プロローグ
戦後八十年、終戦の日に。
この島に辿り着いて、ちょっと時間の感覚がなくなっている。数々の魔物が現れ、そいつらを殺し続ける。その繰り返しだ。
朝が来て、夜が来る。なにがあろうが、殺戮の日々は変わらない。人類と敵対している魔物が対象とはいえ、まったく罪悪感がないわけじゃないのだ。今は朝なのだろうが、目がかすんで、世界はとても暗く感じられた。
私と共にいてくれる、相棒の彼女が、かろうじて私の正気を繋ぎ留めている。この世界で私と相棒に、食事や睡眠は必ずしも要らないけれど、精神的な疲労は避けられない。これが一人旅なら、きっと私は発狂していただろう。
「宿屋でのご飯が、恋しいね……」
「いいね。そうやって先のことを考えておこうよ。未来への希望があってこそ、私たちは旅を続けられるわ」
島を歩き回れば、私たちに魔物が押し寄せてくる。正直、大して移動する必要すらない。島は小さくて、その島を目指して海から次々と敵は上陸してくるのだ。
海洋生物っぽい奴らが向かってくる。クラゲが空を飛んできて、片っ端から私は殴り倒した。剣は使わない。敵が小型で、素手で殺すほうが手っ取り早いのだ。相棒は魔法攻撃で、もう少し大きな敵の集団をまとめて倒してくれていた。
「レベルアップまで、あと、どれくらいかしら」
「考えないほうがいいよ。まだまだ目標レベルは先なんだから」
アドバイスしてくれてる彼女も、精神状態は私と似たようなものだろう。私たちは、互いを支え合う杖のようだった。この世界を救える存在は実質、私たちだけで、その責任の重さを二人だけで支えなければならないのだ。
幸い、ゴールが近いことはわかっている。魔王軍を倒し、世界を救うのだ。それが私たち二人の存在理由だった。