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かしこい捨てられ子猫。ちょいオヤジ

掲載日:2017/12/03

ちょっと間抜けな野良猫を見ていて思いつきました。

一応ここのジャンル分けだと童話? かと思ったので童話に入れましたけど、あまり子供にお見せできないのでR15です。

夕方にはまだ遠い、良く晴れた午後。

ささやかな繁華街の、とある路地。

人目を避けて荷物を置く小さな少年がおりました。

「ごめんね……」

涙を浮かべた少年が開く段ボール箱には、小さな子猫が一匹。

白黒ぶち模様のかわいいかわいい、小さな子猫。

何もわからない子猫は少年を見上げて、ニャアと鳴きます。

「ごめんね……」

もう一度謝る少年。大粒の涙をこぼしながら、子猫を撫でました。

首を傾げた子猫は、またニャアと鳴きます。

少年は震える指先で掴んだペンで、箱に「ひろってください」と書きます。

そして見上げる子猫をもう一度撫でると、走って去っていきました。


子猫はしばらく待っていました。

誰も来ません。

ニャアと鳴いてみました。

誰も来ません。

少年の去っていった方を立って眺めました。

誰も来ません。

ずっと見ていました。

誰も来ません。

ニャア。

猫は独りぼっちでした。




よっこいしょと箱から出た子猫は少年が書いた文字を見た。

泣きながら震える手で書いた拙い文字はかろうじて「ひろってください」と読めた。

はあ、とため息をついた子猫はやれやれと首を振り、少年が落としていったペンを取る。

流ちょうな人間文字で子猫の考え付く注意書きを書き連ねていく。

「頭いいです。トイレすぐ覚えます」

「躾済み。柱で爪とぎしません」

「エサは簡単。カリカリで文句言いません」

「散歩不要。犬より手軽です」

「無駄鳴きしません。こっそりマンションで飼えます」

それから首をかしげてちょっと考えると、売り文句を書き足した。

「かわいい子猫、家に一匹いると疲れたあなたの癒しになります」

「一人暮らしがさみしいあなたに」

「かわいいしぐさにちょっとワクワク。無垢な瞳にあなたドキドキ」

一回ペンにキャップをかぶせてじっくり眺め、ウンウンとうなずく子猫。それからふと思いついて、もう一度キャップを取る。

「かわいい女の子なら一緒の布団でOKです。猫ベッドいりません」

書き終わった箱をまた眺め、もう一言書き足す。

「きれいなお姉さんも同衾可」

二ヘラと笑ってよだれを垂らした子猫は段ボール箱を表通りに引っ張り出し、どっこいせと中へ入りなおした。


これはとある街角の午後のお話。

現実には浅知恵がかわいい猫が多いですね。

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― 新着の感想 ―
[一言] 爆笑しました!大好きです、こういうの好き! 「カリカリで文句言いません」 私はずーっと犬派ですけど、こんな子がいたら連れて帰っちゃうかも(同衾は猫本人に断られるか微妙)
[良い点] 家でダンボールに書いてきてからでなく、その場で直接書くのは幼い少年の浅はかさゆえか、と思っていたらここまで大きな伏線だったとは…… 口角が上がりました
[一言] すこ ......続きが読みたい.............。
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