打ち上げ
産まれた龍皇の赤ちゃんは真白で鱗がないためとても柔らかく温かい
「名前どうしよう」
「キュ」
「僕が付けないとダメなんだ」
「ヘリオス、ヘリオスにしよう」
「キュ〜」
悩むことなく、直感で名前を決めた。
このヘリオスはレーヴェの死後、人の姿になり勇者を鍛え導き、共にすることになる。
「レーヴェさん、レストランに送れますわよ」
「そうだった、馬車を用意するから」
ヘリオスのことはフィクスに任せて屋敷を出てアイテムボックスから馬車を出す。
「レーヴェ、馬は?」
「これ、ゴーレムで作った馬車だから馬はいらないよ あと重すぎて馬で引けないと思う」
「レーヴェくん、いつ作ったの?」
「村にいる時、ガロックさんと合作」
馬車に付ける紋章はヴェルゲート侯爵家の紋章、伯父さんとお祖父ちゃんから許可をもらってるというか僕が何をしても良いらしい
宮廷魔術師潰しちゃってからなんでも許可が出てしまった。
「レーヴェさん、どう動かすのですか?」
「それはね、『アンチグラビティ』これで重さを減らして核となる魔石に魔力を流せば動くよ、このハンドルを右に回すと右に回るし、左に回すと左に回るから」
ハンドルの部分なんかはガロックさんの考え、重くして動けないようにしているのは盗まれないように、頑丈に出来ているからドラゴンのブレスくらいでは潰れない
速度に関しては普通の馬車並、本気を出せばもっと早く走れるけど魔力の燃費が悪すぎる
打ち上げ会場のレストランへ到着するとミスト先輩が黒いドレスを着て待っていた。
「ミスト先輩、お待たせしました。」
「時間には余裕があるから大丈夫よ」
レストランの中へ入るととても綺麗すぎて光ってみえる。個室へ通された。
「好きな物をじゃんじゃん頼んでいいよ」
「初めてだから分からないですよ」
「「 うんうん 」」
僕と凛ちゃんとイリーナは戸惑っている。
「このサラダは美味しそうですわね」
「このサラダは美味しいから人数分注文だね、この肉とこの揚げ物もかな」
ミスト先輩とコーティは馴れたようにメニューを見ながら注文する料理を選んでいる。
「ミスト先輩、ここにしたんですか?」
「1年生の君たちはまだ知らないと思うけど終業式の日に学校でパーティーがあるんだよ」
「なるほど、先に馴れておけってことですね」
「そういうこと、あとドレスコードもあるからね」
「このドレスを大切に着ないと」
「リン、ドレスは何着も持っておく物なのよ」
「コーティ、ドレス1着金貨20枚は高過ぎです。」
僕、凛ちゃん、イリーナは庶民なんだ、ドレスの値段みたら吐きそうになるよ
「それでも必要なのよ」
「コーティは皇女だからお金の大切さが分からないのです。」
王都でも1月、銀貨20枚あれば普通に生活できる。それを考えるとドレスの値段は確かに高過ぎる。
僕の貯金もドレス程度じゃ減らないけどね
「そうね、民の税金で皇族は食べているのは知っているわ、社会勉強をするために留学しているのだから」
さすがに凛ちゃんも矛を収めた、コーティは留学するため、国からの援助を断り、従者や影などを従えない
生活費は自分で稼ぐといった条件を皇帝に叩きつけて留学しにきた。
「コーティ、ごめんなさい」
「リンの言っていることも理解できるわ、貴族は見栄を張るのが仕事みたいな物なのよ」
凛ちゃんとコーティが喧嘩しているがミスト先輩はお酒を1口飲んで泥酔状態
「レぇーヴぃェきゅん、これおいしいよ〜」
「ミスト先輩、それフォークですよ」
「じゃあ〜これ」
「それはお皿ですよ」
こんな感じで打ち上げが終わり、支払いを済ませて ミスト先輩は家の馬車に乗って帰って行き、僕たちも屋敷へ帰った。




