七十四話 空乃VS高上(決着)
「うぐっ……」
高上の左手は空乃の〝腹筋の強度〟に負けて骨にヒビが入ったようだ。
「悪いね、毎日鍛えてるから普通の打撃じゃ傷つけれないよ……?」
空乃は腹筋に力を入れたまま、刀の柄で高上の顎を打ち抜く。
――高上は地に伏す。
「ホッホッホ! 実に強き童……否、戦士じゃ! ヌシに出会えたことに感謝する。ワシは負けた。好きなようにせい」
高上は愉快な様子だ。
「高上、忠勝、君達もすごく強かった。久しぶりにここまで力を出せた。ありがとう! 聞いてもいいかな? 狐調先輩の呪いって解くには、狐調先輩に解いてもらう以外に方法はない?」
空乃はしゃがみ込み、できる限り高上に目線を合わせる。
「……それは言えぬ。と言いたいが、ここまで愉しませてくれた礼じゃ……。狐調様の《呪詛魔法》は狐調様ご自身で解いてもらう以外に方法はないじゃろうな。かなり強力な魔法じゃしな」
「そっか。分かった。楽しかったよ、高上、忠勝。また会えるなら戦いたいね」
空乃は笑顔を向けた後、晴夏の方に来る。
「晴夏、大丈夫? ヨウはこの先に進んだんだよね?」
「そうだよ。空乃ちゃんは大丈夫なの?」
晴夏は心配しながら言葉を出す。
「まあ、まだ何とか戦えるかな……。少し休んだら進もうと思う。晴夏は動けそう?」
「動けるよ! ヨウ君が心配だし、それに空乃ちゃんのおかげで、ある程度は体力も回復したからさ。高上はあのまま放っておくの?」
「うん、彼はしばらく動けないよ。力を使い果たしてる。あとは、ヨウが無事だといいんだけど」――。




