1-2 【東條タケル】
一人一人のスマホのバイブが鳴り出したのは、俺らが洞窟に逃げ込んで間もないときだ。さっきと同じクリーム色のアイコン。そこから出ている吹き出しには、
【逃げ込めてよかったね♪チュートリアルは、まだ続くよ〜。このゲームRPG2-7では一人一人がスキルを二つもっているよ!!一つはスキル名が分かっているメインスキル。もう片方は何かも分からないサブスキルだよ!メインスキルの名前はあとで個チャで一人一人に送ります!あっ、スキル名が分かるだけでは使えないんだよ!なぜ自分がそのスキルなのかを考え、普段の自分を理解しなきゃダメなのです!】
ピコンッ!
一人一人のスマホが鳴り出す。いつの間にか友達になっているクリーム色のアイコン「RPG2-7」。新規メッセージを見てみる。
【東條タケル
メインスキル:雷騎士
サブスキル:???】
なんなんだサンダーナイトって。なぜ俺がンダーなのかも分からない。そしてこの名前のダサさに驚いている。
「なんなんだよ。これ...」カズトが怒りを込めてボソッと呟く。
ここまで、必死で周りを見ていなかったことに気が付いた。
呆然とスマホを見ている人、その場に座り込んでいる人、泣いている人...そうだ。この洞穴には、クラス全員がいない。クラスメイト二十三名(一名の不登校を含めれば二十四名)中ここには二十名しかいない。三名はあの化物に...。俺は誰がいないのか辺りを見渡す。頭の中でクラス名簿を思い浮かべる。五十音順に一人ずつ考えていく。まず男子から。
浅井リク、柏木ショウ、上条ハル、木下カズト、古泉シュウゴ、氷宮ソラ、近衛サトル、今野カヤト、杉島タクト、田嶋タケシ、時川レン、あとは、俺、東條タケルの十二人のはずだが二人いない。あ、杉島タクトと時川レンがいない!死んだのか...。では次は女子を見るか…
池坂ホシネ、影山キョウカ、神崎コウ、三条スズ、 鈴風リン、滝沢カオル、月崎ミカ、真野イチゴ、福野ハナ、藤谷サキ、藤谷マキ、真嶋ユキの十二人だが...真嶋ユキがいない!あれ?あそこにいるのは影山キョウカ!?なんでここにいるんだ?あいつはもう半年学校にきていないはず...
そんな時
「あっ!スキルできた!」という声が聞こえた。