歓迎①
深山が来る日曜日、早田家は全員そわそわしていた。
娘を心から愛している父は会ったら殴るとか、絶対許さないとか言っている。
ピンポーンとインターフォンが鳴る。
「来たかも!」
と花菜はドアフォンを押す
「はい」
「深山です」
この画面に深山が写っているのが新鮮だ。
花菜は走って玄関に向かう。
「いらっしゃい!」
とドアを開けると、品のよさそうな私服の深山が立っている。
「早田、おはよう。お邪魔します」
礼儀正しく深山は家に上がる。
「深山君、いらっしゃい」
花菜の母親が挨拶すると
「初めまして、深山柊です。あのこれよかったらご家族でどうぞ」
と深山が手土産を渡す。
花菜の母は平静を装っているが、想像以上にイケメンの深山に驚いている。
そして手土産のセンスに深山の品の良さを感じた。
服装といい、良いところの子なのだろうということがわかる。
「まぁまぁ、ありがとう。あとでみんなでいただきましょう。」
3人がリビングに行くと花菜の父は拗ねてテレビを見ている。
「お父さん、深山君だよ」
と花菜が声をかけると花菜の父は怒った顔で深山を見る。
そして深山を見て驚く。
「え、ちょっと、あの、君が花菜の彼氏?このとんでもないイケメンが?」
「初めまして。花菜さんとお付き合いさせていただいている深山柊です」
花菜は名前で呼ばれたのが初めてでドキッとする。
「花菜の父です。娘をよろしく」
と花菜の父は深山も手を握って一気に態度を変える。
「深山君、立ち話もなんだから座ってね。」
と花菜の母がソファに座るように促す。
深山が部屋を見渡すと、たくさんの家族写真や、剣道のトロフィー、小さい子が書いたであろう絵が飾られている。
うちの家とは大違いだな、と深山は思う。
深山の家はもっと殺伐としている。
花菜の父は深山の隣に座って楽しそうに話しかけている。
「深山君は何かスポーツはやっていたの?」
「弓道を少し。花菜さんは剣道が強いんですよね」
あ…、と花菜は思う。話しておくべきだった。父は剣道の話になるとめんどくさい。
「そうなんだよ!花菜に剣道を教えたのはこの私でね、なにを隠そう私は全国警察剣道大会で優勝経験もあるのだよ!親バカだと思われるかもしれないが、そんな私から見ても花菜は剣道のセンスが抜群で…」
父は楽しそうに話しているが、深山は少し圧倒されている。
「お父さん!そんな話されても深山君が困るからちょっと落ち着いて」
花菜が焦って深山に謝ろうとすると、深山は笑っていた。
「もっと聞きたいです。」
深山がそんなことを言うので父は調子に乗ってしゃべりまくる。
「はいはい、お父さん、それくらいにしてね。花菜、お茶入れたから深山君とお部屋に行きなさい」
花菜の母がフォローにやって来る。
少し寂しそうな花菜の父を残して二人は部屋に行く。




