アビスブレイド
ワイバーンの火球は僕の盾で全て防ぎ、ミリーさんは弓で狙い射るが矢はワイバーンの近くで勢いが落ちて落下している。
「レーヴェくん、全力をぶつけるからその後はよろしくね」
「にゃあにゃ」
ノワールはミリーさんに猫パンチをして止めさせたというより、魔力を乱して阻止した。
「さすが闇属性の精霊獣ね、風属性持ちのワイバーンよ、倒す術はあるの?」
「にゃ」
ノワールはレーヴェの足元に行き、指示する。
「ノワール、剣にしたよ」
「にゃあ」
剣状態にしたシルバースフィアの刀身に闇属性が帯び、銀の剣が漆黒の剣になった。
「にゃ」
「分かった。『武技 飛翔斬』」
ミラお姉ちゃんが得意な牽制技、この時僕が放ったのはとてつもなく黒く巨大な斬撃でワイバーンを真っ二つにして倒してしまった。
「にゃあ~」
「『飛翔斬』なんてダサい名前、あれは『アビスブレイド』なんかカッコイイ名前だね」
「レーヴェくん、今のが精霊魔法よ」
精霊により、人とは違う魔力を使えるため、武技と合わせる事が可能、魔剣の場合は人の魔力を変質させているが
「魔剣の場合は作り手によるかしら、ガロックレベルの鍛冶師なら魔力の変質は50%くらいね」
「ガロックさん、凄いんだ」
「まぁ、あのおじいちゃんの鍛冶の腕は凄いわよ、それにシルバースフィアもレーヴェくん用に完成されているもの」
エルフもドワーフも長寿に生きる種族、年齢は聞かない方がいいよね
ワイバーンの死体を回収しに向かう
「レーヴェくん、見て」
ミリーさんが抱えているのはエメラルドグリーンの大きな石
「これがワイバーンの魔石、エメラルドグリーンなのは風属性を持っている証拠よ」
アイテムボックスからハーピーの魔石を取り出して見比べるとハーピーの魔石の方は僕の拳くらいの大きさで濁った緑色
「ハーピーならクイーンくらいじゃないといい魔石は取れないわ」
「なるほど」
「ワイバーンの肉は絶品よ」
ワイバーンの肉だけ切り分けて、全てをアイテムボックスに収納
「ミリーさんが全力出していた場合って?」
「魔力の枯渇で倒れるからレーヴェくんが私を背負って移動ね」
う〜ん、ミラお姉ちゃんより重いと思う
「レーヴェくん、誰かと比較した?」
「そんなことないよ」
夕方頃にマルタ王国の国境検問所まで辿り着き、ミリーさんは冒険者カード、僕はステータスカードを見せて入国した。
「今日は宿で寝れるわ」
「ミリーさん、僕、お金ないよ」
「そんな物、冒険者ギルドで売ればなんとでもなるわよ」
国境に近い街に着き、さっそく冒険者ギルドへ向かうのであった。




