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マナの天啓者  作者: 一 弓爾
守護
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二十話 強き者

「空……乃?」洋平は目の前で起こっていることに思わず唖然とする。


「ちょっと待っててね。イケメンをボコボコにするのは気が引けるけど、大事な友達が殺されかけてたら流石に黙ってられない……」空乃の声には自信と怒りを感じる。


「一臣ィィィイイ! 貴様は何をして……」王誠の声が止まる。

 絡瀬は地に伏し、気絶している。


「女……貴様何をした? いや、何者だ……?」


「ただのちょっとだけ強い女子大生ですよ、先輩。さっき私を拘束してた魔法? は身体に力を入れて引きちぎりました。それに驚いてた絡瀬先輩は顎に肘を入れて気絶させた……」


「《身体強化》特化の魔導士か……。今まで手の内を隠してたことは謎だが、後でじっくり聞かせてもらうとするか」冷徹な光が王誠の瞳に奔る。


「魔導士じゃないよ。まあ、その辺は上道院先輩に言うつもりもないけど」そう言った直後、空乃は姿を消した。

 正確には姿が一瞬で見えなくなる程のスピードで王誠の近くまで移動していた。


「桁外れの速度だな……! 《火炎魔法――火炎球》《雷魔法――雷球らいきゅう》!」火の玉と、雷の玉が宙に浮いて空乃の攻撃にいつでも対応できるように待機する。

「来いよ女。反射勝負といこうか……」


「……はぁ。まあ流石に得物なしじゃ、射程距離が足りないかな……?」

 刹那、高速で移動した空乃は、床に落ちていた一メートル程の鉄パイプを手にする。


「十本あるか……」そう言い、〝九本〟の鉄パイプを腕力で半分にへし折っていく……。


「……それでどうする気だ? 下民、まさかそんなモノで俺に勝つ気か……?」


「まあね~。うっかり死なないでくださいね? 先輩?」

 空乃は〝十八本〟の半分に折れた鉄パイプを王誠に向けて高速投擲する。連続でパンチのラッシュをしているような動作だ。


 高速で飛んでくる鉄パイプを躱すために王誠は《噴射移動》での回避と《火炎球》《雷球》での防御をする。

 しかし、王誠が回避する方向に的確に鉄パイプは放たれ続ける。


「下民……! そんな技で俺を殺せるとでも思ってるのか⁉」

 王誠は立ち止まり、ソハヤノツルキで鉄パイプを複数薙ぎ払う。


「その瞬間を待ってたんだよね~」

 空乃は超高速で移動し、へし折っていない一メートル程の鉄パイプで鳩尾を迅速に突いた後、右脇腹レバーを打ち抜く。


「ゴッ……ガァァ……」王誠は苦しげに呻き声を上げる。


「結構強くイッたから、動けないんじゃないですか?」空乃は淡々と言葉にする。


「…………《ソハヤ……》」微かに王誠の声がする。直後、炎を纏ったソハヤノツルキが〝刀のみ〟で空乃に斬りかかる。


「そんなこともできるんだ……」空乃は鉄パイプでソハヤノツルキと剣戟を振るい続ける。


「貴様……。ソハヤの攻撃でも鉄パイプが溶けぬし、折れぬか……。強化の魔法か?」


「だから、魔法じゃないんだよ。ま、コレで終わり」空乃はソハヤノツルキを側面から強打し、十メートル以上吹き飛ばす。


「さて、何が起きてるのか教えてもらおうかな……」空乃は王誠の目を見る。


「空乃! 危ねェ!」洋平は大声を出す。


 いつの間にか〝影〟が空乃に迫っており、鋭利な刃物のような形状で襲い掛かろうとしていたのだ。


「ありがとヨウ。てか、まだ敵いるの……?」空乃は影の攻撃を躱す。


 影は王誠を包み込み、出口の方へ向かっていく。

 洋平が絡瀬のいた方に目を向けると、既に絡瀬はいなくなっていた。おそらく、影が連れて行ったのだろう。


「ぐっ……。いらぬことをするな、と言いたいところだが、よくやった。助かったぞ……」王誠の声が聞こえる。


「待って!」空乃は影に鉄パイプでの攻撃を仕掛ける。

 しかし、影の鋭利な複数の斬撃は鉄パイプを途中で両断する。


「あちゃ~、無理させ過ぎたか……」空乃は影の攻撃を全て躱す。

 そのまま影は王誠と絡瀬を連れて出口から出ていく……。


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