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Butterfly Weave  作者: 空鳥
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第二章:Ben & Lucas

お久しぶりです。空鳥です!

第二章完成しましたので、投稿させていただきます。

今回は、ルーカスとベンの知り合ってからのお話です。

よければ、自己満感が満載ですが、お付き合いいただければと思います。

――俺たちは、いつも一緒だった。


 ベンは俺の同期生として海兵隊に入隊した。もちろん、その他にも数名、同期生はいたのだが、最初の訓練でベンとペアを組んだことで、俺はベンと知り合うことになったのだ。それが元で、俺が少佐まで昇り詰めるきっかけであり、人生最大の失敗点だったと思う。

 太陽が焼き尽くすように照り付ける砂浜で、上官に横一列に整列させられている時、訓練にあたって、心構えを耳鳴りが残るくらいの大きな声で体に刻み込まれ、声が枯れる寸前の大きな声で復唱させられて、己の体に嫌というほど摺りこませられる。

 ようやく一段落して上官が世間話を始めて、他の隊員たちがふっと胸を撫で下ろす頃、俺は他の隊員とは違い、逆に肩肘を張っていた。そんな時、隣にいたスパイキーヘアーの男から肘でつつかれた。

「なぁ、お前、そんなに気張らなくてもよくないか?」

「はぁ?」

 ベンはいつも髪ばかりをいじっていて、時間には遅れるし、約束は忘れるのが日課。そんなルーズなやつは嫌いだったから、他の同期生よりも遠ざけたい存在だった。むしろ、話しかけられるのですら遠慮したいくらいだ。だが、いやおう無しにベンは俺に話しかけてくる。

「だってよ……」

「ほぅ? 俺の話が聞けないか? お前たち……」

 この後、こっぴどく怒られたのは言うまでもない。これくらいで終わるのならば、単なる笑い話で済むのだが、神は俺を見放したのかと思うくらい不運な出来事は連発するのだった。なぜなら、ルームメイトまでもベンと組まされたからだ。

 それから、一緒にお酒を交わようになると、どんどんエスカレートしていくのであった。それは、ベンに夜遊びに連れまわされたある日のこと。ダーツ、ビリヤードなどありとあらゆる遊びを強要された後、酒場で酒を浴びるように飲まされて、夜も更けていく時間になっていた。

「おい、ベン。そろそろ、帰らないと、また看守に、怒られるぞ」

「なぁにこまけぇこと言ってんだ! まだまだ夜は始まったばっかだぞ!」

 ベンが景気よく底の縁が傷だらけの木製で出来たビアマグを掲げると、周りもベンの饒舌さに乗せられて、周りも絡み酒になっていき、結局、店が閉まる間際まで飲み明かしたのだ。

「いい度胸だな。ベン、ルーカス。貴様ら二人一組で仲がいいことは讃えよう。しかしだな、何時だと思っているのだ! おまけに二人して酔いどれじゃないか! 私も酒が分からんではない。酒の匂いは最高だ! だがな、我らは軍人なのだぞ? 恥を知れ!」

 寮についたら看守が腕組みをして仁王立ちしていたのだ。当然の如く、看守には怒られるし、挙句、罰として兵装の手入れを二人だけでさせられるはめになった。

 ベンとは何度も離れたいと神に懇願した。しかし、そんな願いは一縷の望みもなかった。

 そんな中でも、ベンを単純に「すごい」と感嘆する場面もあったのは事実だ。それは、俺が初めて部隊統括に任命された想定演習の時だ。極度の緊張から、単調な策になってしまい、後手に回ってしまっていた。焦燥に駆られている中、ベンが肘でつついて、俺を呼ぶ。

「おい、ルーカス」

「うるさい。今、策を練り直してるんだ! 黙ってろ」

 ベンは俺に戦闘日記と呼ばれる、自分の戦果を書き記す手帳を押し付けて、歩いていく。俺はベンが何をするのかわからず、ベンの歩く姿を見ていると、

「お前の策は必要だ。でもな、今の状況じゃ、今の作戦じゃ瓦解しているのは、お前が一番よく分かってるだろ? もし、ここで弱音をあげんのなら、俺がどうにかしてやんよ。そこでうんちく垂れながら見てな!」

 ベンは言葉を吐き捨てて、数人を連れて敵の側面へまわりこもうとしていた。少数精鋭の奇襲をしかけるために。ベンはものの見事に奇襲を成功させ、一時を凌ぐことに成功した。その無謀とも言えることをなんの躊躇もなく行けるベンの姿に釘付けにされたのだ。いや、圧巻されたのだ。拳に力が篭った。すぐさま、俺は陣形を整える指示と、補給線を強める指示をして、次の策を練り始めた。ベンに負けないために。

 ベンが奇襲から帰ってくると、真っ先に俺のところへやってきて、鼻高々と誇った顔を俺に見せ付けた。

「どうだった? 俺の素晴らしい行動力は」

 俺は無言のまま、一発はたく。

「ちょ、ルーカス。何しやがる」

「お前は無鉄砲すぎるんだよ」

 ベンは髪をかき回しながら、鼻で笑う。

 その後は、なんとか形勢を建て直し、辛勝することができたものの、ベンの奇襲は隊列を乱す行為だと、俺が監督不行き届きでこってり教官から怒られた。

 それからというもの、ベンと二人で組むことが多くなり、こいつにだけは負けないように、努力を怠らなかった。中国の兵法書などを読み漁っては、策の知識を入れ込んで、射撃は人一倍訓練をして、ようやく今の少佐になったのだ。


――俺たちは同じものが好きだった。


 俺とベンが組んで少し経った頃、ようやく二人して休暇をもらえた。ベンはなぜか休暇が分かった途端、無邪気な子どものように話しかけてきた。

「なぁ、ルーカス。今度、お互いの故郷に戻ろうぜ! ぱっと遊びに行こうじゃないか」

 俺はお気に入りのキャメルを懐から取り出すと、残りのキャメルが最後の一本になっていた。

「ほれ、お前のその白くて細い愛人も外で待ってるから、ついでに……な?」

「んなもん、すぐそこで買えるだろうが」

「休暇までこんな窮屈な檻の中にいる気か? この檻の中には、華やかな甘ったるい匂いもなければ、理性を吹っ飛ばすこともできねぇ。ただ、硝煙の匂いとダンスするのは嫌だね」

 ベンは一人で社交ダンスをしながら、俺を見る。そして、俺に手を差し伸べる。

「ふん。まぁ、一理ある……か。ただ、お前はいつも夜遊びしてるだろうが。それに、お前と踊るのは御免だね」

「つれねぇなぁ」

 こうして、休暇に互いの故郷を回ることになったのだ。ベンが基地から泥だらけのトラクターを借りて、ベンの故郷へと向かった。ベンの親だから、やんちゃなイメージをしていたのだが、意外にも家族は、勤勉で敬虔深く、初対面である俺でも、丁重におもてなしを受けたことには、終始、驚きを隠せなかった。

 数日後、俺の田舎に向かおうとする頃には、お互い遠慮も完全になくなり、道中の田舎町に寄り道をしては、数少ない甘ったるい空気を肺腑の奥まで吸い込んでいった。こうして、俺の町へと入った時には、古いラジオで聞くギターのシャキシャキした音楽にも聞き飽きて、町で唯一の映画館へ行った。

「おいおい。ルーカス、映画見るのかよ」

「いいだろ? もうギターの音を聞きすぎて、教官が教訓を語った以来、久しぶりに耳鳴りがしそうだ」

「ははっ。まぁな。どれ見るよ」

 二人は一瞬の沈黙の末、指をさした。

「んだよ。同じか」

「ベンには難しいんじゃないのか?」

「アホ言え! 俺だって神は信じてる」

 それは、キリストとプロテスタントの宗教戦争中を題材とし、その中で出会った二人の恋愛物語だ。

「それに、ルーカスだって恋愛ものは似合わないぜ」

「はっ。俺は純粋だ」

 二人して、見合うと鼻で笑いあいながら映画館へと入った。そこで切符を買いに受付へ行くと、受付嬢から声をかけられた。

「あ、あの、人違いだったらごめんなさい。もしかしてルーカス?」

鋭くさわやかな声、長くてフランス人形のような髪、甘いランの花の匂いで思い出したのだ。俺の幼馴染であり、初恋の……。

「もしかして、フェイスか?」

 フェイスは頬まで垂らした前髪の触覚を何度も揺らして頷く。俺は耳たぶに異様な熱を感じながらも、フェイスに微笑む。

中学卒業以来、別々の学校に進学して会っていなかった。だから、声をかけられるまで全く気付かなかった。あどけなくて、お人形みたいだったフェイスが大人びていて、綺麗になっていたからだ。

「あっ、これサービスしておくね。そっちのタフなお兄さんもそれでいいかしら?」

一般のチケットを買ったのだが、フェイスは、特別に出演者サインのあるチケットを二枚差し出した。

「おっ、俺にもサービスしてくれるとは。君の瞳と同じで綺麗な心の持ち主なようだ」

「ふふっ。シャレてる人ね」

「違う。ただのアホだ」

 フェイスは白い歯を見せ、頬に山を作り、無邪気に笑う。その姿を見て、俺はほっと一息つく。なぜだが、安心したのだ。

「そうだ。もうすぐ仕事終わるのかい?」

 ベンが受付の窓ガラスに肘を当てて頬杖をし、フェイスを見つめながら誘う。フェイスは口を尖らせて、小さく首を横に振る。

「まだかかるわね。残念だけど」

 ベンもさすがに引き下がったようで、顔を渋らせたが、俺は違った。

「なら、今夜は空いてるか?」

 俺も無意識の内に、受付のガラスに手をついて、フェイスに迫った。フェイスはおろか、ベンも口笛を一回吹いて驚きを露にする。

「ええ。それなら大丈夫よ。映画を見て待ってて」

こうして、フェイスの仕事がはねる時間を聞いて、ベンと映画を見て時間を潰すことにした。シアタールームにある椅子に座ると、すぐにお尻を動かして、座りなおす。そして、それを繰り返す。

「椅子が小さいな、な? ルーカス」

「そうだな。なんだか落ち着かないな」

 いつも腰掛けのあるゆったりとした椅子に座るせいか、硬い椅子に馴染めなかった。それでも、同じキスシーンをニ、三回見ては、ベンと言い合う。

「あそこのキスシーンはいいもんだな」

「特に音楽がな」

「そうだな。アコースティックギターで、音こそ少ないが、それが逆に雰囲気が出ててるな」

「珍しく同意見だ」

 笑い合っていると、制服から着替えた白いワンピース姿のフェイスが俺たちのもとへと甘い香りをまとってやってきた。ワンピースの上からでも分かるくらいメリハリのついた体はまるでお人形かアニメのキャラクターと見間違うほどだ。

 フェイスを連れて映画館を後にすると、町のおやじのビュウイックを借りて、三人で浜辺に向かったのだった。

閲覧していただきありがとうございます!

前回で改行したらどうかという、ありがたいアドバイスをいただきました。

ただ、あんまりできてないですね……。どうしましょう(--;)

読みやすくする今後の課題としますね!


さて、今回は戦時中のアメリカを舞台に、アメリカの生活をイメージして、

そのイメージをできる限り文面にしてみました。

ある程度、構造は固まっていたのですが、あれやこれやと調べたり、考えたりするうちに

時間が過ぎ去っていました・・・w

ちょっと説明くさいところもあるので、今後、改善したいですw


次回→ 第三章:「Face」

を予定しています!

見てくださる方がいらっしゃるかどうかは分かりませんが、

頑張っていきます!

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