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花と氷  作者: わたあめ
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連絡

花菜(かな)はお昼ご飯をいつも瞳子とうこと理科準備室で食べている。

ここは誰もいなくて二人でゆっくりできる花菜の大好きな時間だ。

瞳子といると沈黙も苦じゃない。

目が合うとお互い笑顔になって心が穏やかになる。


深山みやまとはあれから1週間経つが話をしておらず、連絡も取っていない。

「特に連絡することもなくてぼーーとしてたら1週間たっちゃった」

へへへ、と花菜が笑いながら伝えると、瞳子は目を真ん丸にして驚いた様子をみせた後、

ふふふ、と笑った。


「深山君、自分から連絡とかしなさそうよね」

「瞳子は深山君と関わりある?」

そういえば聞いたことなかったなと思って聞く。

「家が近所だから、母親同士は知り合いみたい。私は幼稚園から一緒だけれど今までしゃべる機会もあまりなかったし関わりはすくないわ」

ということは深山はかなりいい家の人なんだな、と花菜は思った。

うちの高校は幼稚園から高校まであり、瞳子と深山君は幼稚園から、私は高校からの編入組だ。

「連絡してみようかな」

瞳子は優しく微笑みながうなずいた。


ドキドキしながらLINEを開く。

今日金曜日だからあの場所で会えるか聞いてみよう。


“今日も放課後ベンチにいますか?”


緊張してなんとなく敬語になってしまう。

すぐに既読が付いて返事が来た。


“いる”

“くる?”


花菜の表情が一気に明るくなる。

今日会えることがうれしくてすぐに“いく”とだけ返信した。


「うれしそうね」

瞳子が穏やかに笑う。

「へへへ、うん、うれしい。」


放課後、花菜があの場所へ行こうとすると深山からLINEが来る。

“15分くらい遅れる”

と連絡があった。ちょうど良いから、花菜は苦手な数学の勉強をしながら待つことにした。

苦手な教科はとにかく眠たくなるから緊張している今はチャンスかもしれない。


「数学の勉強?」

しばらくして深山がやってきて花菜に声をかける。

「うん、実は…赤点とっちゃって…来週追試なの」

深山は驚いた顔をする。

幻滅されたかな、と花菜は思ったが、事実なのでしょうがないとあきらめる。

「ほかに追試あるの?」

「ううん、数学だけ」

「答案用紙ある?」

「今日は持ってない…けど…」

そっか、と言ってしばらく考えた後、

「明日、授業終わった後暇?」

明日は土曜日で14時に授業が終わる。

「特に用事はないけど追試の勉強しないとなって」

「じゃあ、明日答案用紙持ってきて。授業後にここで待ち合わせでどう?」

「う、うん大丈夫」

じゃあそれで、と言って、深山はさっさと帰っていった。花菜はきょとんとする。


土曜日の授業が終わってソワソワしながら待っているとすぐに深山が来た。


「答案見せて」

という。深山は無駄話をしない。

瞳子と一緒だ。

花菜は25点の答案を渡すのが恥ずかしく躊躇したが、

深山が手を差し出して、早く、と催促するので渡す。

深山はしばらく真剣に答案用紙を眺めていた。


「来年度の文理選択はどっち?」

「えっと、お恥ずかしいながら理系希望です…」

数学25点で何言ってるんだろうと花菜は惨めな気持ちになる。


「なんで理系?進路もう考えてるの?」

深山君が踏み込んだ質問をすることに花菜は驚いた。


「早田ってさ、毎日放課後に学校の図書室で勉強してるよね?」

深山は花菜のほうを見て聞く。

「ここから図書室見えるから」

と深山は図書室を指さす。


知ってる、と花菜は思う。

深山が毎週金曜日にこのベンチにいるのを知っていたのは、花菜がいつも座る図書室奥の窓側の席からこの場所が見えるからだ。


深山がそんなことを知っていたことに驚くのと同時に、自分認識してくれていたことにうれしさを感じる。


「えっと、そうなの。私ね、獣医になりたくて。でもうちは両親公務員でそんなに裕福じゃないから、国公立の獣医学科に行きたいんだ。できれば…その現役で」

「ふーん」

深山は無表情のまま横目で花菜をみる。

「でも。数学が苦手で。もっと頑張らなきゃ」

「ほかの教科の点数教えて」


「え…。」

もう数学の赤点を見られているのでどうにでもなれと、すべての教科の点数が書かれた用紙を渡す。

「英語97点、現代文72点、古文・漢文95点、生物98点、化学90点、世界史75点…数学25点…か…他の教科は結構点とれてるんだな」

「う、うん。数学だけがどうしても苦手で。」

「獣医…か。数学は避けて通れないな。数学の教科書とノート持ってる?」

「うん、今日授業あったから」

「自習スペース行こう。テスト終わってるしたぶんすいてる」


想像もしていなかった展開に花菜は驚きながらもうれしくて笑顔で深山についていく。

深山はそんな花菜を見て何がそんなにうれしいのだろうと思いながら、

少し照れたような気持を感じていた。


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