レーヴェ、ヴェルゲート侯爵家へ
レーヴェが暴れたその日の夜、パツキン伯爵邸
「兄上、私の髪の毛の仇を」
「遅れを取ったお前が悪い、才能のないお前をせっかくのコネでねじ込んでやったんだぞ」
コウーツは魔法のセンスがない、魔力量も文官の貴族としては平均並、パツキン伯爵家は武官の貴族、コウーツの立場はそもそもなかった。
「カーラはいつまで泣いている」
「あんな、化物にーーー」
パツキン伯爵家、現当主ナーゲル・パツキン、宮廷魔術師だが最下位 魔術式を使った魔法が得意 カーラ・カラミネはナーゲルの婚約者でもある。
「カーラ、お前を負かしたやつの名を教えろ」
「レーヴェ」
「兄上、私の髪の毛もそいつの仕業だ」
お前の髪の毛とか知るかよ
「レーヴェという学生か、俺が直々に始末してやろう」
僕が暴れた次の日の放課後、ミュゼお姉ちゃんに馬車に乗せられて僕と凛ちゃん、イリーナ、ミラお姉ちゃんはヴェルゲート侯爵家へ
「ミュゼお姉ちゃんも紅い髪だよね」
「ヴェルゲート家の人間は紅い髪が多いのよ」
「レーヴェ、礼儀作法は大丈夫?」
「大丈夫だと思うよ」
凛ちゃんとイリーナは緊張して固まってる。
馬車が止まり、僕が先に降りて、全員をエスコートする。
「ミラ、レーヴェくんもらってもいい?」
「少し考えるわ」
とても大きい屋敷の中へ
「ミュゼ、ミラ、おかえり」
出迎えてくれたのは紅い髪をした、男の人だった。
「お父様、今日は帰りが早いのですね」
「ただいま、帰りました。リッター伯父様」
「そちらは?」
「初めまして、父クライドと母マリーナの子、ミラの弟のレーヴェでございます。」
「初めまして、リン・サイガと申します。」
「は、初めまして、聖女リリーナの子、イリーナと申します。」
イリーナはテンパったけど完璧な挨拶かな
「君がレーヴェか、マリーナから色々聞いているよ」
お母さんが何を話したか知らないけど、何を話したんだ?
一通り挨拶が終わった後でメイドさんの後をついて行きある部屋へ通される。
中には白髪のお爺さんと紅い髪に白髪が混じったお婆さんが待っていた。
「初めまして、マリーナの子、レーヴェと申します。」
「君がレーヴェか、アレス・ヴェルゲート、君の祖父になる。」
「初めまして、レーヴェくん マーサ・ヴェルゲート、お祖母ちゃんって呼んでね」
初めて祖父と祖母に会うことになった。
夕食はヴェルゲート家で食べることになり、フィクスに伴助さん宛の手紙を持たせて運んでもらった。
食事後
「レーヴェ、ナーゲル・パツキンが君を狙っているようだ」
「第1王子派からの刺客ですか?」
「何をしてくるか分からないが」
「リッター伯父様、レーヴェは私より強いわ」
「お父様、魔法の撃ち合いで負けましたわ」
「いや、それでもな こちらも対策を考えないと」
コウーツの兄の宮廷魔術師をしているのが仕掛けてくるらしい
「僕、Aランク冒険者ですよ フィクスが警戒してくれますし」
「ピィーピィー」
「レーヴェくん、その子はフェニックスかい?」
「はい、精霊界で貰った卵が孵化して従魔になってます。いちごが好物なんです。」
いちごが運ばれて来て、お祖父ちゃんとお祖母ちゃんはいちごを手からフィクスに食べさせてとても楽しんでいる。
「カーラ・カラミネをボコボコにしたのが原因かな?」
「レーヴェ、たぶんそれだ カーラ・カラミネはナーゲル・パツキンの婚約者だからだろう」
「コネで教師にするのはどうかと思いますけど」
「第1王子派が権力を持ち過ぎている現状なのだが」
力技で解決が楽かな?
「それじゃ、喧嘩売って来た相手は片っ端から酷い目に会うことになるってことで」
「命さえ奪わなかったらこちらで対処する。」
僕と凛ちゃんは歩いて、イリーナは馬車で家まで送ってもらうことになった。
「私ももっと強くならないと」
「凛ちゃんは強くなっているけど腕試しする所がないからね」