【おまけ】《スライムとメイドの小休止②》
夜、ギルドの宿舎。
焚き火を囲む部屋の片隅で、今日もスライム・マサキはぷるぷるしていた。
いや、どちらかといえば――震えていた。
彼の両脇では、二人のメイドが、目に見えぬ火花を散らしている。
「……で、ありんすけどね。イリシャはん、さっきからスライム様にベッタリ過ぎやしませんかい?」
「あらあら、何をおっしゃるんどす? マスターが“あてのひざ枕が落ち着く”って、じっとしてはったんどす」
「ふぅん……その場のノリで寄っかかっただけでござんしょ。スライム様、ちょっと離れんしゃい!」
「こらこら、無理に引き剥がすんはよろしくないわぁ。マスターは今、癒されたいんやどすえ?」
「癒すのは、わっちでじゅうぶんでありんすッ!!」
ぶちっ、と音が聞こえた気がした。
レナがハンマーを取り出しかけ、イリシャは笑顔のまま銃の安全装置を外しかけた。
スライム:ぷるぷるぷるぷるぷるぷる(←全力の拒否表現)
そのとき、ガチャッと部屋の扉が開いた。
「あっ、やっぱりいた~! ブラックフォージの人たち!」
……例の変態が、笑顔で現れた。
「今日のお礼にさ~、俺んとこ空きベッドあるんだけど、君たち泊まってかない? 暖かいよ?」
「……ちょっとイリシャはん、そこの焼却対象、片付けといてもらえやせん?」
「あらあら、焼くより吊るしたほうが長う楽しめますえ?」
「なんで!? 好意じゃん!? 俺、優しさのカタマリだよ⁉」
「あんたは腐った干物のカタマリでありんしょ。さっさと塩にでも浸かって寝てなせぇ」
「ふふ……あてら、マスター以外の男に用はおまへんのどすえ?」
「……ぐはぁ……ッ!!」
うずくまる。
だが、口元は笑っていた。
「サイコーだ……ッ! やっぱ俺、このパーティ推すわ……!」
扉がバタンと閉まる。
しばしの沈黙のあと、再び、レナとイリシャの視線が交差した。
「……で、続きは?」
「ええ、おあいこどすえ?」
ぷるぷるぷるぷるぷる(←泣いてる)
こうして俺の安息は、また今日も訪れなかった。




