第7話:健康な身体(Side:マロン②)
ディアボロ様の修行は、日増しに厳しくなっているようだ。
どこかしらに、毎日新しい傷ができている。
“超成長の洞窟”の魔力は濃いので、身体が傷ついてしまうらしい。
倒れてしまわないか心配でしょうがなかった。
でも、不思議なことにディアボロ様は笑顔で過ごしている。
まるで、修行そのものを楽しんでいらっしゃるみたい。
もし私がディアボロ様だったら、絶対に数日も保たない。
身体の病気もそうだけど、それ以上に精神が耐えきれないだろう。
だけど、ディアボロ様は違う。
いくら身体が傷だらけになっても、決して諦めない。
それくらい真剣に、私の病気を治そうとされているのだ……。
主人にそこまで思われるなんて、私は本当に幸せなメイド。
日々、その幸せを感じている。
二ヶ月も経った頃、ディアボロ様は私のところにやってきた。
どうやら、本当に回復魔法を習得されたらしい。
嬉しそうに仰っていたけど、すぐには信じられなかった。
闇属性は基本的に、攻撃系の魔法しか使えない。
魔法の知識に疎い私でも知っていることだ。
逆に言うと、この世界での一般常識とも言える。
ディアボロ様が真剣に目指していたのは知っていたし、絶対に達成できると信じていた。
それでも、やっぱり不可能なんじゃないかと、心の底では思っていた。
そんな気持ちは、この後すぐに消えてなくなる。
ディアボロ様が治してくれようとしたとき、お父さんが立ちはだかった。
昔、私はいじめられていたからだ。
お父さんは、まだ信用できないらしい。
ディアボロ様がとった行動は、想像もしていないことだった。
「頼む……この通りだ。俺はどうしても、マロンの病気を治したい。彼女に元気になってほしいんだ」
そう言って、ディアボロ様はお父さんに頭を下げた。
私はもう言葉が出なかった。
公爵家の次期当主なんて偉い人が、使用人に頭を下げるなんて……。
しかも、今度は私のためだ。
ディアボロ様が頭を下げるのは二回目だけど、以前より強烈に私の心に届いた。
そして、ディアボロ様は回復魔法を使ってくださった。
心地良さに、思わず変な声を出してしまった。
身体を電流が流れるような感覚……。
でも、決して不快ではない。
むしろとても穏やかで気持ちよかった。
私の病気は完治した。
身体がすっきりして、息を深くまで吸える。
明らかに以前より呼吸が楽だ。
目に映る景色もまるで違う。
埃っぽく見えていたのが、すっきりと美しく見える。
口を覆っていた白い布だって取れた。
今までにないくらい……嬉しい。
いても立ってもいられなく、走りだしてしまった。
ずっと、ずっと……こんな風に走ってみたかった。
その夢をディアボロ様は叶えてくれた。
どんな薬でも魔法でも、私の病気は治らなかったのに。
わずか数秒で治してしまった。
しかも、不可能とされていた闇属性の回復魔法で。
――ディアボロ様は、世界の常識を変えてしまったのだ。
こんなすごい人に仕えられるなんて、私は嬉しい。
たしかに辛い目にはたくさんあった。
逃げ出したいと思ったこともいっぱいある。
でも、ディアボロ様は完全に変わられたんだ。
だったら、私は新しいディアボロ様を信じてどこまでもついていくだけ。
――ディアボロ様……私の身体を治してくださり、本当にありがとうございます。
ディアボロ様はただの主人ではなく、私の憧れになった。
一生……いえ、二生、三生、この先もずっとお慕いし続けます。
私の人生はディアボロ様あってこそでございます。
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