第四章 激闘!殲滅リザードマン
ギルドの朝は、いつもより少しざわめきが長引いていた。
冒険者たちが依頼掲示板の前に群がり、新たに貼り出された討伐依頼に目を光らせている。
その一角――静かに一枚の紙を見つめる少女がいた。
「……スライム様、ちいと厄介な匂いがしとりんす」
腕を組んで振り返ったレナの声には、微かな緊張が混じっていた。
その視線の先、貼られた依頼用紙には――血生臭い戦の気配が漂っていた。
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【依頼内容】
《リザードマン集落の制圧》
近隣の交易路を襲撃する獣人系モンスター群が確認された。
複数の被害報告あり。集落の壊滅および指揮個体の排除を要請する。
報酬:銅貨40枚+素材分配
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レナ
「リザードマン、巣を作ったようでありんす。交易路の襲撃は放っておけん……討伐の要請でありんすな」
マサキは小さく跳ねると、スライム体の奥底から淡い魔力の糸を走らせ、
空中に淡く光る魔力糸で文字を浮かべる。
――「やる。」
イリシャ
「ふふ……うちらのマスターらしゅうて、あて、うれしゅうなりますわ」
「せやけど……指揮個体がおるってことは、こら簡単にはいかしまへんな」
レナ
「メイドとはいえ――いくさ場とあらば、わっちとて黙っちゃおりんせん」
「いざ――行きんしょうぞ、スライム様」
リザードマンの村。
それは、“冒険”という言葉では収まらぬ、血と鉄と魔の試練だった。
三人は静かにギルドを後にする。
陽光が高く昇るよりも前に、新たな戦場が彼らを待っていた。




