激突!ホブゴブリン
レナ
「さァて……その面、砕けるかな?」
地を裂くような踏み込みとともに、わっちはハンマーを振り上げた。
重量と遠心力を活かした横殴り。真正面から受けたら、肉も骨も一緒に吹き飛ぶはず――
しかし。
「ッ……!」
ガギィン!!
衝撃音。火花。
“異様なホブゴブリン”――奴は、刃こぼれした巨大な斧を水平に構え、 わっちの一撃を真っ向から受け流しやがった!
「さすが、ボスの側近クラス……!」
まるで風を切るように軽やかに斧を捌く動作。見た目のごつさに反して、重心がまるでブレていない。
――だが、それは……わっち一人に対する対処でありんす!
「そこやッ!!」
声とともに、影が滑り込む。
イリシャ
「あんたの注意、全部レナはんに向いてまんなぁ」
草を裂き、地面を滑るように――あては、スライディング突撃。
ホブの背後、左脚にカランビットを振るう!
「――これが“狩人の刃”、お命ちょうだいしますえ!」
刃がアキレス腱に食い込む。手応え、十分!
ぶちぃっという嫌な音とともに、ホブの動きが止まり、左膝が崩れ落ちた。
レナ
「イリシャはん……ええタイミング!」
チャンスは逃さない。
わっちは即座に腰のホルスターからMk23 SOCOMを抜き、狙いをつける。
「……おめぇ、目ぇが良すぎるのが欠点でありんすよ」
パンッ!
火成弾が右目を撃ち抜いた。閃光、爆裂。ホブが咆哮をあげる。
イリシャ
「逃さへん。次は――」
バイポッドをセットする暇もなく、構えたまま腰だめ撃ち。
「Barrett M82、反動、覚悟……!」
バンッ!
今度は左目を精密に狙撃。スコープ越しでなくとも、弾丸はホブの眼窩に吸い込まれるように突き刺さった。
「さァて、雑魚どもは──順番に死んでもらいましょか」
スコープを覗きながら、周囲のゴブリンたちを一体ずつ狩ってゆく。
逃げ惑う敵も、茂みに隠れた者も――**バンッ、バンッ!**と、正確に仕留めていく。
レナ
「今しかねぇでありんす……ッ!」
両目を潰され、膝を突いたホブ。
それでも斧を手放さず、呻き声とともに立ち上がろうとする。
――無駄だ。あんたは、もう“詰み”でありんすよ。
「んじゃ……さらばでありんす、怪物さん♡」
両手でハンマーを高く振り上げ、落とすは、正確無比な一点――
ズドォオォォォン!!!!
地が砕け、ホブの頭部が地面に叩き潰された。
脳漿が、破片が、血飛沫が――夜闇に弾けた。
静寂。風が、再び吹き始める。
マサキ
「勝った……」
少し離れた茂みから見ている。レナとイリシャが背中合わせに立っている。
ふたりとも傷ひとつなく、敵のど真ん中を突き抜けた。
「あれが……俺の仲間だ」
スライムの小さな体の中で、熱が脈打つ。
誇らしくて、悔しくて、でも――前に進もうと思えた。




