『グリゴリー・ラスプーチ』
『グリゴリー・ラスプーチ』
歴史上過激に怪しい人物にラスプーチンという人物がいた。
似た名前で超危険人物が世間を騒がせている現代だが、あえて名前は伏せて、過去の経緯を少しばかり綴っちゃうよ。
ひょっとしたらロシア帝国の祟りか、蘇ったのかはたまた転生か子孫かと思える一面があるから恐ろしい。
フルネームはグリゴリー・エフィモヴィチ・ラスプーチン
(Григорий・Ефимович・Распутин)
グリゴーリィ・イフィーマヴィチュ・ラスプーチン
ラテン:Grigorii Efimovich Rasputin)
1869年1月9日。
ロシア帝国、チュメニ州ポクロフスコエ村で生まれたとされているが、本当かどうかは不明である。
1916年12月30日。
ロシア帝国、サンクトペテルブルク(ペトログラード)で誰かが死亡したのは、解剖記録等が有る事からほゞ史実と思ってよさそうだが……。
困った事に、似ている名前の危険人物は、1952年10月7日にサンクトペテルブルクで誕生している。
そしてこの二人、まったく繋がりが無かったとも言いきれない。
かなり遠い線ではあるが、似ている名前の危険人物の父方の祖父はプロの料理人で、第一次世界大戦中にペトログラードの高級ホテル「アストリア」の料理長としてラスプーチンに給仕していた。
ラスプーチンは往生際の悪かった男らしいく、例の人物も同類と観て良さそうだ。
後に詳しく書くが、青酸カリを飲まされても死なない奴が、頭蓋骨を散々に割られても生きていたからと、簀巻きにされている。
ただし、これは後に誇大されたほゞほゞフェイクニュース。
考えてみなくても分かる筈。
頭をカチ割られたドザエモンの遺体である、もはや人間か宇宙人かの区別もつかない。
しかしながら、現代まで残っているDNAを取り出だせるであろう唯一の標本。
ラスプーチンから切り取ったとされるコヤツの男根ホルマリン漬けは、なんと33cmって……。
本当に人間かよ。
ひょっとしたら、大嘘とされている死に様も事実だったりしてと思える。
彼の職業は農民であったが、自分では祈祷僧だと一生涯言い張っていた。
謎とされる部分の多い人物で、殺され方・死に方を含め、どんな大嘘でも一生言い続ければ歴史は真実として残してくれるようだ。
そして歴史はたえず書き換えられている。
コロコロと政策を変えてしまう政治家諸君は、ラスプーチンとその周辺の出来事を見習っているようである。
冗談の塊のような容姿と行動・生態・生き様・死に方から、小説や映画・ドラマにゲームから漫画・オペラ・アニメーションと、肖像権も著作権も主張しない変人は、くまモン同様各業界で引っ張りだこである。
唯一参入していないのは、キャラクターグッズ関係だけだろうか。
髭モジャ変態野郎のキャラクターグッズは、スーパーマニアックなコレクターにさえ売れそうにない。
奇妙な予言や祈祷で人心を惑わし、ロシア帝国崩壊に大きく貢献してくれたラスプーチン君だが、評価は極めて低い。
皇帝にこび売って贅沢三昧の限りを尽くしたから嫌われたのか。
そのおかげで、帝国は崩壊し人民は解放されたのだから、もう少し有難がってやってもよさそうなものだが、悪人面がいけなかったようだ。
実際のところ、御告げが有ったとのたまって畑仕事を途中で放り投げ、さっさと家出しているいい加減な男。
本当にマリア様の御告げが有ったと自身が信じていたのか大嘘なのか、今となっては総てが闇の中である。
1904年には『神の人』と呼ばれるほど立派なペテン師に成りあがっている。
皇族に取り入り、巧妙に催眠術を使って祈祷で皇族の病を治しているかのように見せていた。
今でもあちこちでやっている集団催眠である。
病は気からなどと言うが、どんな病気でも強い催眠術をかければ一時的に回復したように装う事が出来る。
奇跡が起る瞬間である。
一流のマジシャンが催眠術を覚え、欲を出すとラスプーチンの様に出世できる。
私も志した事が無いでもないが、その後の身の安全が保障されていないのが唯一の難点なのだよ、この場合。
そんなこんな、いい加減に貴族・皇族を騙し続けたラスプーチン。
その名の示すとうり【巨根】と絶倫なる精力が評判となり、高貴な御方を囲ったハーレム生活は、当時の記録に『醜態の限りをきわめた淫乱な生活』としっかり残されている。
羨ましい限りである。
どのみちいずれ崩壊するだろう生活であったのは間違いないのだが、第一次世界大戦がコイツの羨ましい生活破綻を早めてくれた。
戦争を歓迎する気はさらさら無いが、ここまで羨ましくもフザケタ奴を葬るきっかけに成ってくれた事には感謝したい。
直接国民から絶大なる反感を買う要因となったのは、皇后とラスプーチンは愛人関係にあるという噂話。
何時の世も噂は怖い。
有る事無い事、まったく無い事でも噂と言う奴は実際に有った事のように広まっていく。
クダラナイ噂で右往左往するのは実に愚かしい事ではあるのだが、アタフタするのが愚かな人間の心理というものである。
個人の心理を利用してロシア帝国を好き放題にいじくり回したラスプーチンは、根も葉もないのか有ったのか判らない噂話に踊らされた人民の集団心理によって、彼の世に葬られるという皮肉な人生をおくった人物でもある。
「あの会社そろそろ危ないよ」といった、根拠のない噂話が広まって、銀行が手を引いて潰れた会社は数限りなく存在する。
風評被害でぶら下がっちゃっても、誰も同情してくれない薄情な時代だ。
そんな事態に遭遇したら、強い意志を持って生き延びるべきである。
何が有っても生きていた者勝ちの世の中。
いざとなったら、根も葉もないふざけた噂を流した連中に復讐する事だって、生きていればこそ出来る話である。
浮気の噂を差し引けば、皇帝に対して【大戦不参加】を説いたり、革命運動激化を考慮して【農民層の減税】などの提言をしているこの男、極めて農民等の弱者側に付いた良識ある知識人と言えなくもない。
皇帝の政策決定に大きな影響を与えた証跡が無い事から、皇室相手に好き放題やっていたというのは噂であって、本当のところは国を案じていた良い奴だったのかもしれない。
もしくは、裏表しっかり使い分けていたとか、二人いたとか、信じ待って何の標本を恥さらしに飾られている今なら何とでも言える、小説のネタにしたら面白そうだ、二番三番煎じでも美味そうだ。
何処が面白いかと言って、こやつの死にざまほど面白い物は無い。
人様の死にざまを面白いとはいささか不謹慎に思えなくもないが、それはラスプーチンを人間もしくは地球人として見た場合であって、暗殺の一部始終を調べているうちに、コイツは明らかに地球外知的生命体だったと実感できる。
どのようにしてラスプーチンは死んだのか。
一・貴族達による暗殺であった。
二・晩餐に誘い、彼の食事に(甘党で虫歯だらけだった。菓子に青酸カリとの記録もある)青酸カリを盛った。
三・ラスプーチンは毒入りの食事を完食。
青酸カリが粗悪だったのか体質が青酸カリを食っても平気だったのか、いずれにせよ毒殺は失敗した。
四・ 食後に祈りを捧げていたラスプーチンは、背後から鉄製の重い燭台で、頭蓋骨が砕けるまで激しく殴打された。
それでも生きている。
エイリアンやゾンビでも、頭を砕かれてまで生きている奴はなかなか居ない。
五・大型拳銃で2発の銃弾を撃ちこまれたのだが……まだ生きていたラスプーチンは、相手に対して反撃したと記録されている。
しかーし、頭を砕かれても生きていた辺りから、かなり怪しい話になっている。
六・さらに2発、計4発の銃弾を受けて倒れたところを殴る蹴る。
この時点で、ラスプーチンよりも殺そうとしている奴の方が悪党に見えてくる。
死人を二度も三度も殺すようなものである。
同一人物の死刑を繰り返し執行するようなものなのだが、まだ生きている。
ひょっとしたら「半分に切り裂いたら2人になるんじゃねえの」と噂されている変態だったのかもしれない。
プラナリアみたいな奴だったのだよ、きっと。
加えて、暴行を受けた後に窓から道路に放り出されている。
七・驚いてくれ、これでもまだ生きていた。
親切な人々は彼を絨毯で簀巻きにし、氷を割って空けた穴に押し込んであげた。
凍りついたネヴァ河は冷たかっただろうな。
八・三日後に遺体が引き揚げられたのだが、なんと検視の結果は溺死だってんだから、生きてたんですよ。
沈められるまで。
九・人間技ではないだろう、どう考えても。
この話、絶対に盛りまくってるだろ。
十・最後に、ラスプーチンはこんな言葉を残している。
『私は殺されます。その暇乞いに参りました。私を殺す者が農民であれば、ロシアは安泰でしょう。もし、私を殺す者の中に陛下のご一族がおられれば、陛下とご家族は悲惨な最期を遂げる事となりましょう。そして、ロシアは長きにわたって多くの血を流すでしょう』
十一・この後、ロシアがラスプーチンの予言どうりになってしまったのは、歴史の示すところである。