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花と氷  作者: わたあめ
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クリスマス

期末テストも終わり、クリスマスイブ、深山と花菜はイルミネーションを見に来ていた。

花菜の胸元には誕生日に深山からもらったネックレスが揺れている。


「すごい人だね」

花菜が言うと深山が手を差し出す。


「はぐれるといけないから」

花菜は嬉しそうに深山の手を握る。

人は多いけれど、イルミネーションはとてもきれいだった。

イルミネーションを見たい花菜がよそ見ばかりして人にぶつかりそうになるので、深山は花菜の手を離して腰に手を回して、ぶつからないように自分の方に引き寄せる。

花菜は嬉しそうに深山を見上げる。


イルミネーションのエリアを抜けた後、2人でご飯を食べに行く。

クリスマスを家族以外と過ごすのは花菜は初めてで、

深山と過ごせることを幸せに思った。


「あの、これ、クリスマスプレゼント」

花菜が深山に紙袋を渡す。

「ありがとう、開けていい?」

うん、と花菜は緊張した様子で言う。


欲しいと思えば何でも自分で買えそうな深山に何をプレゼントしていいのかとても迷ったからだ。

「あ、マグカップ?」

「うん、深山君いつもコーヒー飲んでるから。蓋もついてるし温度保てるやつだから勉強してるとき使えるかなって」

「ありがとう、たくさん使う。冬は暖かい飲み物欲しくなるから」

深山は花菜に笑いかける。

きっと一生懸命考えてくれたのだろうと思うと深山は嬉しくなる。


「これ、あげる」

「ありがとう、開けていい?」

もちろん、と深山は笑う。

包みを開けると、スワロフスキーのついた薄いピンクのきれいなシャーペンが入っていた。


「こんなかわいいシャーペン初めて見た。」

「花菜、可愛い文房具使うとやる気出るって言ってたから。少し重いからあんまり実用的ではないかもしれないけど」

と深山は笑う。


「これがあったらいつも深山君と勉強してる気持ちになれそう。そうだ、来年の受験でも持ってく。シャーペンは持ち込めるから、これあったらベストを尽くせる気がする。」

自分の言ったことを覚えていてくれたことがうれしいと、花菜は思った。


「あとこれ」

深山が小さな箱を渡す。

「え、2個ももらっていいの」

「シャーペンはたまたま文具店で見かけて買っただけだから、こっちがクリスマスプレゼント」

箱を開けてみて花菜は驚く。


「え、これ、指輪?」

それは華奢な作りのきれいな指輪だった。


「うん、サイズ大丈夫だといいんだけど、合わなかったら直すから」

着けてみようとしたところで花菜は考える。

「どの指に着けたらいいかな」

花菜が聞くと、深山は指輪と花菜の右手を手に取って右手の薬指にはめる。

「すごい、ぴったり!」

花菜は嬉しそうに指輪を見ている。

「どうして、右手の薬指につけてくれたの?」

と花菜が聞くと、深山は少し考えた後、

「左は、将来のためにあけておいたほうがいいと思って」

と言って微笑んだ。

花菜は顔が熱くなるのを感じる。

左手の薬指にはめる指輪をくれるのが深山だったらうれしいな、と花菜は思ったが、

今日が幸せすぎて、ついいろいろと期待してしまった、と花菜は落ち着こうと自分に言い聞かせる。


「もう20時だし家まで送ろうか」

と深山が言う。

「お母さんが車で迎えに来てくれるって言ってたから大丈夫。ありがとう」

深山の優しさがうれしい。


「じゃあ、迎えが来るまで一緒に待ってるよ」

そういって母との待ち合わせの公園のベンチで2人で待つ。


花菜は手袋をしないで深山にもらった指輪をずっと見ている。

「寒いから、手袋した方がいい」

そういって深山は花菜の手を握って温めようと下を向くと花菜が顔を精いっぱい上に向けてキスをする。

「ギリギリ届いた」

と恥ずかしそうに笑う。

深山は驚いた顔をした後、ゆっくりと微笑み、花菜の顔を覗き込んでキスをした。

二人で笑い合う。

「風邪ひくといけないから」と深山に促されて花菜は手袋をはめる。


「来年は受験のラストスパートの時期だから、きっとクリスマスどころじゃないね」

「そうだな、来年のクリスマスは一緒に勉強でもするか」

と深山は笑う。


来年も一緒にいることを考えてくれるんだな、と花菜は嬉しくなる。

「受験まで残り1年頑張らないと。受験が終わったら、一緒にどこかでかけたりしたいな。」

「うん」

「あ、旅行とかも行ってみたいな、深山君と」


「旅行って泊まりで?」


深山は驚いたように聞く。


「え、旅行って普通泊りでしょ?」

と花菜はきょとんとして言うが、直後に気づいて顔が赤くなる。

「なんか、えっと変な意味じゃなくて…」

花菜が恥ずかしそうに言い訳する。


深山はふふっと笑う。

「じゃあ、卒業旅行でも行こうか。ちょっと遠いとこ」

「うん、行きたい。深山君といろんなとこ行ってみたい」


大変な1年も、深山となら乗り越えられる気がしていた。


高校を卒業したらみんなバラバラになる。

それは花菜にとってとても寂しいけれど、自分の夢に踏み出すということでもある。

獣医になって、たくさんの動物の命を守りたいその一心で中学2年生から頑張ってきた。


深山と出会わなければ、ここまで成績も伸びなかったし、何よりモチベーションも保てなかっただろう。

この先、深山とどうなるかは分からないが、それでも、一緒にいられる限りそばにいたいと花菜は願っている。


「お母さん来た」

花菜が言い、深山も挨拶に行く。

「一緒に待っててくれたの?深山君。ありがとう。」

「いえ、遅くなってしまってすみません」

「あら、良いのよ。深山君と一緒だから安心してたわ。よかったら乗って?帰り道だし送るわ」

深山は微笑んで「じゃあ、お言葉に甘えて」と車に乗る。

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