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曇天
ため息をついたけれど、幸福は逃げず、不幸にもならず。道路の白線を踏みながらまっすぐ歩いたが何も起こらず。
自分は何をしているのか、その言葉を何度頭の中で呟いたか。時々口からも飛び出る。
小綺麗な服を着た人としかすれ違わないスーパーの前。駅からちらほら出てくる人も結局革の手袋に質のいいコートを着ている。パン屋に入り、97円の塩バターロールを買うところで携帯が鳴った。確認すると、彼からのメッセージだった。読んでいると、もう一件通知が来ているのに気づいた。何も考えず開くと、私の頭の上は曇天がくっつき肩にかけて土砂降りの雨を降らした。ずっしりと重くなった肩を抱きながら足早に家に向かって、部屋に入るなり私は崩れ堕ちた。家では雨を降らせることのできないことに、腹を立たせたらしく私自身から雨を降らせるように身体にとぐろを巻いたので、私は身動きすら取れなかった。