86/102
八十六話 空乃への助け
空乃の前には棘影木が広がっていた。
そして、炎、稲光が広がっていた。
《雷魔法×火炎魔法――雷炎纏》で強化した王誠による、ソハヤノツルキの一撃が棘影木を切り裂いたのだ。
「ワルキュ……あ、いや、月下空乃。助けに来た」
「王誠先輩……? 助けてくれたんですか? というか、かなりの傷ですけど、大丈夫ですか?」
「大丈夫だ。ほとんど月下空乃、貴様につけられた傷だしな。……すまない、嫌味が言いたい訳じゃないんだ……」
「あ、そこは事実なんで、全然気にしないでください。むしろなんかすみません……。そんなことより、マナは足りてます? 氣も乱れてるようですけど……」
「気にするな。と言いたいところだが、今の一撃でほとんど使い果たした。不格好ですまないが、今のうちに退避しよう。化物はまだ戦う気のようだしな」
「そうですね……。って、ヨウと晴夏は⁉ 二人は無事ですか?」
「俺以外にも一緒に助けに来ている。とりあえず、俺に掴まれ。後方に移動する」




