第三章:街への帰還
森道を、三人は歩いていた。
風は涼しく、鳥の声もどこかのんびりしている。
アイテムボックスには、討伐したモンスターの素材がぎっしり。
重たい荷物を抱える必要もなく、後は街へ戻るだけだった。
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レナ
「ふわ〜、終わった終わった……スライム様、あのスレイヤー素材、かなり高値で売れそうでありんすね。」
レナはストレッチしながら、ハンマーを肩に乗せてにやりと笑う。
返り血を浴びていた姿も、今やすっかりご機嫌だ。
イリシャ
「あれだけの素材を一息で集められたのは……全部、マスターのおかげどすえ」
イリシャがにっこり微笑む。
後ろ髪をゆるく結び直しながら、ちらりとスライム体のマサキを見つめる。
俺は控えめにぷるぷる揺れてみせた。
レナ
「スライム様、街戻ったらさっそく風呂でありんすなぁ〜!
もう泥と血とで、ぬるぬるどころの騒ぎじゃありんせんわっ」
イリシャ
「ふふっ。今日は“あて”が洗う番どすえ? マスターの隅々まで、ていねいになぁ……♡」
レナ
「ちょっ、あてってアンタ……毎回順番飛ばすのやめなされ!」
俺は、ぽよんと跳ねて抗議。
洗うとか順番とか、スライムに必要なのかはともかく――
二人とも、笑っていた。
森の出口が見えたころ、街の灯がぽつぽつと灯り始めた。
静寂の戦場を抜けた俺たちは、笑い声を連れて――
街へ、帰る。