九十一話 集う者達
次の瞬間、血の赤と銀の混ざった色調の狼が、洋平の横を駆け抜ける。
「あっぶねぇ状況だなぁ。大丈夫か? 和泉?」
裁奈が、狼女に変身した深山の背中から飛び降りつつ話す。
同時に《荊罰魔法――荊絡蠢》を回転させて影人型の攻撃を一掃する。
「相変わらず、すげぇ威力ですね。いや、マジ助かりました!」
「あぁ。にしても、邪悪なマナだな。アイツが親玉か?」
「そうっす。全員、傷だらけでマナもない……。助けてください、裁奈さん」
「言われなくても……!」
裁奈は荊絡蠢を更に伸ばし、空乃達周辺の鋭利な影をも払いのける。
「裁奈さん……! 助かりました!」
空乃が安堵した表情を向ける。
深山が周りを見回した後、焦ったように声を出す。
「えぇ~っと、今の状況がよく分からないんだけど、聞いていい? 私は急に邪悪なマナを知覚して、裁奈ちゃんと話し合って一時休戦してここに駆けつけた。あの大きくて丸い影は狐全様だよね? 王誠君は和泉先輩の仲間になったの? 高上さんは倒れてるし……」
「裁奈ちゃん言うな……! 馴れ馴れしいぞ、白犬。アタシ達は一時休戦してるだけだ」
裁奈がイライラした様子で釘を刺す。
「あ~はいはい。女王様。で、どうなの?」
深山は王誠を見る。
王誠が答えるよりも早く大声が聞こえてくる。
「リカァァァアア! 今は和泉達に協力しろ! 狐全様を止めてくれェェ!」
それは騎召の叫びだった。
頭から血を流し、ふらつきながらも、その目は強い光を放つ。
「栄順⁉ 酷い怪我だよ! 大丈夫⁉」
思わず深山は駆け寄ろうとする。
それを狐全が声で制する。
「そこに居れ! 深山! 全く……宮宇治家の格も落ちたものだな。騎召、お主はもはや宮宇治家の陰陽師ではない。もうよい、動くな……」
「ハッ……。命令に従わねぇから殺すってか? ヤってみろよ……!」
騎召は闘争心剝き出しの瞳を向ける。
「しばし眠れ……」
狐全から《即影》が放たれる。
即影が空を切る音が短く響き、血飛沫が舞う……。




