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マナの天啓者  作者: 一 弓爾
守護
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十二話 魔法講義

昼食を食べた後、裁奈が魔法の講義をしてくれることになる。


片付けをした結果、空いたスペースができ、そこにホワイトボードを置くこととなった。


裁奈は何故かメガネをかけている。見た目から入るタイプなのだろうか。


「よし、じゃあ魔法の基礎について教えていくぞ。さっき和泉に聞いたら、基本的なことも知らないようだったからな」


「よくよく考えると、魔法の説明ほぼ受けてないんすよね……。俺が特殊な魔法で、晴夏が超能力だからかもですけど……」


「まあ、一気に説明しても混乱するだけだからな。ユウカ様も気遣いであえて説明してねぇのかもな。ま、始めっぞ」


 裁奈が気合を入れる。


「魔法とは、『マナを使いイメージ、想像力をもって現象』として起こすものだ。ちなみに、マナってのは、あらゆる物質、非物質に宿るエネルギーのことだ。人間にももちろん宿っている。ただ、『マナの知覚』ができる者はごく少数だ。マナの知覚ができないと魔法は使えない」


「先生、質問いいですか? マナってどこから出てくるんですか? 何となくで僕は魔法使えましたけど」


 瓜生が手を挙げて質問する。


「瓜生、良い質問だな。マナは人間の場合、『肉体、心、魂』から創出される。マナも突き詰めると『最小単位のエネルギー』の呼び方でしかない。『肉体の場合』飯を食うこと、身体を鍛えること、運動することなどでエネルギーが発生する」


 裁奈は軽く身振りを入れる。


「そして、『心の場合』感情を感じること、相手から受け取ることなどでエネルギーが発生する。感情の発生もエネルギーの発生と同義なんだ。『魂の場合』は他の二つ程単純でもないんだが、魂そのものがエネルギーなんだ。ちなみに、魂って何だか分かるか?」


 裁奈は全員に向かい投げかける。


「え? 魂ですか……。その人の生き様の美しさ……? いや、何か違うような気もする」


 瓜生は頭を捻る。


「……先生、魂とは記憶、善性、悪性、その人らしさ、アイデンティティを確立するための装置ですか?」


 洋平が答える。


「おっ! 魂についてはユウカ様から聞いてたのか? 大体そんなところだ。『装置』って言葉ではアタシは教えられなかったけどな」


「あァ~。魂については俺の父さんの受け売りっす。変わった考え方する人だったので、印象に残ってた言葉でして……」


「ほーん。アンタの父さん、なかなかすげぇな……。何の仕事してるんだ?」


「普通のサラリーマンですよ。何か変わった人なんすよね」


 洋平は笑う。


「そうだったのか……。世の中色んな考え方する人がいんだな」


 裁奈も軽く笑う。


「ですよね~。俺も子どもながら変なおっさんだなって思ってましたもん。あ、そうそう、魂の説明の続きは?」


「あぁ。魂は記憶、その人らしさ等なんだ。魂そのものがエネルギーであり成長もする。ただ、どちらかというと『魔法の制御システム』に近いかな。マナをコントロールする際に魂の強靭さや柔軟さが関係してくる。まあ、魂は意識的にどうこうするというより、魔法を使った実践の中で磨かれたり、成長していくイメージだけどな」


「なるほど……。なんか難しいですね……。簡単にまとめると、マナは肉体、心、魂から創出されるエネルギーのこと。魔法はマナを使ってイメージ、想像力をもって現象として起こすもの。って感じですか、先生?」


 晴夏が手元のノートを見ながら確認する。


「そんな感じだ。晴夏は真面目だな。ちなみに、マナの知覚ができてない人は『マナが空中や世界』に漏出しやすくて、魔法などの現象として活用ができない。マナの知覚ができる人はマナの漏出が少なく、体内を廻る。そしてマナを溜めておけるため、魔法などの現象を起こせる」


「なるほど、そこがマナ知覚ができてる人との大きな差なんすね」


 洋平が納得したように声を出す。


「そうだ。長くなっちまってるが、あともう一つだけ説明していいか?」


 裁奈が洋平達三人の目を見る。


「大丈夫です」


 三人とも同様の応答をする。


「オーケー。魔法は『固有魔法』と『基礎魔法』の二種類に大別される。固有魔法はその人が固有で使える魔法で基礎魔法よりも基本的に強力だ。基礎魔法は十種に分かれている。『火水雷風土、光闇、回復、プロテクト、身体強化』だ。魔法の適性は人により異なるから、全員が基礎魔法を使える訳じゃねぇ」


「基礎魔法……? そんなのユウカさんからは聞いてないっすね」


 洋平は素朴に呟く。


「あぁ~、アンタは使える魔法が固有魔法の《体質同調魔法》のみだってヒガ様を通じて聞いてるぜ。晴夏の場合は魔法じゃなくて、《超能力》に適性能力が向いてるから魔法は使えないとも聞いてる」


「何か俺達が特殊過ぎて、基礎的なことは全部すっ飛ばしてたっぽいな……」


「みたいだね、ヨウ君。でも、敵が魔法を使うなら、魔法知識を持っておくことは必要だね」


「そういうこった。ついでに言っとくわ、アタシの基礎魔法は《火炎、回復、プロテクト、身体強化》を使える。舞里は《プロテクト、身体強化》を使える。講義ばっかで眠くなっちまったかもだが、重要だから覚えときな」裁奈はメガネを上げながら笑う。


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