの知らずの間違いか……?と考え直す。
(そういえば、無事だったんだな……)
少し残念な気持ちを隠せなかったが、良かった、と思った。
左腕に大仰な包帯を巻いているが、その他は見たところ概ね健康そうだった。
彼女はその包帯が巻かれた腕をぶんぶんと振り回して不満を訴えている。
「何度も言っていますが、もう1年生の生徒会メンバー選出は終わりました。こんなところで無礼にも声を上げるなど、言語道断! 恥を知りなさい」
そう、ピシャリと答えたのは、問われたルクスではなく、隣を歩いていた女子生徒だった。
背が高く、ついでに足も長く、完璧なプロポーションの彼女は、ハニーブロンドの髪をキュッと後ろで一本にまとめている。堂々と伸ばした背筋は自信を感じさせ、キリリとつり上がった目尻のラインは、エメラルドのように鮮やかな緑の瞳を際立たせていた。
「ルクス様にお聞きしているのですわ!」
そこまで言われてもさすがイレーナ、引き下がらない。
どうやら、レミアが休んでいる間に行われた、1年生の新生徒会メンバー選抜に自分が選ばれなかったことが不満らしい。
当のルクスは黙ってそのやりとりを眺めていた。
彼は、口数が少ないことでも有名なのだ。
「失礼するわ」
クラリスがそう言うと、ルクスも周りの生徒会メンバーも一言も口を開くことなく、くるりと踵を返して、学校の方に歩いていってしまった。
その一連の流れを見届けた群衆はザワザワとし出すが、イレーナがこちらをキッ!と睨めば皆四方に散って行った。
今のところ負け犬の遠吠えのようになっていたイレーナだが、一応青ピンズ所持、貿易の一端を担うジュビムーングループの一人娘なだけあって、表立って逆らう者はあまりいない。
レミアも目を逸らしてそそくさとその場を去──ろうとしたが、イレーナがカツカツと靴の踵を鳴らし、ものすごい速さで近寄って来るのが見えた。
(まずい……! 見つかった!)
改稿が多くてすみません。
なるべく独りよがりにならず、多くの方に楽しんでいただけるように頑張って参ります…!
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