第77話:石板
扉を開くと、宙に浮かぶ巨大な石版が俺たちを出迎えた。
中央には五人の聖騎士、右上には太陽、左下には満月の刻印が見える。
石版全体に記された古代文字は、魔王封印の術式や聖騎士たちの行く末が書かれている……という設定だ。
――これが五大聖騎士の石版……。
もちろんゲームでも見たことはあるが、実際に見ると圧倒される。
威圧感、神々しさ、尊さ……いくつもの感情が胸に沸き起こった。
こういうのを芸術に感動するというのだろうか。
俺には縁がないと思っていたが、どうやら違ったらしい。
もっと近くでみたいな。
生徒に先んじて四人の教師陣が前に出る。
オリーブ先生が俺たちに振り抜くと告げた。
「貴殿らの活躍により、未踏破の古代遺跡グリンピアが攻略できた。一足先に感謝申し上げる。今日この日は、エイレーネ王国にとっても特別な日となった」
その言葉を聞くと、他の三人の先生たちもパチパチと拍手してくれた。
調査隊全員がたどり着くことはできなかったが、頑張りが讃えられて嬉しい。
シエルやマロン、モニカ先輩たちも誇らしげだ。
今度はアプリカード先生が話す。
「それでは石版の鑑賞はここまでとして、本格的な調査は学園と"オートイコール校”で行いましょう。運搬はクロノス先生が担当くださるのですよね?」
「ええ、私の魔法ならこの石版も収納できますので……《無限収納》」
クロノス先生が手をかざすと、石版がシュッと吸い込まれた。
あれはとても珍しい収納系の魔法。
シエルと同じ無属性魔法の使い手のようだ。
オリーブ先生がみなに呼びかける。
「では、グリンピアの調査はこれにて完了とする。各自、転送カードを折り遺跡より帰還しよう」
一斉に転送カードを折る。
眩い光が迸る中、みんなの笑顔が見えた。
光が収まったと思ったら、グリンピアの入り口である石造りの広場にいた。
あっという間だったけど、いつも学園で使われた転送魔法と同じような感じだな。
すでに、アルコル師匠やバッド、デイジーは広場の真ん中辺りで座っていた。
俺たちを見ると、思い思いの反応を見せる。
「おっ、ようやく帰ってきたみたいじゃ。ワシ、やっぱり面倒くさくなって途中で帰ったわ。おい、クソガキ。早くアイス持ってこい」
「俺としたことが、転送カード折っちまったぜ。シャドー二体はさすがにきつかったな。修行が足りねえわ」
「ディアボロ君たちは最後まで生き残ったんだね。やっぱりすごいや」
見知った顔が俺たちの元に駆け寄る。
未だかつて、未踏破だった古代遺跡グリンピア。
みんなのおかげで、無事攻略することができた。
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