街への帰還〜ギルドへの報告
ギルドの扉をくぐった瞬間、騒がしい空気がピタリと止んだ。
受付嬢のユリが、ペンを落とした音がやけに大きく響く。
「……え? 嘘、ほんとに帰ってきたの……?」
レナは堂々と胸を張って宣言した。
レナ
「当然でありんす。わっち達にかかれば、廃村の一つや二つ、ただの野良犬退治でありんす」
イリシャが、くすっと笑って横に立つ。
イリシャ
「おおきに。素材も、魔石も、証拠も、すべて持ち帰ってまいりましたえ。……マスターが、おひとりで戦地の中心に陣取ってくださったおかげどす」
マサキはスライム体から、淡い光の魔力糸が流れ出す。それが、宙に文字を浮かべた。
『任務完了。被害最小。素材確保。怪我なし』
「……凄い!いつの間に文字まで……」
受付嬢ユリが呆れたように、それでも笑顔で頷いた。
テーブルの上に素材入りアイテムボックスがドンと積まれると、周囲の冒険者がどよめき出す。
「おい、あれって例の……」
「全部一団体で持ち帰ったのかよ!?」
「信じられねぇ……!」
ギルド長のリュドーが慌てて現れ、素材の確認を始めた。レナは隣で頬を赤らめながらガッツポーズ。
レナ
「やったでありんすッ……! これで今月の宿費も完璧……それどころか、スライム様に上質な布団を献上できんす……!」
イリシャ
「あては、マスターに新しい腹巻を……ふふ、ええ絹の奴どすなぁ……」
そのとき――受付奥の鐘が「カラン」と鳴った。
「正式報告!、パーティー名
ブラックフォージ
【依頼名】廃村カリュドの調査
【ランク】E(新人向け)
【内容】村周辺の簡易偵察。現地の異常を確認し、報告する
【報酬】銅貨30枚(+危険報告時に応じて加算)
確認完了! 緊急討伐成功!、素材完全回収!
本日付けで、D級査定に一段階昇格!」
ギルドホールが一気にどよめきに包まれた。
思わずマサキがぴょこぴょこと跳ねる。
レナ
「スライム様ぁ〜っ!! 昇格でありんすぅ〜っ!」
イリシャ
「マスター、ほんまに……かっこええどすぇ……♪」