招待
「今度の大会、柊と西園寺さん見に来なよ。早田さん出るし」
最近は花菜と瞳子、深山と穂高でお昼を食べることが多い。
「剣道って、初心者が見てもわかるものなの?」
瞳子が聞く。
「うーん、勝敗とかはちょっとわかりづらいけど、早田さんはすごくきれいに勝つから、かっこよさは伝わると思うよ」
「で、でも、おっきい声とか出すし、ちょっと恥ずかしいかも」
花菜は照れている。
「でもさ、柊と西園寺さんいると思うと勝てる気がしない?」
「うーん、恥ずかしい気持ちはあるけど。でも、確かに、二人がいると思うと心強いかもしれない」
「花菜が嫌じゃないなら見に行きたいわ。ねぇ、深山君」
「そうだな」
深山は花菜に笑いかける。それを見た花菜は嬉しそうに笑う。
「じゃあ、練習頑張らないと!」
花菜がはりきると、「その意気だよ」と穂高が言う。
「あれ?私穂高君にいいように乗せられてるかな」
あ、気づいた?と穂高が言うとみんなで笑い合う。
深山と二人でいる時間も好きだが、花菜はこの4人でいる時間も好きだ。
穏やかで、楽しくて、何も気を使わなくていい。みんなもそうだといいな、と思う。
「今度の大会は予選なのよね?」
「そ、地区予選。そこで勝ち抜いたら都大会、そこで上位なら全国大会」
「うちの高校は強いの?」
「男子はそこそこ。去年も3年の先輩が全国に行ってる。女子は部員も少なくて今まではあんまりだったけど、早田さんはいいとこまで行くと思う」
うぅ、と花菜は難しい顔をする。
「あんまり気負うなよ」
と深山が優しく言うと、花菜はへへへと笑う。
深山って本当に変わったなと穂高は思う。
以前はいつもまとっている空気すら冷たく感じるほどだったのに。
「深山ってあんな感じだったっけ?」
選択授業で瞳子と穂高が一緒になった際に穂高が聞く。
「驚いたでしょう?最近はあんな感じなのよ」
「なんか、西園寺さんも変わったよね。話しかけやすくなった気がする」
「そうだとしたら、花菜のおかげだとおもうわ。」
「早田さんすごいな」
「花菜は自分が私たちに影響を与えてるなんて微塵も思ってないけれど」
と瞳子は穏やかに笑う。
そんな瞳子をかわいいな、と穂高は思う。
「周りを明るくする力はあるな、と思うよ。剣道部でもムードメーカー的存在になりつつあるし」
「そうね。私は花菜のすごいなと思うところは見返りを求めないところだと思うの。だから、なんだか安心して付き合えるのよ。私を利用しようとかじゃなく、本当に一緒にいたいと思ってくれている気がするの。深山君もそうなんじゃないかしら」
瞳子の穏やかな表情に穂高はドキッとする。
「まぁ、でも深山と今は良くても今後は大変そうでそこが心配だよ。深山んちって厳しそうだし」
「それについては考えていることがあるの」
「考えていること?」
「ええ」
瞳子は穂高に穏やかに笑いかけた。




