瑠美亜の遠足
「はあ……」
遠足。これがここまで憂鬱なものになると誰が予想しただろうか。
バーベキューとか水族館とかさ、そういうのならまだいいよ。
なんで、よりによって、“山登り”なのよ!
インドア派のわたしには苦痛そのものだ。日焼けするし。
って、そんなことはこの際どうでもいい。
現状は想定外。ここは山中。
“遭難中”なのだった。
数時間前まではみんなと一緒だったはずだよ?
それがどうして……
確か誰かに足引っかけられて転んで斜面転がって……
木に激突してそこから少し降りて、今に至る。
山道を外れた深い森の中。
人通りはゼロ。
誰かが見つけて助けてくれる可能性もゼロに限りなく近い……
熊が出ないっていうのはまだ救いかな。猪とか猿出るけど。
自力で下山しないといけないのか……
いや、もうこのままここで死のうか……どうせ誰も悲しまないし。
理不尽な生に抗う意味もない……
日の暮れた山の中、そんなことを考え出した。
横になる。もう服が汚れるとか気にしてらんない。疲れた。眠い。
明日生きてたら下山しよう……
雀の声がする。
あ……これ、死んだ?死んじゃった?
まあしょうがないか……寒かったし。
わたし、なんで死んじゃったんだろうか。凍死?落下死?
目をあけて起き上がる。
ゴンッ!痛っ!
なんかに頭ぶつけた……
どうやら二段ベッドの上に頭ぶつけて……脇で女の子寝てて……
死後の世界どんなところよ!
女の子が顔をあげる。すごく友達そっくり。
「……霜除さん、起きたんだ?」
「……はい」
「良かったあ!お姉ちゃんの友達がうちに連れてきてくれたんだけど、本当に良かった!」
……どゆこと?
「お腹すいてるよね?なんか食べる?」
ぐう、とお腹が鳴る。
「すみません……」
「いいの!ていうか、同級生だから敬語はやめてほしいなー」
「……もしかして、初原ちゃん?」
「見てわかんなかったの?ひどいなー」
「……ごめん」
「じゃあちょっと待っててね」
そういうと彼女は部屋を出てった。
えっと、まず、わたし生きてる。
遭難して野宿してたところを初原ちゃんのお姉さん(茜さんって言ったっけ)の友達に助けてもらった。
多分ここは初原ちゃんの家。
で、あってるよね?
しばらくして、食パンとバナナ持って初原ちゃんが戻ってきた。
「ごめん、すぐ食べられるのってこのくらいで……」
「ごめん、ありがとう。頂きます」
食パンをほおばる。
この上なく美味しい!空腹補正のせいかな。
食後。
「あのさ、助けてくれたお姉さんの友達って、誰?」
「んー……確か、椎名さん……だったと思う。お姉ちゃんの学校ではそこそこ有名人らしいよ」
「学校の有名人って……」
「あ、不良とかそういう意味じゃなくて、霜除さんと一緒でオカルトとか研究してるらしいよ。本当に魔法が使えるとか言われてるの」
「へえ……お礼のついでに話してみたいな……」
「お姉ちゃんに相談してみようか?」
「いいの……?ごめん頼みます」
「わかった……あ、もうこんな時間じゃん!霜除さん、わたしの制服の予備貸すから着替えて!学校行くよ!」
「え、でも……」
いじめの標的のわたしと仲良くしてるのバレたら初原ちゃんまでいじめられる……
「いいからいいから!」
「……ごめん、借ります」
一分もかけずに着替え。
「…じゃ、わたし、先に行くね!」
初原ちゃん置いて学校にダッシュ!
って、もう追い付いてきた!
その日の放課後。
茜さんに椎名さんの家を教えてもらった。
大きなお屋敷。きっとすごいお金持ちなんだろう。
椎名さんってどんな人なんだろうか。
ドアベルを、鳴らした。
…まず最初に謝罪します。
「これ、全然遠足の話じゃないじゃん!ごめんなさい!」
あと高校生の方が約二名、名前出てます。
一応、補足ですが、瑠美亜と美里はもとから仲が良かったのですが、ある件から瑠美亜がいじめられるようになり、巻き込むのを恐れて瑠美亜は美里と会わなくなりました。
ここまで読んでくださり、ありがとうございました。




