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砂漠の渡し屋

作者: 柊谷

世界大戦【WW3】が収束し数十年後の月日が経った【黄昏】には少しばかり過去の影響を受けている場所が存在した。

その場所の名は【黄昏砂漠】、黄昏内に存在する巨大な砂漠である。

黄昏内唯一の砂漠にして最悪の場所となっている。

その原因はWW3が関係しており、黄昏砂漠の近くで戦闘が行われていた過去がある。

異能力者同士の激しい戦闘によってこの砂漠一帯の環境が大きく変化し、その影響で巨大な生物が住み着くようになっていた。

しかし、この砂漠は交易の為には欠かせない交易路であった。


そこで一部の人間達が集って起業したのが【渡し屋】であった。

渡し屋とは黄昏砂漠を無事に渡らせると行った契約の元に賃金を貰う立派な仕事である。

しかし、そこにもやはり優劣が付いていた。

数ある渡し屋の中でもひときわ有名なチームがいた。

チームの名は【三人衆】

その名の通り3人でやりくりしており、最大の特徴はその3人全員が女性である事だった。

女性の渡し屋と言うこともあって有名になっていく一方、その実力を疑う者も存在した。

しかし現実は噂通りであり、各々が得意とする分野をしっかりこなしており「3人だけでも十分だ」と言わせるほどである。

そんな彼女たちは今日も砂漠の端から端へとお客さまを運んでいるのであった。


「ひーふーみー……今日も結構な乗船人数だね」

「あぁ、それぐらい私達の船が安心出来るって事だよ!…私達はそれに応える仕事をするだけだよ。エミちゃん」

「ふふっ、そうね。いつも通り仕事をしましょう。浅見さん」


エミちゃんと言われた女性。エミッタ。

金髪でショートに整えられた髪に控えめな胸、頭に被った帽子は日除けの為なのか深々と被られており時々陽の光によって映し出された可愛い顔がチラチラと見える。


一方、浅見さんと呼ばれた女性。

黄緑色の髪で二つに分けて下ろしている。

赤いメッシュを入れているのが特徴的だ。

アクセサリーに十字架を使っており、十字架が好きなのかよほど信仰深いのかは不明だが、そのガサツな態度は傍から見れば信者とはとてもじゃないが思えないだろう。


「…さて、そろそろ出航時間だね。縄を解いてきてくれるかい?トルン」

「うん!分かった!」


そう言って元気よく駆け出していった少女と思われる小柄な女性。

名はトルンと呼ばれており、白く綺麗な長い髪は1本に編んで垂らしている。

そんな事を払拭するかのような特徴的な羽根と頭の輪っかが存在する。

このような者を世間は【亜人】と呼んでおり、十数年前に亜人が発見され人類とのいざこざも存在したが現在は締結しており、この通り亜人と人類は手を取り合って生きているのであった。


船から降り、陸に固定していた縄を解こうとした時「待ってくれ〜!」と遠くから声が聞こえてきた。

トルンが上を向くと正面から一人のフードを被った男が猛ダッシュで走ってきているのが見えた。

しばらく待つと男は到着し、肩で息をしながら「ま…間に合った…?」と聞いてきた。


「許可証はちゃんと持ってる?」

「あぁ、これの事だろう?」


男は懐から1つの紙切れを取り出した。

そこには政府公認の許可証を証明する印が付けられており、正真正銘本物だと分かる。

それを確認したトルンは「間に合ってますよ〜どうぞ!」と道を退き、船へと招待する。


「お客さん1人追加だよ!!」


そう言って元気よく報告した後、カーテン奥から先程の男が「どうもすみません」と遠慮がちに入ってくる。

男が腰を下ろしたのを確認すると、エミッタが声を上げる。


「それでは皆様お待たせしました。これより船を出航させますので揺れにご注意ください」


そう言って懐から小さな鐘を取り出して鳴らす。

すると船のエンジンが起動し、前へと進み始める。


「これより数時間の度になります。どうぞごゆっくりお休みください」


そう言ってエミッタは船の先頭に戻って行った。


船の出航直後はしばらく何も出来事が起こることはなく、みな好きなことをしている。

ある者は本を読んだり、子どもをあやしたり、窓を眺めたり。

まるで飛行機やバスでの長時間移動のように、落ち着いた様子で過ごしていた。

しかし、中にはソワソワとした者もいた。

それは特別怪しいということは無く、いつ来るのか。いつやって来るのか。何かを待っている様子の者が少数存在した。


船が出航してから1時間後、突如船前方から金の音が聞こえてくる。

カランカランと、何か異常を知らせるようなけたたましい音が鳴り響く。

それに呼応して人々はみな窓を覗いている。


「この鐘の音はなんだ!異常事態か!?」


フードの男が立ち上がり前に行こうとした。

しかし、そこで亜人であるトルンに制止させられる。


「お兄さん落ち着いて。大丈夫だよ」

「大丈夫って…この鐘の音は異常事態だろ……」

「大丈夫だよ。まぁ、異常事態なのは確かだけどこれも一種のイベントだから楽しんでいってよ」

「イベント…?」


男はわけがわからなかった。

船内を見回してみると異常事態だと言うのに誰も慌てようとしていない。

むしろ、慌てていた自分が疎外感を受けているようだった。

何より、彼らはこれを待っていたかのようにこの状況を喜んでいる。

男が動揺しているとトルンがまたも口を開く。


「これより護衛によるモンスターハントが行われます。宜しければ窓から覗いて見てください。」


男は言われたまま窓から船の先頭を見た。

そこには浅見とエミッタが立っていた。

エミッタの手には鐘の付いた杖を持ち、浅見の両手には拳銃が握りしめられていた。


「一体何が始まるんだ?」


男がポツリと呟くと、隣にいた中年の男性が男に振り向き答えた。


「モンスターハントだよ。あんた…モンスターハントは初めてかい?」

「えぇ、渡し屋の船に乗るのも初めてでして…」

「なるほどな。ならこいつは見ておいた方がいい!こいつを見たら他のモンスターハントなんて見てられないぞ!」

「そ、そんなにですか…」

「あぁ、この渡し屋はとにかく他の渡し屋とは安心感が違う。そして何よりあの浅見と呼ばれる護衛の人の戦いっぷりと来たら…おっと、話は終わりだ。あとは見たほうが早い」


そう言って中年男性が指を指す。

男もつられて前を見るとそこには1匹の巨大な魚が彼女たちに飛びかかっていた。


「危ない!」


そう思ったのも束の間、浅見は左手に持った拳銃を魚に向けて発射した。

バンッと重い音を立てると同時に、魚は血を撒き散らしながら船の上に落ちていった。


「よし!まずは1匹!」


巨大な魚を撃ち倒した浅見は絶好調であった

彼女は戦いを好み、戦いに飢えていた。

自らを強いと自覚しており、このモンスターハントに関しても1度も負けを知らなかった。


「やっぱり浅見は強いわね。頼もしいわ」

「へへっそうか?ま、こんな魚に負けるようじゃ私も底が知れてるしな!」


そう言いながらもまた1匹と倒していった。


「ここはデザートサーモンの産卵場所なのかな…怒らせちゃったかな。」


エミッタは船内に落ちた魚を触りながらそう呟いていた。

そして屋根の上に移動した浅見に対して


「このデザートサーモン達、繁殖期で気が立っているから球は殺傷性の少ないものにして!私はトルンを呼んでくるから!」


そう言って船の中に入っていった。

1人残された浅見は、


「やれやれ繁殖期か。そいつは悪いことした…な!」


そう言って残りの弾を全て捨て、別の弾を装填していく。


「さて…ここからは殺し合いじゃない。一方的なじゃれ合いと行こうか!」


そう叫びながら飛んできたデザートサーモンを次々と撃ち落としていった。

仕切りの布を退けてエミッタが船内に入ってきた。

エミッタはトルンの居る場所に真っ直ぐにんでいった。


「トルン、このデザートサーモン達。繁殖期で怒っているかもしれないから鎮めてくれない?」

「うん。分かったよ!」


そう言ってトルンとエミッタはまた外へと飛び出していった。


外に出てトルンが目をつぶり手を握る。

しばらくするとトルンは目をゆっくりと開いた。


「うん、確かにこの子達怒ってるよ。『邪魔をするなー!』とか『俺が守る!』とかそんな感じ」

「やっぱり怒っているのね…トルン。お願いしてもいいかしら?」

「もちろんだよ!そのために私はいるんだから!」


そう言ってトルンは再び目をつぶりじっとしている。


(デザートサーモン達ごめんなさい!私達は直ぐに去るからどうか上を通らせてください!お願いします!)


トルンが強く心の中でそう話していると次第に飛びかかってくる魚は減っていき、次第には1匹も現れなくなっていた。


「ふぅ…何とか分かってくれました!」

「えぇ。ありがとうトルン」

「えへへ」


エミッタがトルンの頭を撫でていると屋根から浅見が降りてくる


「なんか戦い足りねぇな〜」

「もう…また何かあるかもしれないし体力は温存しておいてよ?」

「へいへい」


浅見はそう流しながら寝転んで昼寝を始めた

それを見たエミッタは諦めたのか再び前を見つめる。

エミッタがそんなふたりのやり取りを楽しく眺めながら船内に戻っていった。


船内は先ほどの戦闘を見た興奮が抑えられないのか熱狂していた。


「やはり浅見殿の戦闘は素晴らしい!あの魚達を全て見事に撃ち落としていらっしゃる!銃の腕前はとても素晴らしい!」

「いやいや!あのエミッタさんも素晴らしい観察眼をお持ちだ!」

「なんの!実際に鎮めたのはトルンちゃんだ!彼女も素晴らしい!」


やんややんやと人々が彼女たちを褒めたたえていた。

それを聞いていたトルンは気恥ずかしそうにしていた。

そんなトルンに男が近づいていって横にドサッと座り込んだ。


「いやぁ、すごいものを見せてもらったよ。いつもあんな感じ?」

「あ、はい!まぁ、大体は浅見が頑張ってくれてますので!」

「確かに、あの浅見って人相当強いな。彼女なら何とかなりそうだ。」

「えぇ、実際に何とかしてもらっています」


そう2人で笑いながら話していた


「ところでトルンさん?お聞きしたい事が」

「ん?どうしたの?」

「いや、あの魚を鎮めたのってトルンさんじゃないですか。あれってやっぱり…異能なんですか?」


男は疑問に思った事を素直に聞いた。

異能とは、WW3以降の世界で一般的に認識されておりここ黄昏内では大半の人が異能を扱うことが出来るのである。


「あー、あれの事ですか。私自身詳しくないのですが恐らく異能の一種だと思います!」

「なるほど、生物の声を聞けるのか。」

「はい!こちらからも喋りかけられるので結構楽しいですよ!」


男はそれを聞いていた微笑みながら壁に背をつけて再びボーッとし始めた。

それにつられてトルンもまた、休憩を始めた。


「やっと半分ってところですかね…」

「そうだな…」


船を出して約2時間。

砂漠特有の蒸し暑さや日照りがエミッタ達を襲っている。

普段から砂漠を渡っているとはいえ、暑さには慣れない様子だった。

船内は冷暖房が完備されているので幾分かはマシであった。

エミッタは立つのが疲れたのかその場に座り込み、浅見は相変わらず寝転んでいた。

暑さで疲れているのか、2人の無言のやり取りをしていた時、突如浅見が起き上がり拳銃を引き抜いて辺りを警戒し始めた。

その行動から異様さを感じ取ったエミッタが浅見に話しかける。


「浅見……もしかして、見た?」

「あぁ、バッチリとな。おかげで目を覚ましたよ。」

「分かったわ…舵はどっちに取ればいい?」

「正面は確実にダメだ。右……面舵に取ればいい…と思う」

「了解。その相手は貴女に任せてもいい?」

「あぁ、久々の強敵だ。血が騒いできた!」


浅見が臨戦態勢に入ったのを確認すると、エミッタは船を面舵に取りながら笛を吹いた。

鳥を呼ぶような鋭い笛の音が船内に響き渡る。

「本日二度目か!」と喜ぶものはおらず、普段と違った音に違和感を感じていた。

男はわけも分からず、ふとトルンの方へと振り向いた。

そこにはトルンが恐怖の表情で緊張しているのが分かった。


「おいトルンさん。あの笛の音は一体どういう意味だ?」

「今の笛の音…あれは危険度レベルが高い時に鳴らされるの……最初になった鐘。あれは余程のことがなければ心配がない普通程度の時に鳴らされる。けど笛は違う…笛は死人が出るような災厄の時だけ使われるの…!」


この音で警戒レベルを区別するシステムは渡し屋全てが共通であり、低い時は船内にある鳴子が鳴らされ、普通の時は鐘を鳴らして、高い時は笛を鳴らして区別しているのだった。

そして、今この笛の音を鳴らされたということは大変な自体が起ころうとしているという事だった。

男はそれを聞いて立ち上がり、船の先に向かう通路の方へと歩き始めた。


「お、お客さん!そっちは危ないです!この中にいてください!」

「あー、なんだ。手伝いに行くだけだ。」

「え!?お客さん同業者ですか!?」

「いや…それは違うけど」

「ではなおさら行ってはいけません!お願いです!戻ってきてください!」

「大丈夫、こういったことは前から経験してるし多分大丈夫!」

「お客さん!!」


男はトルンの制止を聞かず、半ば強引に外へと出ていった。

外に出るとそこには拳銃を構えた浅見と舵を取るエミッタの姿があった。

背後から出てきた男の気配に気付き、2人が振り向いて目を見開く。


「あんたなんで外に出てきたんだ!?死ぬから早く戻れ!」

「そうよ!ここは今から危なくなるから戻ってください!」

「そうは言われてもな…死人が出るかもしれないんだろ?」


そう言われて2人は動揺する。


「えぇそうよ。死人が出るかもしれない。私達は渡し屋。乗せたお客さまを無事に運ぶのが仕事なの。だからあなたも死なせられない。ここは私たちに任せて」

「いや、そこでなんだが…俺も手伝いをさせてくれないか?」

「「は………?」」


男の予想外な言葉に2人が意表を突かれる。

今まで自分たちが守ってきた人からの協力の申し出。

確かに、手伝ってくれるのならなんとも心強いことだろう。

しかしそれ以前に、2人は疑問に思う。


「あんた…渡し屋関係者か?」

「俺か?俺は渡し屋じゃない。ただの一般客だ。」

「???」


尚更わからなくなる。

この男は一体何なのか?現状は敵ではないことが少なからず分かると言った所だろうか。


「あんた、ナニモンだ?」

「俺は…ただの一般客だよ。ほんとに、俺の妻に誓って」


何故妻に誓ったのかは不明だが、彼から悪意はなく純粋に助けたい一心でここに来たことは伺えた。

エミッタと浅見は説得は無理だと諦めたのか今度は落ち着いて話し出す。


「あんた戦闘経験は?」

「多少なりにある」

「よし、ならひとまずOKだ。いいか、よく聞け。これから来るモンスターはおそらくデザートドラゴンと呼ばれる黄昏砂漠に棲む巨大なトカゲだ。普段は地中に隠れて過ごしているが、たまに地上に出て渡し屋を襲っているかなり厄介な相手だ。しかも相当強い。私もサシだと結構辛いのが事実だ」

「へぇ、ドラゴンか。初めて見るな」

「そんな悠長なことは言っていられないぞ……っ!来る!気を付けろ!」


浅見がそう叫ぶと、地中から勢いよく何かが飛び出してくる。

それは大きな羽が生え、トカゲのような姿をしており、まるで絵本の世界に登場するようなドラゴンの姿であった。

ドラゴンは渡し屋の船を見るなり威嚇をするように吠える。

その声の大きさに思わず耳を塞ぎたくなってしまうが、そうも言っていられないのが彼女たちである。

一瞬の油断でこの船が壊滅する恐れもあるこの状況に、怖気付いている余裕はなかった。


男が腰の拳銃を抜き取り迎撃体制に入る。

デザートドラゴンが浅見達の元に降りてくる。

男は銃の照準をデザートドラゴンに向け、引き金を引く。

それは火薬の破裂音が無く、まるで水鉄砲のようにビュッと飛び出た。

弾は無く、水の塊だけがデザートドラゴンに向かって飛ばされている。

そして水がドラゴンに命中する。

ここで予想外のことが起きた。

水はドラゴンの表皮で止まらずに体内へと貫通していく。

やがて水がドラゴンの後ろから現れ、貫通したことを認識させる。

ドラゴンは体を貫かれた痛みで怯んでいる。


「あんた……今のはなんだい?」

「今のは特殊弾薬 ウォーターバレット だ。こいつを撃つと加圧された水が勢いよく飛ばさせる。生物程度なら貫通はするぜ」


男は拳銃を見せながら説明する。

ドラゴンは再び船を見据えると咆哮する。


「中々面白いものを見せてもらったよ。これはお返ししないと…なっ!」


そう言って浅見もう一丁の拳銃を取り出す。

そうして二丁拳銃をドラゴンに向ける。


「チェックメイトだ!すぐ楽にしてやるぜ!!!!!」


そう叫んだ浅見は両手の拳銃を撃つ。

パンパンパンと二丁の拳銃は火花を散らす。

放たれた弾丸の何発かはドラゴンに命中する。


「命中したな?私達の勝利だぜ」


そう言って浅見は拳銃をしまう。

「どういうことだ?」と男が疑問に思っていると、ドラゴンに異変が起こる。

ドラゴンが急に苦しみだしたと思うと次の瞬間には地面に落ちていった。

ドラゴンの巨体が地面に叩きつけられ、大きな音がなる。

その音が戦いの終わりを告げたのか、船の中から歓声が湧き上がった。


「あんた…一体何をしたんだ?」


水間が不思議そうに尋ねる。

浅見は後ろのエミッタを見て笑いながら振り返りこう答えた。


「企業秘密」


◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇


船は無事砂漠を渡りきり、港に到着する。

途中撃退したデザートサーモンやデザートドラゴンは街の者に引き渡された。

男が船から出てくると外で浅見、エミッタ、トルンの3人が待っていた。


「ふふっ…初めての渡し屋どうでした?」

「あぁ、すごい体験だった……」


男は満足そうに答える。


「ちなみに!全ての船がこんな感じではありませんよ!今回のドラゴンなんて…撃退できるのは僅かだと思います!!」


トルンが元気よく説明する。


「今度会う時は是非手合わせ願いたいね。」

「もちろん受けて立つぜ?」


浅見と男がにこやかに話す。

男が3人と別れようとすると何かを思い出したかのように振り返る。


「あっそうだ…浅見さん」

「はい?」

「伝言『たまには顔見せに来い』だってよ」

「えっ!私の親を知ってるの!?」


浅見が聞き返すも、男はそのまま去っていった。

しばらく呆けているとハッとし、ふたりの方を向いて気まずそうに話す。


「あ〜……その〜……近いうちお休みいただいても?」


それを聞いた2人は驚いた表情で顔を見合せ、やがて笑いながら答える


「「私達も連れてって!」」


浅見は恥ずかしそうにしながら「勝手にしろ…」と答えたのであった。

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