罪人の末路。
注意と警告
・この小説はもとになった自作小説をBLに改編したものです。
・残酷な描写も少しだけ出てきますので、絶対に真似しないでください。
・作中にでてくる数世紀後の無法地帯というものは空想です。
・BLの表現を微弱ながら含みますが、アダルトな描写はありません。また、ストーリー重視なので、あまり絡みがありません。
以上を踏まえた上で読んでください。
時は数世紀先。場所は無法地帯と化した"アジア"の中に属する日本。さらに絞り込むとトウキョウ。
ここでは、たった今一つの生命の存続が危ぶまれていた。
兄さん、兄さん、兄さん…
呼んでる声がする。気のせいだろうか。
朔夜はそっと確かめようと手を伸ばしたはずなのに、動かせない。それさえも煩わしい。今はただ、彼の呼びかけに応じたいのに。
―――何を言ってるんだ、自分は。自ら断ち切ったのに。
朔夜の中で都合がよすぎると解釈され、手を伸ばすという選択肢は消えた。手を伸ばす=許しをせがむということなのだから、今さらそう簡単にできることじゃない。
―――だったらもう、逝ってもいいかな。
―――だって、天秤にかけたのは他の誰でもない君なんだから、夜宵。
一切の光を瞼が遮断すると、朔夜は自分の意識が消えゆくのを感じた。