第86話:文化体術総合競技会
「……やっぱり、私はディアボロこそが五大聖騎士の末裔だと思うわ」
「私も同感です。五大聖騎士は魔王を封印した後、名前を変えた可能性もありますね。もしそうならば……」
一年生の教室。
シエルとマロンは自分の席に座りながら、キングストン家の家系図について討論をする。
実家から戻ると、すぐに学園生活が再開した。
結果として、俺は五大聖騎士の末裔ではなかった。
家系図を調べたことも説明すると、徐々に学園の噂も収まった。
特にシエルとマロンは残念そうだったが、ホッとしたのも事実だ。
忘れがちなものの、断罪フラグが完全に消滅したわけではない。
今は平穏な日々だが、なるべく目立たない生活を意識したいものだ。
そして、<深淵の聖水>については、クララ姫曰くすでに王宮に移送されたらしい。
厳重な特殊金庫に保管されたため、いくら”魔族教会”と言えども、おいそれとは強奪できないだろう。
扉が開き、アプリカード先生が入る。
教壇に立つと、教室全体に呼びかけた。
「さて、そろそろ皆さんお待ちかねの、"文化体術総合競技会”が開かれる時期が近づいてきましたね」
アプリカード先生の言葉を聞くと、にわかに教室が色めきだった。
無論、俺もまた気持ちが高まる。
――”文化体術総合競技会”。
”エイレーネ聖騎士学園”で年に一回開かれる大きな行事で、日本の高校でいう文化祭と体育祭が合体したようなイベントのことだ。
貴族学校でも文化祭やら体育祭は特別らしく、クラスメイトはみなわいわいと楽しそうに話す。
シエルとマロンも興奮した様子だ。
「楽しみねぇ……。文化祭なんて学園じゃないと体験できないことよ」
「体育祭と一緒にやるんですね。お祭りみたいでウキウキします」
文化祭に体育祭かぁ……。
結局、前世では高校生の身でありながら一度も経験できなかった。
学校生活の華とも言える、夢にまで見たイベント……。
断罪フラグや"魔族教会”、そしてフォルトの件もあるが、まずは思う存分楽しもう。
「例年通り、”文化体術総合競技会”は”オートイコール校”とともに開催されます。日頃の鍛錬の成果を発揮するよい機会なので、精一杯取り組むように。皆さん、気になってしょうがないでしょうから、授業の前にあらかた説明しておきます」
アプリカード先生はため息交じりになりつつも、空中に映像を出しながら説明してくれる。 なんだかんだ、イベントを心待ちにする生徒の気持ちもわかるのだろう。
”文化体術総合競技会”は文化祭、体育祭の順番に開かれる。
最終日は学園の大ホールで舞踏会が開かれ、各々交流や親睦を深める……とのことだった
「文化祭の当日は、四人グループで一つのシンボルを発表してもらいます。きちんと点数がつけられますからね。最後、学園の発展を願って舞踏会が開かれますが、あまり浮かれすぎないようにしてください。特にディアボロさんは節度を守るように」
「はい、俺は大丈夫です。すみません、節度は毎日守っております」
いつものように俺だけ釘を刺され、”文化体術総合競技会”の説明は終わる。
どうにかしてアプリカード先生からも高評価を得たいものだが、なかなか難しい。
何はともあれ、存分に楽しむためこの先も真面目に過ごしていこう。
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