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3の倍数の求め方の独自の証明方法

作者: 数学系


 今回は3の倍数の有名な求め方である、「ある数の全ての位の数の合計が3の倍数であれば、その数は3の倍数である」について、独自の方法で証明していきます。


『3×10^n(以下特記事項のないアルファベットは全て整数)は3の倍数であるので、ある数の各位の数に3を足しても3で割った時の余りは変わらない。・・・①

3は9の約数であるので、ある数に9を足してもある数を3で割った時の余りは変わらない。・・・②

9を足すと言うことは、10を足して1を引くことと同義である為、ある数の10の位に1を足して1の位から1を引いても、ある数を3で割った時の余りは変わらない。

同じように9×10^nを足す時で考えると、ある数のある位から1を引いて1つ上の位に1を足しても、ある数を3で割った余りは変わらない。・・・③

①を使うことで、3から1桁の全ての3の倍数を作り出す事ができる。

そしてさらに②③を使うことで1の位以外の位の数を自由に変える事ができる。

1の位は①を使うことである数と同じ10より上の位の数を持つ全ての3の倍数を表せる。即ち3の倍数は全て3から①②③を使う事で表せる。


さて、これを元にある3の倍数を文字式におきかえると、

1の位は 3n-a

10の位は 3m+a-b

100の位は 3l+b-c

……

となる。

一番大きな位の数は3x+yと表せる。

そして全ての位の数を足すと、

3n+3m+3o+…3xだけが残る。

よって3の倍数の全ての位の数を足すと、3の倍数になる。

上の様に3で割ると1or2余る数を表すと、1の位が3n-a+1(or2)となり、全てを合計しても3の倍数にはなり得ない。

よってある数の全ての位の数を足すと3の倍数になるとき、ある数は3の倍数である。』


 とても回りくどいやり方でしたが、この考え方の良い点としては応用が効くと言う点があります。

 例えば11の倍数であれば下の様になります。


『11は11の約数なので位の数を下から、

11n+a

11m+a+b

11l+b+c

……

11x+y

と表せる。

よって交互に足していき差を出すことで、11の倍数のみが残る。』


 各位の変動が1:1(-1)では無くとも、これを用いる事が出来ます。

 6の倍数で試して見ます。


『6は12の約数であるので位の数を下から、

6n+2a

6m+a+2b

6l+b+2c

……

6x+y

と表せる。

よって上の位から、数を2倍して引く、2倍して引くという事を繰り返せば6の倍数のみが残る。

1の位には2倍していないので6の倍数以外で成り立つ事は無い。』


 実際、6の倍数の様な位の変動を1:nで表す数は実用する場面は少ないです。

 今度はかなり実用的な1:01(-01)を見ていきます。今回も11の倍数について試していきます。


『11は99の約数であるので、ある数の100の位に1を足し、1の位から1を引いても11で割った余りは変わらない。

そして99×10^2nで考えても、ある位から1を引いて2つ上の位に足しても変わらない事が分かる。

よって100の位を自由にし、下二桁に11nを出す事で全ての11の倍数を表せる。

すると11の倍数は下の位から2桁ずつに区切るとき、

11n-a

11m+a-b

11l+b-c

……

11x+y

と表せる。

よって2桁ずつに区切った数を全て足すと11の倍数が残り、1の位に1〜10を足す事でこれは11の倍数以外では成り立たない事がわかる。』


 3桁ずつに区切って交互に足したものの差を求める7の倍数の求め方はある程度有名ですよね。

 次に分かりにくい例として21の倍数について考えます。これは一見、10の位を1ずつで調整できない様に見えます。しかし、「それでは一番上の位が2の倍数にしかなり得ないのか」と問われるとすぐに反論する事が出来るでしょう。

 それでは、この事も含めて証明していきます。


『21は21の約数であるので、ある数のある位に1を足し、その上の位に2を足しても21で割った余りは変わらない。

ある21の約数を下の位から

21n+a

21m+2a+b

21l+2b+c

……

21w+2y+z

21x+2z   ・・・④

と表せる。

この時、(x,z)=(1,-10)の時、21x+2zは1であるので、下の位にzを足す事で上の位を自由に動かせる事が分かった。

また、その下の位でもwとyを用いて更に下の位にyを足す事で位の数を自由に動かせる事が分かった。

よって、1の位以外の全ての位を自由に動かし、1の位に21nずつ足す事で全ての21の倍数を表せる。

そして④より、下の位を2倍して上の位の数から引く、という事を繰り返す事で21の倍数が残る。

ここで、1の位に2を何度も掛けているが、1〜20の数に何度2を掛けても21にはならない。

よってある数の下の位を2倍して上の位の数から引く、という事を繰り返す事で最終的に21の倍数が得られるとき、ある数は21の倍数である。』


 上の様に、ある数xの位の変動をn:mと定める時、xa+nbで1を表せなければならない、という事が分かります。

 例で言えば、24の倍数について考える時、48の約数だからといって4:8を使っても、全ての24の倍数を表せないという事です。

 ここで疑問に思う方がいるかも知れないのですが、位の変動の比が3:6や2:4のとき、1:2とどう区別すべきかという話です。結局、上の位を2倍して引く動作は変わらないのでは無いか?と。

 しかし、1:2で表せる12の約数ではなく、2:4や3:6で表せる数というのはこの比では、必ず一番上の位で1を作れません。

 まずはこれを証明します。


『xをa:2aで表す時、まずxは a 2a という数、つまり10a+2a=12aの約数である。

xは12の約数では無いので、必ずaの約数を素因数に含む。

よってaとxが互いに素では無いので、お互いにそれぞれ何をかけようと、差は共通の素因数で割れるので、1は作れない』


 それでは24は位の変動の比はどうすれば良いのか。それは互いに素である比を使えば良いのです。つまり、7:2です。

 次は比に1を含まない倍数の求め方について考え、証明していきます。


『整数u(0≦u≦23)と位の変動の比7:2を用いて作られる数を表すとき、各位の数は、

24n+u+2a

24m+7a+2b

24l+7b+2c

……

24w+7y+2z

24x+7z

と表せる。

ここで24x+7zはx=-2,y=7の時1を表せるので、この式で全ての数を表せる。

下から、n桁目の数を7倍し下の位の数の2×7^(n-1)倍から引く事を繰り返した時、24の倍数とu×7^(桁数-1)が残る。

ここでuが0の時は残った数が24の倍数であり、uが1〜23の時は24の倍数とはならない。uが0の時、元の数は24の倍数であり、この式は全ての24の倍数を表せる。

よって、下から、n桁目の数を7倍し下の位の数の2×7^(n-1)倍から引く事を繰り返した時、残った数が24の倍数になれば、ある数は24の倍数である。』


 ここまでの証明を振り返り、

「ある数xの位の変動の比が1を含む、或いは比の値が約分できない互いに素である数同士で構成された比であり、その比をa:bとすると、xm+an=1を作れるとする。

その時、aとxが互いに素であれば任意の数の下から、n桁目の位の数をa倍して上の位の数のb×a^(n-1)倍から引く事を繰り返す。

a,bとxが互いに素であれば上から、n桁目の位の数をb倍して下の位の数のa×b^(n-1)倍から引く事を繰り返す)事で、残った数がxの倍数であるかどうかで、任意の数がxの倍数であるか見分ける事が出来る。」という事が分かりました。

 a、又はbが1であると計算も楽で実用的です。


 次の問題として2などの数はどう扱えば良いか考える(偶数が2の倍数であるということはさておき)。

 勿論1:2の比を用いて考えることもできますが、1:0を用いる事とどうなるのかを考え、証明していきます。


『2は10の倍数であるので、整数u(0≦u≦1)と位の変動の比を用いて数を表す時、その数は下の位から、

2n+u

2m+a

2l+b

……

2x+y

と表せる。a,b,c…yは自由な数であるから他の位に関わらず、かつ2で割った余りを変えること無く各位の数を変えられる。2n+uは全ての数を取り得るので、この方法で全ての数を表せる。

よって2n+uが2で割り切れる時のみ、表した数は2で割り切れる。』


 この方法で、5(下1桁が5の倍数、0と5)や10(下1桁が10の倍数、0のみ)などが説明できます。

 10^nの約数の倍数の判別に使う事が出来ます。

 4の場合はどうなるでしょうか。1:00の比を使い、下2桁で判別する方法はかなり使われていますが、2:0では出来るのでしょうか。答えは否、残念ながら出来ません。4と2が互いに素ではなく、それぞれ何を掛けて和を求めても1を作れないからです。

 しかし、1:2を用いて判別する時、3桁目以上の位では2を2回掛けるわけですから、それ以降は必ず4の倍数となり、下二桁のみで「10の位を2倍して1の位から引いた時、4の倍数になると、4の倍数でである」と言えます(かなり実用的?ですね)。


 ここで最後に今まであえて触れてこなかった問題について説明します。位の値で本来あり得ない数字が登場し得る点です。例として21の倍数の100の位と10の位を1と定めた時、本来その数は存在しませんが今回紹介した方法では、|1|1|-5|または|1|1|16|という本来位に入る筈の数字の範囲を超えてしまいます。

 しかし、位の持つn桁が×10^nを表すという性質を見るに、数学的には何の問題もなく計算でき、数字として扱える事が分かります。なんなら、|0|0|105|でも|2|1|-95|でも計算出来てしまうのです。

 それでも位があることにより、計算がしやすくなっているのは確かです。|2|1|-95|^2なんてどう計算していいか混乱してしまいます。

 次の論文では位の持つ意味について探究していきたいと思います。


 長々とつまらない論文を読んで下さり有り難うございました。


あなただけの倍数の判別方法の求め方。

1.好きな数を選びます(素数が良い)。

例…19


2.a×10^nに近い倍数を探します(aは小さめで)。

例…19(20-1) 95(100-5) 399(400-1)


3.位の変動の比を求めます。

例…2:-1 1:-05 4:-01


4.数字が互いに素か確かめます。


5.比のルールに従って任意の数を判別します。

例…3116

→6×2+1=13

→13×2+1=27

→27×2+3=57=19×3 よって3116は19の倍数!



訂正 7/5(月)



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― 新着の感想 ―
[良い点] 面白かったです。 少し流れがユークリッドの互除法に似てるかな? とか思ったり……。 いや、似てないか。(笑)
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