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あの日を拾った

作者: 街灯

某所某日。僕はどこにでもあるような道路を普通に歩いていた。特に予定があったわけでもない。暇だったから運動がてら外に出てみただけだ。この辺は人通りが少なく騒音もないため、いつものようにイヤホンをすることもなかった。


ぼーっとしながら歩き、とあるゴミ捨て場の前を横切ろうとする、その時、あるものが僕の目に入った。


それはまだ眩しい輝きを放ち、真っ赤に染まっている。どこからどうみてもゴミとは思えなかった。


それを手に取ってみる。やはり、まだまだ使える。どこかが壊れているわけでもない。折れているわけでもない。切れているわけでもない。それなのにゴミ捨て場にある。


僕はどうしても違和感を拭えなかった。


とりあえず隅々まで観察してみた。そして、僕は見つけた。その輝きに相応しくない、黒く汚れた箇所を。


その箇所を顔に近づけよく見る。と、それは汚れではなく、何かが書かれた跡のようだった。さして消えておらず、文字の内容はまだ読むことができた。


僕はその文字を見た。


読んだ。


何回も。


そして一人、考える。


これは、見てもよかったのだろうか。


しばらくして、ふとそんなことを思った。


見ないほうが良かったのかもしれない。


まるで、誰かの過去を覗いているような気がして。


傷付けたような気がして。


手に持っていたそれをそっとゴミ捨て場に戻す。


ここに置いておくべきだ。そう思ったのだ。いや、正直悩んだ。持って帰って持ち主を探して届けたほうがいいのかもしれない。でもなぜか、そうするべきではない、と感じたのだった。


僕は赤く輝く『それ』を見ながら、一人息を吐いた。


これを捨てた『誰か』がどんなことを思っていたのか、どんなことを考えていたのかなんて僕は知らない。


そしてこれが良いことだとは思わないし、悪いこととも思わない。


でもきっとこれが、『誰か』が最後に選んだ答えなんだ。考えて考えて考えて考えて、思って。それで導き出した道なんだ。


『誰か』と文字の主に何があったのか、当然僕の知る由ではない。何があったのかなんて、きっとそれは『誰か』しか知らない。


そしてその答えなんて、僕にも、『誰か』にも、文字の主にもわからないだろう。この先ずっとわからないかもしれない。あるいは、答えなんて最初からないのかもしれない。


ただ。


ただ、これだけは言える。


どんな形であれ、どんなに不器用な方法であれ、きっと『誰か』は離れることができたんだろう。




『あの日』の誰かと。




僕はその場をそっと立ち去った。


きっと僕は、書いてあった言葉をしばらく忘れることはないだろう。


だって、その言葉からは―











とびきりの笑顔が見えた。そんな気がしたから。











『一緒にてっぺんに行こうな!! by―』

思いついたものパート2。

キーワードが思いつかない。

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