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花と氷  作者: わたあめ
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新学期

新学期が今日から始まる。クラス分けが発表されている掲示板に瞳子とむかう。

自分の名前を発見して花菜は喜ぶ。


「瞳子!一緒のクラスだよ!」

「ほんとね、また一緒のクラスはうれしいわ」

瞳子は嬉しそうに笑う。

今年1年も楽しく過ごせそうだ、と花菜は思った。


「深山君、さすがね」

「え?」

「特進クラスよ」

この学校で言う特進クラスとは、特に成績が良い人を集めたクラスで9割が国立大学の医学部を受験するクラスだ。

なんだかまた遠い存在になったな、と花菜は思う。


「柊、一緒のクラスだな、よろしく」


深山が声の方に振り向くと幼馴染の穂高総一郎が立っている。


「総。同じクラスだったのか」

「いやいや、誰が同じクラスかくらい見とけよ。」

あきれたように穂高が言う。

「あんまり関心なかった」

「まぁ、そういうやつだよな、お前は。あ、俺席ここだ」

そういって深山の前の席に座る。


「柊にさ、頼みたいことあるんだよ。」

「何?」

「お前、早田花菜と付き合ってるんだろ?」

「ああ」

「紹介して!」

「…やだ」

と深山は即答する。

「なんでだよ」

「紹介してほしい理由を教えろよ」

「部活の勧誘だよ」

「部活っておまえたしか剣道部だろ?」

「あれ、知らないの?早田って中体連で全国3位だぞ。中学2年の時に」

深山は驚いて言葉が出ない。花菜が剣道をやっていたことすら意外だ。

「花菜が?何かの間違いでは?」

「そんなわけないよ」

穂高は携帯で検索を始める。

「ほら」

東京の地方紙の記事だった。中体連の剣道の紹介がされている。

そこに移っていたのは間違いなく花菜だった。

「な?間違いじゃないだろ?」

「全然知らなかった」

「頼むよ、柊、紹介してくれ。いつも西園寺さんといるからなんとなく話しかけづらくて」

「・・・分かった」

深山はまだ信じられなかったが、花菜に確認したい気持ちもあり了承する。


深山はLINEで花菜にその旨を伝える。

“紹介したいやつがいるんだけど放課後時間ある?”

“あるよ”

“西園寺も誘える?”

「おい、西園寺さんも呼ぶのかよ」

やり取りを見ていた穂高は少し焦る。

“瞳子いくって”

「まじか…緊張する…」

穂高は胸を押さえる。

“じゃあ、学食で”

「お前、そんな奴だったっけ」

穂高はやれやれといった様子で深山を見る。


学食には花菜と瞳子が先についていた。

「紹介したい人って穂高君だったの」

瞳子が言う。

「久しぶり、西園寺さん」

穂高は少し緊張した様子だ。

「もしかして穂高…総一郎君?」

花菜が言う。


「おぉ!早田さん覚えててくれたの?光栄だな」

「たしか剣道の強化合宿で会ったことあるよね」

「そうそう、よかった、覚えててくれて。早田さん2年生で引退したよね。みんなびっくりしてたよ」

「へへへ、そうなんだ。勉強のために辞めたの。私器用じゃないから両立は無理だなって」

「もう剣道やってないの?」

「ううん、近所の道場には週に1回くらいは行ってるよ。体力作りもかねて」

「じゃあさ、剣道部入ってよ!」

「うーん、今は勉強が最優先だから、部活する余裕はないかな」

花菜はちょっと残念そうに言った。


「やってみれば?両立」


深山が言うとは誰も思わず全員驚く。


「最近は勉強の仕方工夫して短時間でも効率的に勉強できるようになってきたし、やりたいのならできるんじゃない?無理だったらやめればいいんだし。」

花菜のほうをまっすぐ見て深山は言う。

「本当はやりたいんじゃない?剣道」

深山ってこんな奴だったっけ、と穂高は思う。

他人に無関心で、氷みたいに冷たくて人を寄せ付けなくていつも一人でいる。そんな印象だった。


「私もいいと思うわ。花菜、いつも部活やってる子たちをさみしそうな目でみていたもの」

穂高は同じことは瞳子に対しても思っていた。

二人が変わったのか、花菜が変えたのか。


「ちょっと考えてみようかな」

深山と瞳子はやさしい表情で花菜を見ている。

そんな二人に穂高は驚いていた。


「ちなみに西園寺は知ってたの?剣道のこと」

深山が横目で瞳子を見て聞く。

「知っていたわ」

「…ふーん」

深山は無表情で頬杖をつき目をそらす。


穂高はそんな深山を見て噴き出してしまう。


「何笑ってんの」

深山が不機嫌そうに言う。


「いや、柊、さみしそうだなと思って」


ため息をついて否定も肯定もしない深山を、瞳子と穂高はつい笑ってしまう。


花菜はオロオロと3人を見渡していた。




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