表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
マナの天啓者  作者: 一 弓爾
調査
46/102

四十六話 乱戦カフェ②

「んじゃあ、俺ァ、絡瀬先輩っすね。早速いきますよ。《体質同調魔法、メモリーオブマナ》《火炎魔法×狼男――炎狼》……!」

 洋平の身体は火炎魔法と狼男を合成した体質〝炎狼〟となる。

 合成魔法を使うとかなりのマナ消費ではあるが、その分強力だ。


「……あなた、そんなこともできるようになったのですね……。では……《基礎魔法、重複使用》《五色ごしき羽衣はごろも》……」

 絡瀬は〝火水雷風土〟の五属性を一度に使い、身体中に纏わせたようだ。

 赤青黄緑茶のまだらになった羽衣が絡瀬の防御壁兼、身体能力強化となる。


「おいおいおい。そんな技使えたんだな。お前ェは魔法適性が随分と多いんだな……」

 洋平は単純に驚きの声を上げる。


「……前回は失態をさらし、上道院家の顔に泥を塗ってしまいました。上道院家の側近こそが我が絡瀬家の使命……。必ずや、王誠様の力になってみせます」

 絡瀬は冷静な声色で、メガネを右手の人差し指で軽く押し上げる。


「そうか……。また、泥塗ることになるけど、あんまりしょげないでくださいね。真面目マジメガネ先輩……」

 洋平は一気に《炎狼噴迅》で高速移動する。

 そのままの勢いのままに《炎狼掻》による裂撃を複数放つ。


 対して、絡瀬は五色の羽衣による身体能力強化で、揺らめくように攻撃を全て躱す。

 その後、《五色の弾幕》を広範囲に撒き散らす。

 

 五色の美しい弾丸は、周囲のテーブル諸共に洋平を吹き飛ばす。


「ちっ、上道院の店じゃねェのか? 備品ぶっ壊れてんぞ……?」


「あなた達が来たから仕方ありません。壊れた物はまた買い直します」

 絡瀬は淡々と答える。


「あァ、そうですか。金持ちは違いますねェ。んじゃあ、俺も遠慮なくぶち壊すぜ」

 洋平は近くにあったテーブルを〝高上〟目掛けて爆炎と共に投げつける。

 まずは、野村を解放するのが先だ……。


「面倒なことを……。私との戦闘に集中した方が身のためですよ……。《五色の砲丸》……」

 五色のまだらの砲丸はテーブルを粉砕し、洋平まで飛んでくる。


「真面目がね、案外パワータイプか」

 そう呟きながら、五色の砲丸を躱しつつ、周囲にあるテーブルやイスを〝高上〟目掛けて投げ続ける。

 

 絡瀬はそれらを破壊し続ける。


「いい加減、鬱陶しいです。《五色の光芒こうぼう》……」

 絡瀬は手を左右に広げ、前に出す。詠唱と共に、左右の手から五色に輝く光線が放出される。


 光線はテーブルなどの備品を消し去りながら、洋平を狙う。

 絡瀬の手の動きに合わせ、光線は上下左右に動き洋平を徐々に追い込んでいく……。


「真面目がねも、大概めんどいことしてんぜ。しゃあねェ、躱しつつ突っ込む……!」

 洋平は光線を炎狼噴迅の加速で何とか避けながら、絡瀬に近づく。

 あと、四歩だ……。

 とりあえず、お前ェからぶっ倒す……!


 刹那、洋平は左方向から、炎の塊を受けて吹き飛ばされる。

 ぶつかったテーブルが炎と共に弾け飛ぶ……。


「お待ちしておりましたよ……成尾さん……」

 絡瀬は淡々と呟く。


「ごめんなさい、遅れました……。色々と業務があったので……」

 成尾は静かに返答する。


「痛ェな……。つか、お前ェ火の玉女じゃねェか……。高上も上道院とつるんでたから、お前ェもそっち側だとは思ってたが、こんなタイミングで来るとはよォ……」

 洋平は二人を睨む。


「よく会うね……。でも、君めんどくさい魔法使うからあまり関わりたくない……」

 成尾はマイペースな口調で話す。


「うっせェよ。俺も最初に半殺しにされてから、お前ェのことは嫌いだ。まとめてぶちのめす……!」

 とはいえ、どう戦う? 《体質同調魔法》の自動発動オートモードを使うのもアリではある。


 絡瀬の場合、五属性の魔法を使っているため、今の俺の知覚力じゃ完全に同調しきれずおそらくダメージをもらう。

 だが、成尾は今までの戦いから、シンプルな《火炎魔法》を使う可能性が高い。

 成尾の魔法に体質同調しながら、戦うのも一案ではある……。


 敵との距離があったため、洋平は仲間の様子を一瞬確認する。


 空乃は王誠と戦っている。

 王誠は稲光を散らしながら剣戟を振るっている。

 しかし、空乃の方が一枚上手だ。

 王誠の攻撃をいなし、確実な一撃を何度も入れているのだろう。王誠は傷が増えて、《回復魔法》を使いながら何とか戦っている様子だ。


 晴夏は野村……〝憑依している高上〟に苦戦しているようだ――。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ