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マナの天啓者  作者: 一 弓爾
宮宇治 戦乱
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八十話 真の親友

 ――直後、後方から声が聞こえる。


「ヨウ君! 僕らも戦うから無理しないで!」


 晴夏の《念打撃、念斬撃》が狐全に放たれる。


 更に、日本刀を二振持った空乃の高速の斬撃が狐全を襲う。


「ありゃ、六等分にしたつもりだったんだけどな〜」


 空乃の斬撃は狐全の表面を多少削った程度のダメージだった。

 その傷もすぐに影で修復される……。


「晴夏、空乃、助かる! だが、コイツは化物だ! 正直勝てるビジョンが描けねェ。いざとなったら逃げろ! 最悪俺が何とかする!」


「ヨウ君、何言ってるの? 見捨てていく訳ないじゃん! それに何とかするって、その身体中の痣。何があったの?」


 晴夏は心配そうに言葉を出す。


「あァ〜、説明すると長ェんだけど、狐調先輩と契約して力を借りてんだ。渡辺さんの呪いも回復してもらった。いざとなれば呪詛魔法の力でコイツはぶっ倒す!」


 洋平はできるだけ、恐怖心が伝わらないように明るく答える。


「舞里ちゃんが……良かった。あとヨウ君……今でも心は穏やかだけど、絶対怖いでしょ? 僕達は仲間で友達だ。放っていったりしないよ」


 晴夏は力強く話す。


「そうだよ。ヨウは無駄にかっこつけようとする時あるからね〜。私達の力も頼りにしていいんだよ?」


 空乃は少し茶化すように、ただ洋平のことを想っていることが分かる声を出す。


「……ハハ、俺ァ恵まれてんな。命懸けの場面で味方してくれる友達と出会えたんだからよォ。何とか俺達で倒すぞ!」


 三人は同時に攻撃を仕掛ける。

 《影魔法――影喰》《念斬撃、念穿孔》間隙かんげきを縫い空乃が斬撃を複数放つ。


 狐全は周囲に影の防御壁を複数形成し、影喰、念斬撃、念穿孔を防ぐ。


 空乃は防御壁の間を抜けて、狐全本体へ斬りかかる。

 しかし、無数の鋭利な影が空乃を襲う。


 空乃は、超高速で鋭利な影に剣戟を振るうも、影の物量で押し切られそうになる。最終的に、影の包囲を飛び回り離脱する。


「ヨワイ、ヨワイ。ゼイジャク、ゼイジャク……! ミヤウジ……イガイ……スベテコワス。ダレニモ……バカニサセナイ……ダレニモ……ジャマサセナイ……! グ……ォォォオオオオオオオオ!」


 耳をつんざくような叫びが部屋に響き渡る……。


「うるさいなぁも~。てか、『目ん玉影坊主』攻撃めっちゃ速いし。それに影の硬度が予想以上だ。どうやってダメージを与えようか……?」


 空乃は冷静に問う。

 ただし、度重なる戦いで体力を消耗し、息が荒くなっているのが分かる……。


「あの硬度は厄介過ぎる……。俺の使える魔法ではおそらく決定的なダメージは与えられねェ……。お前ェらも体力もマナもかなり消費してるだろ? しゃくだけど、狐調に頼るしかねェか。呪詛魔法での繋がりが一定以上あるからか、念じることで話せそうだ……。少し時間を稼いでくれねェか晴夏、空乃」


「……色々思うところはあるけど、分かった。空乃ちゃん、二人で食い止めよう!」


「おっけ〜。私が前衛で戦うから晴夏はサポートお願い。無理はしないでね!」


「助かる……! 狐調と話してみるわ」


(狐調先輩! 聞こえますか? ご当主さんがどす黒い術符みてェなの飲み込んでから、化物に変化したんだ! 正直俺達の力じゃどうしようもない。ご当主さんの意識も錯乱状態だ。これは〝宮宇治家の問題〟だろ? 力を貸してくれ! このままじゃ、全滅だ……!)


 すぐに狐調から返答がある。

(……そのような状態になっているのですね……。……分かりました。わたくしも戦います。あと、申し訳ございません。わたくしの勝手な願いで命を危険にさらしてしまい……)


(大丈夫……とは言えないっすけど、それも含めての契約だったんで。とにかく、急いでください。このままじゃ、俺も仲間も死んじまう……!)


(場所は把握できているので、最短で向かっています。もうしばし、お待ちください)


「晴夏! 空乃! 狐調が来るよう話せた! とりあえず、無理すんな! 俺も戦う!」


 三人は連携して戦う。

 しかし、だんだんと狐全の攻撃をいなすのも精一杯になってくる……。


 クソが……そろそろ食い止めるのも限界だ……。


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