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第六話


 メーリンガム王国――ボルメルン王国の西側に位置する国であり、デルナストロ山脈を越えた先にあります。

 デルナストロ山脈が巨大な魔物の巣と化していますので、両国は隣国でありながらほとんど国交が無くなっておりました。


 そのため、メーリンガム王国の文化はボルメルンと異なる点もあるそうです。


「あれっぽっちの紫龍石が100万ルドーもの大金に化けました。何だか悪いことをした気がします」


 何気なくポケットに入れていた光る石が高く売れるなんて思いもよりませんでした。

 これ、半分も私がもらってよろしいのでしょうか……。


「何言ってるんだ。エミリアさんが居なきゃ、僕らは死んでたんですよ。逆にクエスト達成させてもらった上に換金額の半分も貰えるなんて、悪い気がするのはこっちですよ」


「つーか、あのクエスト。Aランク以上の冒険者じゃねーと引き受けちゃいけなかったらしいぞ」


「じゃあ、エミリアってAランク以上の実力はあるってことよね。元メイドって言ってたけど、何やってたの?」


 冒険者のAランク以上の実力ですか。正直に申しまして、山を登ったり下りたりしてるほうが普段の生活よりも断然楽だったのですが。


 魔物を蹴散らして、石を拾うだけで大金が貰えることに私は少なからずショックを受けていました――。


「マーティラス家ってご存知ないですか? 代々聖女の家系でボルメルン王国の公爵家です」


「知らないな。ボルメルン王国の貴族とか言われてもな……」

「あっちのことは殆ど情報入って来ねーし」

「ていうか、聖女って何?」


 皆さんはマーティラス家だけでなく、聖女すらご存知ないみたいでした。

 確かにメーリンガム王国のことは私もよく知りませんので、当たり前のことかもしれません。

 しかし、まさか聖女が居ないとは……。


 それにしては、王都の治安は良好ですし。ここまでの道筋で町に魔物が現れたりしたことはなかったように見えたのですが。


「あー、聖女って巫女(みこ)さんと似たようなものかー」


 聖女についてひと通りの説明をしますと、ミランダは両手を叩いて『巫女』という言葉を出されました。


 巫女とは何でしょう? こちらでは聖女を巫女と呼んだりするのでしょうか……。


「まー、似たようなものですよ。こっちじゃ、世襲制じゃなくて試験を受けて合格した人だけが巫女になれるんですけど……」


「難しいのなんのって。そもそも結界術が難易度激高だからなー。十年に一回くらい合格者が出るかどうかの超難関試験なんだ」


 リックとブライアンは巫女というのは代々引き継がれるものではなく、女性なら誰でも能力があれば取得できる資格みたいな扱いの職業だと言われました。

  

 なるほど、結界術は聖女の家系の者に引き継がれる秘伝みたいに言われていましたが、私でも修得出来ましたので、チャレンジすれば誰でも覚えられるのかもしれません。


「だからエミリアは強いのね。巫女さんって、魔物の巣に結界を張るときスキだらけになるから、護衛の人がいつも必死に守ってるもの」


「そうそう。危ないから、いくら高待遇でもやりたがる人が居ないんだよなー。年取ると引退するし、亡くなる人も結構いるから。護衛も厳しい試験で選抜してる腕利きしかなれないもんな」


「結局、現役で巫女さんやれてるのって一人だけだしね」


 とはいえ、色んな事情が重なって巫女という職業に就いている人間は一人だけのようです。

 聞いてる感じですと、クラリス様ほどの力は持ち合わせてないみたいですね……。

 彼女くらいの力があれば結界術を使用してもスキなど出さずに、魔物などを寄せ付けたりはしませんから……。


 ともかく巫女という仕事があり、その護衛が重宝されているとは思いませんでした。


 仕事を探さねばならないと思っていましたが、巫女の護衛ならば今までの経験が活かせるかもしれません。


 さっそくリックたちに巫女の護衛の試験について質問してみました。その試験に挑戦するために――。


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