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第75話:最深部

「さ、さあ、みんな。第九層に着いたよ~」

「思ったよりすぐ着いちゃったわ。ほんと、ディアボロに会えてよかったわねぇ」

「無事にたどり着いてよかったですねぇ。ディアボロ様と合流できたおかげです」

「当方もまた、其の方らと共に行動する判断を下したことは、最善の選択だったと言わざるを得ない」


 モニカ先輩と和解した後、俺たち四人は第九層に到着した。

 まっすぐ通路が伸びており、奥に縦長の大きな入り口が見える。

 あそこが最深部だろう。

 シャドーなどの強力なモンスターとのバトルを運良く回避できたおかげもあり、体力と魔力は予想以上に残っている。

 モニカ先輩はゴーグルを首にかけており、己の目で外の世界を見る。

 ちなみに、シエルとマロンには全身全霊の超奉仕を約束することで許してくれた。

 もしかしたら、グリンピアの攻略より大変かもしれないな。

 罠に気をつけて通路を進む。

 気配を殺し、そっと中の様子を窺った。

 調度品の類いはまったくなく、殺風景な広場のようだ。

 中にモンスターはおらず、代わりに人間がいた。

 調査隊の面々だ。

 ホッとしたら、リオン先生がまずこちらにに気づいた。


「やぁ、ディアボロ君たちなら、無事にここまでたどり着けると思っていたよ。さすがは一年生のトップ層だね」


 優しい笑顔で俺たちの苦労を労ってくれる。

 ここにいるのはリオン先生の他に、アプリカード先生、オリーブ先生、クロノス先生、ソフィーの五人だけだった。

 教師陣はみんな揃っていたが、バッドやデイジー、アルコル師匠、ソフィー以外のオートイコール校の生徒はいない。

 まだたどり着いていないか、脱出したかのどちらかだろう。

 死んだとは考えたくないところだな。

 何となくだが、アルコル師匠は途中で帰った気がする。

 疲れたとか、冷えたアイスが食べたいとか言って。

 アプリカード先生は俺たちの前に来ると、リオン先生みたく労ってくれた。


「お疲れ様でしたね。皆さんならきっとここまで来れると思っていましたよ。……おや? モニカさんはゴーグルを外せるようになったのですか?」


 不思議そうに尋ねられると、モニカ先輩は得意げに言う。


「ディアボロ氏が回復魔法で治癒を遂行してくれたのだ。結果、当方の視力は完全に回復した。現時点ではゴーグルの必要性を感じない」

「「え!?」」


 彼女の言葉を聞くと、この場にいるみんな(シエルとマロン以外)が驚いた。

 そのまま、モニカ先輩は事の経緯を説明する。

 俺の回復魔法で視力が戻った、という話は驚愕をもって受け止められた。

 リオン先生とオリーブ先生が褒めてくれる。


「モニカさんの視力は一生戻らないと聞いていたけど、治してしまうなんて君は本当に規格外の生徒だね」

「相変わらず、"エイレーネ聖騎士学園”には優秀な生徒が揃っているな。我が"オートイコール校”も負けてられん」


 クロノス先生はさっきから何も言わないけど、口元に静かな笑みを浮かべていた。

 讃えてくれているのだろうか。

 アプリカード先生はパンッと軽く手を叩くと、広場に呼びかけた。


「さて、石版はもう目の前ですが、最後の難敵が待っています。そう、フィクサー・シャドーです」


 広場の奥には重厚な扉があり、その奥にはシャドーの親玉が鎮座する。

 

 ――フィクサー・シャドー。


 火・水・雷の三属性の魔法を操る、大型のシャドーだ。

 複合属性の魔法攻撃には、前世でも相当苦しめられた。

《腐壊光線》を放つモノアイも三つあり、単純に三倍の威力を持つ。

 石版はフィクサー・シャドーが守る部屋にあるので、必然的に戦闘となるのだ。


「全員で戦いところですが、せっかくなので生徒に頼みましょう。成長の良い機会となるはずです。……どうでしょうか、オリーブ先生」

「ああ、賛成だ」


 こんなときまで生徒の課題にしてしまうのは、さすがのアプリカード先生だった。


「フィクサー・シャドーの討伐は、ディアボロさんとモニカさんに頼もうと思います。見たところ、お二人の魔力が一番残っているようですのでね。他のメンバーは最深部に迫る通常シャドーの討伐に当たろうと思います。こちらも十分脅威です」


 アプリカード先生の提案に反対する人はおらず、俺とモニカ先輩がフィクサー・シャドーの相手を、その他メンバーは通常シャドーやモンスターの対応をすることに決まった。

 

「ディアボロ氏と共闘することに、当方も賛成の意を示す。アプリカード氏よ、其の方は好ましい意見を提案する才があるらしい」

「決まりですね。では、フィクサー・シャドーの討伐はディアボロさんとモニカさんに任せましょう。その他のメンバーは、私と共に通路を戻りますよ。それと、モニカさんには言葉遣いの補習を命じます。これで七度目ですね。ディアボロさんも真面目に戦うように」


 少々きつい声で命じると、アプリカード先生は通路を戻る。

 リオン先生だけは頑張って、と優しく励ましてくれた。


「さて、ディアボロ。私たちがいないからといって調子に乗りすぎないようにね」

「私はどんな場所にいても、どれだけ離れていてもディアボロ様が何をやっているかわかりますからね」


 シエルとマロンもまた俺に太い釘を刺し、先生たちの後を追う。

 ……攻略後の超奉仕は、超超奉仕になりそうだな。

 何はともあれ、気合いを入れ直す。


「準備はいいか、ディアボロ氏」

「はい、万端ですよ。一緒に倒しましょう」


 モニカ先輩と一緒に扉を開ける。

 古代遺跡グリンピア最後の敵、フィクサー・シャドーとの戦いが始まろうとしていた。

お忙しい中読んでいただき本当にありがとうございます


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