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花と氷  作者: わたあめ
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深山の兄

“兄さんが、花菜と俺の3人でご飯に行こうっていうんだけど”

深山が花菜にLINEを送る。

“斬新な3人だね”

“嫌だったら断っていいよ”

“緊張するけど、話してみたいな、と思う”

“分かった”


「久しぶりだね、花菜ちゃん。その後体調は大丈夫?」

花菜ちゃん、と呼ばれることに花菜は驚く。

「はい、おかげさまでなんともないです」

「しかし、屋根の破片が頭に直撃してなんともなかったなんて運が良かったね」

「父親譲りの石頭が功を奏したのかもしれないです」

花菜と怜が和やかに会話をしていることに深山は驚く。


「二人はどういうきっかけで付き合ったの?」

「えっと、私が深山君のことが大好きで、告白して、付き合いました」

「へぇ、花菜ちゃんは柊のどこを好きになったの?」


花菜は少し照れながらも嬉しそうに話し始める。

「えっと、最初は話をしていて居心地がいいところを好きになったんですけど、今は、優しいとことか、一緒にいると安心するところとか、何か問題があった時に一緒に解決方法を考えてくれるところとか、びっくりするくらいかっこいいとことか、指摘が的確…」

耐え切れなくなった深山が途中で遮る。

「花菜、もういいから、ちょっと恥ずかしくなってきたからその辺にして、お願い」

深山が珍しく照れている。そんな深山を見て、怜は必死で笑いをこらえている。


「ごめん、ちょっと思いが強すぎちゃったかな」

花菜が真顔で真剣に言うので、怜はこらえきれなくなって声をあげて笑う。


「花菜ちゃん、いいね。なんかもうほほえましくて。そんな照れた柊初めて見た」

怜は笑いが止まらない。花菜は変なこと言ったかなと不思議そうに見ている。

深山は怜から目をそらして平静を装っている。


「花菜ちゃんは、大学どこ目指しているの?」

「私は、獣医になりたくて、国公立の獣医学部を目指してます。」

「へぇ、獣医さんか。北大とかかな?」

「あ、はい、受かるか分かりませんが、第一志望です。」

「じゃあ、二人とも第一志望受かったら遠距離だね。」

「そうなんです。でも、第一志望受かったら、どっちも観光地だから楽しみが増えるねって深山君が言ってくれたから、それを楽しみに頑張ってます」

嬉しそうに話す花菜をかわいいな、と怜は思う。

それ以上に柊がそんなことを言うのが驚きだが、と思って怜が弟の方を見ると、頬杖をついて視線をそらしている。

おそらく照れ隠しだろうな、と怜は弟をかわいく思った。


「柊、なんか今日かわいいな、お前」

深山は明らかに嫌そうな顔をし、怜は笑いが止まらない。

「こんなに笑ったの久しぶりだよ」

深山はため息をつく。


「あ、あの、小さいころの深山君ってどんな感じだったんですか」

花菜が目をキラキラさせて聞く。

「柊はね、小さいころはよく笑う子だったよ。いつの間にかこんな無表情になっちゃったけど」

「よく笑う小さいころの深山君絶対かわいいですね」

「うん、かわいいかったよ。今度写真見せてあげる」

「いいんですか?」

花菜はものすごく喜んでいる。

「兄さん、ちょっと余計な事するなよ」

深山は少し怒っている。

「え、だめ?」

花菜が残念そうに言う。

「だめ」

「なんで?」

「…、恥かしいから」

そっかぁ、と残念がる花菜と、弟の見たこともない姿に笑いが止まらない怜。

深山はもっと深刻な空気になると思っていたので、花菜が楽しそうな様子に安心する。


怜と花菜はいい関係が築けそうだがおそらく父とはこうはいかない。

人間性なんて見ないからだ。

感情豊かな母はもしかしたら態度を軟化させるかもしれないが、父は花菜を絶対認めない。

これまで近くで見てきた深山はそれを痛いほどよくわかっている。


このまま花菜といることを望むのであれば自分は強くならなければならない、深山は二人の様子を見ながらそんなことを考えていた。


「花菜ちゃん、家まで送るよ」

怜が言うと、「電車で帰れるので大丈夫です、ありがとうございます」と花菜が言う。

「いいから、いいから」

と怜が言うので送ってもらうことにする。

「俺も乗る」

と深山が言うと、

「花菜ちゃんと二人が良かったけど、まぁ、いっか」

と怜はいたずらっぽく言った。


「俺ナビする」

と深山が言う。

「家に行ったことあるのか?」

「まあ、何回か。時々…夕飯ごちそうになったりしてる」

いつも一人で夕飯を食べているであろう弟が気になっていた怜は少し安心する。


「そうか、花菜ちゃんのご家族にお礼とご挨拶に行かないとな」

怜は意地悪っぽく言う

「ちゃんと俺がお礼は言ってるから、余計なことするなよ。気を遣わせるだろ」

「ははは、そうか、それもそうだな」


花菜は二人のやり取りが普通の兄弟にみえて、そんな当たり前のことをうれしく思った。

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