三十四話 オムファタールの見込んだ、オムファタール
「何とか回復できたな~。改めてありがとう渡辺さん」洋平は舞里に礼を伝える。
「僕からもお礼を言わせておくれ。ありがとう渡辺さん」瓜生も洋平に続く。
「……別に大丈夫……。傷……治って良かった」舞里は一瞬目を合わせて答える。
「もう……ヨウ君無茶し過ぎだよ! 心配で心配で……」晴夏は涙を浮かべる。
「心配かけて悪かった、晴夏。……でも心配だからって、泊まり込みで、毎日俺が寝るまでベッド横にいたのはちょっと過剰だけどな。たまにベッドに入ってきてたし……」
洋平は笑いながら返答する。
「だって、心配じゃん。いつ襲われるかも分かんないし。あと、ベッド入ってたの気づいてたんだ……。一応寝た後にしたつもりなんだけどなぁ……」
晴夏は笑いながら後頭部に手を回す。
「いや、流石に分かるわ! めっちゃ懐いた仔犬みたいなことしやがって……」
「『ヨウ君エネルギー』を補充しないと僕も死んじゃうんだから、仕方ないじゃん。減るものじゃないし、いいでしょ?」
晴夏は仔犬のようにクリクリした目を向ける。
「……まあ昔からそんな感じだからいいけどよ……。あと、あんま人多いとこで、そういうこと言うなよな。何か恥ずいだろ……」
洋平は周りの目をキョロキョロと気にする。
「大丈夫! ヨウと晴夏がそういう関係なのは分かってるから! 安心して!」空乃が明るく答える。
「ちょいちょいちょい、空乃さん? 誤解招くような言い方しないでくれる?」
「晴夏ちゃん、やっぱり…………」舞里はどこか納得したような表情をする。
「ほら、もう誤解されてるよ。どうするの空乃さん?」
「どうもこうも、事実だし仕方なくない?」空乃はニヤニヤしつつ答える。
「こりゃ、話せば話す程ややこしくなるパターンだわ……」洋平は呆れつつ言葉を返す。
「流石、僕の見込んだオムファタールだ! ちゃぱつん、君は僕が人生で唯一認めた僕以上のオムファタールなんだ! 自信を持って! 僕も君の大ファンだからさ」
瓜生は興奮気味に両手を洋平の方に向けて敬意を示している。
「えぇ……。ありがとうございます。嬉しいです。けど、アレだな……。ツッコミ役が足りねェとカオスが生まれるんだな……」――。
◇◇◇
その後念のため、駅まで瓜生を全員で見送った。
瓜生にはしばらく典両区には帰ってこないように伝えた。状況の進展があればメッセージで知らせることになった。




