第61話:再び学園会議
「お疲れじゃったな、三人とも。怪我がなくて何よりじゃ」
ペル・ペリドから帰還した俺たちは、寮に戻る間もなく大会議室へとやってきた。
クルーガー先生や他の教員に調査結果を説明するためだ。
会議室にいるのは、この前と同じ12人。
学園の先生が勢ぞろいだ。
「では、ディアボロ。話してくれ」
「はい、わかりました。街外れの寂れた教会に不審な人物が集まっているという情報を得まして……」
レオパル先生に言われ、ペル・ペリドでの一件を話す。
これもまた、訓練の一環であった。
「……地下室はもぬけの殻でしたが、有力な手がかりがありました。“魔族真聖典”です。また、俺の生成した《闇の暗黒犬》がフォルトの匂いに反応しました。“魔族教会”とフォルトは、関係があるとみて間違いないと思います」
時系列に沿って、要点のみ話すのは難しい。
でも、どうにか必要な情報は話せたと思う。
クルーガー先生は険しい表情のまま話す。
「やはり、そうじゃったか。面倒なことになりそうじゃの」
「残念ながら、今回の調査ではそこまでしかわかりませんでした。フォルトの行く先がわかればよかったんですが……」
「いやいや、十分じゃよ。よくやったな、ディアボロにシエル、そして、レオパル先生。この後はワシらで相談するからの。二人は下がってよいぞ」
「「失礼いたします」」
挨拶し、俺とシエルは大会議室を出る。
扉が閉まると、肩の荷が下りた気がした。
「報告って、話すだけだけど結構疲れるな」
「ええ、あんなに先生がいればなおさらね」
シエルは肩をトントンと叩く。
肩が凝っているのかな。
悪化する前に《闇の癒し》を使いたいところだったが、さすがにここではやめておく。
まだ会議室の目の前だし、廊下は音がよく響く。
アプリカード先生が鬼の形相で俺を糾弾するのは明白だった。
「二人とも、ちょっと待て」
廊下を少し進んだところで、後ろから呼び止められた。
レオパル先生だ。
「どうしましたか、レオパル先生」
「私たちの報告はまずかったでしょうか」
「いや、そうではない」
レオパル先生は俺たちの前に来ると、厳しい面持ちで告げた。
「暗黒街の調査はご苦労だった。だが、明日からはまた通常通りの学校生活だ。“魔族教会”とフォルトのことも気になるが、お前たちは“エイレーネ聖騎士学園”の学生でもある。目の前の勉学に励むことを忘れるな」
「「はいっ!」」
姿勢を正し、キチッと返事する。
レオパル先生に言われると気合が入る。
そう、俺たちは学生。
勉強と修練を怠ってはいけない。
それと断罪フラグの回避な。
己の力は常に磨くのだ。
だがしかし……とレオパル先生は話を続ける。
「お前たちとの調査、なかなかに楽しかったぞ」
ニカッと笑うと、小走りで大会議室へ戻った。
彼女の笑顔に、心が軽くなる。
いつも厳しいボーイッシュ美人が不意に見せる笑顔。
原作でも、そのギャップにやられるユーザーが多発した。
俺も前世では犠牲者の一人だったなぁ……と思っていたら、周囲の重力が重くなった。
「……ディアボロ?」
「すみません、ぼんやりしてただけです。本当に申し訳ありません」
重力が元に戻りホッとしたとき、シエルが廊下の先を見ながら呟いた。
「ねえ、ディアボロ……」
「ん?」
「本当に、魔王は復活しちゃうのかしら」
シエルの言葉が、ポツリと宙に浮かぶ。
彼女の声を聞いて、顔を見て、改めて決心した。
「魔王の復活は絶対に阻止する。もし復活しようが、シエルもマロンもクララ姫も……みんなは俺が必ず守るよ」
俺が言うと、シエルは静かに笑った。
「それでこそ、ディアボロね」
そう、俺はディアボロ・キングストン。
原作ならば、シエルたちの敵。
だが、この俺は違う。
敵が誰だろうと、何が来ようと、みんなの平和な毎日は誰にも壊させない。
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