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花と氷  作者: わたあめ
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それぞれ

 中間テストが終わった。

「どうだった?テスト」

「何とか全部8割キープできたよ。できれば英数理は全部9割行きたかったけど、数学が少し届かなかった。」

数学はある程度のレベルまでは努力で何とかなるが、それ以上となるとセンスが必要だったりする。個別学力試験で数学が必須の北大を目指すならばこの壁を超えないといけない。

何か対策が必要だな、と深山は考える。


「深山君は?」

「俺はまぁ、いつも通りかな」

「見たい」

「…やだ」

「モチベーションにするから!」

何のモチベーションだよ、と思いながらも答案を見せると花菜は目を真ん丸くしている。


「ねぇ、英語と数学100点…物理98点…でどういうこと…」

花菜は数学の答案用紙をずっと見ている。

「もういいか?」

深山が答案を取ろうとすると、

「ねぇ、数学、コピーさせて」

「え…いや欲しいならあげるよ。いらないし」

「ありがとう!これ勉強に使う」

特進クラスと通常のクラスは問題が違う。

特進クラスの問題はより難しいので、たしかにいい勉強にはなるかもしれない、と深山は思った。


「そっちも見せてよ」

花菜はやばい、といった顔をするが、見せてもらった手前、見せないわけにはいかない。

「はい…」

「英語…ケアレスミスだな。気を付ければもうちょっと取れるよ。数学は…うーん、基礎的な問題は確実に取れてるな。あとは応用か…最後の問題白紙だし。」

「時間が足りなくて」

花菜は残念そうに言う。

「スピードアップも必要だな。うちのクラスが使ってる問題集使って鍛えるか。いや、予備校のテキストの方を先がいいか。。。」

深山は答案を見ながら対策を考えている。

いつも真剣に改善点を考えてくれることが花菜は嬉しかった。


「あっちで勉強しない?なんか今二人楽しそうだし」

二人の様子を見ていた穂高が瞳子を誘う。

時間が合えば4人でテストの復習をしようと話していた。

「そうね、たまには深山君に譲るわ」

瞳子が笑った。

「調子はどう?」

「理転してやっぱり数学が難しいなって思ってるわ。」

「西園寺さんは私立の医学部に絞るんだっけ?」

「えぇ、科目が絞れるから。とにかく数学を何とかしないと」

「俺でよければ教えるよ」

「穂高君も自分の勉強があるのに」

「全然かまわないよ。」

「ありがとう。」

瞳子は優しく微笑む。

「まぁ、数学は深山の方がダントツできるけど」

「私は穂高君が聞きやすいから、穂高君が教えてくれるとうれしいわ」

穂高は嬉しそうに微笑んだ。最初はしゃべるだけで緊張していた穂高も、だんだんと居心地の良さを感じるようになった。

いつも凛々しい瞳子が、時々見せる笑顔がどうしようもなくかわいいと思った。


「穂高君はどうして医者を目指したの?」

「弟がさ、いるんだけど、小さいころから心臓の病気で入退院を繰り返してて。その時の担当の先生がすごくかっこよかったから、俺もそんな医者になりたいって思ったっていう単純な理由」 


そういって穂高は笑った。


「素敵な理由ね。穂高君は周りにすごく気遣えるし優しいから、きっとみんなに信頼されるお医者様になれると思うわ」


瞳子は微笑みながらまっすぐに穂高を見て言うので、穂高は照れてしまう。

「ありがとう、西園寺さんにそう言ってもらえると、がんばれるよ」


瞳子も少しずつ心を開いてくれているようには感じているが、穂高はあと1歩が踏み出せない。瞳子の気持ちに自信がないのもあるが、圧倒的なお嬢様を前に怖気づいていることも確かだった。

穂高の家は医者家系ではない。両親は弁護士だし、祖父は警察官僚。


とにかく少しでもレベルの高い大学の医学部へ入れば、少しはつりあうだろうか、と穂高は思った。


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