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花と氷  作者: わたあめ
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球技大会

「もうすぐ球技大会だね!みんな何に出るの?」

花菜が楽しそうに3人に聞く。

「俺と柊はバスケに出るよ。早田と西園寺さんは?」

「二人とも背が高いもんね。私と瞳子はバレーだよ!」

「西園寺がバレーやってるとこ想像できない」

深山が言う。


「私は試合には多分出ないわ。去年もベンチだったし」

「マネージャーみたいな存在だよね」

「私は運動が得意じゃないから、その方がクラスのためなのよ」

「楽しみだな」

と穂高が言うと、花菜も「うん!」という。

こういうスポーツイベントを花菜と穂高は楽しむタイプだが、深山と瞳子はあまり乗り気ではない。


球技大会当日、深山たちのクラスの試合は女子の観客がすごかった。

「特進クラスって人気ある人多いものね」

瞳子が言った。

「穂高先輩どこかなぁ」

1年生らしき女の子たちが穂高を探している。

「穂高君って人気なのね」

瞳子が言う。

「うん、剣道部の練習の時も穂高君を見に来る女の子結構いるよ。穂高君背が高くてかっこいいし、優しいから」

「そうね」

と言って瞳子は笑った。


試合が始まると会場は黄色い声援でにぎやかになる。

穂高と深山は息があったプレーで点をどんどん入れていく。

こういうイベントに興味がなさそうな深山が、思ったよりも真面目に取り組んでいることが花菜は意外だった。

「深山君、普段あんまり全力で動かないから、こういうの新鮮だな」

と花菜が言う。

「そうね、走ってるとこすら見たことないわ」

「あ、穂高君また点入れた」

花菜が瞳子の方を見ると、瞳子は嬉しそうに見ていた。

瞳子は穂高君にいい印象を持っているのは確かだが、それが恋なのかは花菜には分からなかった。


試合は穂高と深山の組が圧勝した。コートから降りると、すかさず佐伯さんが深山に飲み物を渡す。

瞳子が花菜の方を見ると、花菜は明らかにムッとしている。

「ふふ、ヤキモチやいてるの?花菜」

「うん、あれ、私もやりたかったな、女子マネージャーみたいなやつ」

花菜は不機嫌そうに言う。

「やればいいのに、彼女なんだし」

「今日はクラス対抗戦でしょ?敵だからね」

と言って花菜はいたずらっぽく笑う。

「さすが体育会系ね」

と瞳子は笑う。


さっき穂高を探していた1年の女の子たちは穂高の方へ寄って行ってポカリスウェットを差し入れしたり話しかけている。

穂高はにこやかに対応している。

花菜はふと瞳子の方を見ると、穏やかな顔で瞳子は見ていた。

「穂高君って、ああいう時も丁寧に対応するのね。」

瞳子は感心しているようだ。

「瞳子が行ったら穂高君喜ぶと思うよ」

瞳子は驚いた顔をした後、私が行くと雰囲気に水を差しちゃうから、と小さく言ったあと、

「今日は敵ですからね」

と言い、花菜と瞳子は二人で笑い合った。


バスケの試合が終わり、休憩した後穂高は深山に声をかける。

「柊、早田たちの試合見に行こう」

「あぁ」

会場に着くとちょうど始まるところだった。

「ギャラリーに剣道部たくさんいる」

と穂高が笑う。

剣道部員たちは「早田、がんばれよ」と声をかけている。

「早田、あのポジションアタッカーじゃん。セッターより背が低いアタッカーっておもしろいな」

花菜はコートに出てストレッチしたりと気合十分だ。

「しかもすごくイキイキしてる」

と深山が笑う。


花菜ががんばろーというとチームの女子たちがおーッと手を挙げる。

「花菜ちゃーんがんばって!」

クラスの女の子たちが花菜に声援を送る。

「がんばるー!」

と花菜は笑顔で手を振る。

「花菜ちゃんかわいい」「あの笑顔癒されるよね」「花菜ちゃんいたら絶対勝てるよね」と花菜のクラスの女子たちが話をしている。

クラスメイトの男子たちが

「早田―!お前の手に優勝かかってるぞー」

と叫ぶと、クラスメイトの大きな笑いが起きる。

花菜は「おー!がんばる!」と楽しそうに笑っている。


「クラスの人気者みたいだな、早田」

穂高が言うと、そうだな、と言って深山は穏やかな顔でその光景を見ている。


試合が始まると、花菜はどんどんスパイクとレシーブをを決めていく。

「早田容赦ねぇな。相手チーム一歩も動けなくなってる」

と穂高が笑う。

穂高が瞳子の方をちらっと見ると花菜が活躍するたびに嬉しそうに笑っている。

そんな姿が本当にかわいいな、と穂高は思った。


試合は花菜のクラスが勝った。試合が終わると花菜は真っ先に瞳子に駆け寄る。その周りにクラスのメンバーが集まってみんなで勝利を喜んでいた。このクラスは仲がいいみたいだ。

穂高は瞳子の楽しそうな様子から目が離せずにいる。

「ずっと見てたな、西園寺のこと」

深山が意地悪っぽく言う。

穂高は焦って瞳子から目を離すと、深山が穏やかに笑っていた。


結果は1組の優勝で、花菜たちのクラスは優勝できなかったが、バスケをする深山が見れたし、バレーも楽しくて花菜は満足だった。


球技大会の片づけを終えて花菜と瞳子が移動中、1年生の女の子が穂高に告白しているのを見かけた。

「初めて見たときから穂高先輩のことが好きです」

という声が聞こえる。


「穂高君告白されてるね」

と花菜が言うと、

「そうね、穂高君はいい人だから、彼女ができても不思議ではないわ」

という瞳子が、花菜にはどこかさみしげに見えた。


瞳子はいつも1歩下がってしまう時がある。花菜がクラスの人たちと盛り上がっていると、いつの間にかその場から出て行ってしまう。呼ぼうとしても、私が行くとみんな遠慮しちゃうから、という。もし仮に瞳子が穂高君を好きでも、きっと自分の気持ちは抑え込んでしまうのではないか、と花菜は心配になる。


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