第52話:何者かの襲撃
「「ディアボロさん、シエルさん、マロンさん……本当にありがとうございました……!」」
ギルドのロビーに、アラン君たちの声がこだまする。
“睨みし者”から無事に帰還した俺たちは、彼らに改めてお礼を言われていた。
「いやいや、三人とも生きていてよかったよ。君たちが諦めずに頑張ったおかげさ」
「死んでしまったら、もうどうしようもないものね」
「さすが冒険者の皆さんは素晴らしい根性をお持ちです」
アラン君たちは照れていたが、シエルとマロンの言う通りだ。
助けることができたのは、彼らが生きていたから。
冒険者としての粘りのおかげだ。
「私からもお礼を述べさせてください。まさしく、今生の別れを覚悟していました。アラン君たちとこうしてお話できるのも、全て皆さんのおかげです。このギルドに来てくれてありがとうございます」
ドロシーさんも嬉しそうで何より。
涙を拭いながらアラン君たちとの再会を喜んでいる。
隣のシエルとマロンを見ると、二人とも温かい眼差しを向けていた。
「じゃあ、俺たちはそろそろ帰ります」
「まずはしっかり体を休めてね」
「私たちはいつでも力になりますので」
「あっ、ちょっと待ってくださいっ」
席を立とうとしたとき、アラン君に呼び止められた。
「ん? どうしたの?」
「ディアボロさんたちは、この先もクエストを受けるんでしょうか?」
「ああ、もちろん受けるよ。といっても、学園が休みの日しかギルドに来ないだろうけど」
そう伝えると、アラン君たちは顔を見合わせた。
しばし視線を交差させると、真剣な面持ちで話し始める。
「でしたら、注意してほしいことがあるんです。謎の襲撃者に気をつけてください」
「「謎の襲撃者……?」」
気になる言葉を告げられ、俺たち三人は椅子に座りなおした。
「実は……僕たちはクエスト自体は達成していたんです」
「依頼にあった鉱石はちゃんと採取したさ」
「ですが、ダンジョンから帰還する途中……何者かに襲われたんです。お金も採取した鉱石も全て奪われてしまいました」
彼らは淡々と話す。
どうやら、鉱石の採取が終わり荷物をまとめていたら、突然ダンジョンの暗がりから何者かが襲い掛かってきたらしい。
疲労で身体の動きが鈍っていたこともあり、金品を奪われてしまったと……。
暗くてよく見えなかったが、影は人型だったようだ。
ポーションなどの回復アイテムも、そのときに奪われるか破損してしまったとのこと。
その後トキシン・スパイダーの一団に囲まれ、帰るに帰れなくなったそうだ。
「……そんな事情があったのか。大変だったね、三人とも」
「ですので、今後クエストに行くときは十分に注意してください。敵はモンスターだけじゃないということを、身をもって学びました」
アラン君たちは下を向きながら話す。
彼らも油断していなかっただろうが、クエストは一瞬の隙が命取りになるのだ。
とはいえ、ここで得た教訓を活かしていけば、今後は立派な冒険者に成長していくことだろう。
「金品を奪うってことは、正体は人間かしら」
「光る物を集める習性があるモンスターかもしれませんね」
「学園のみんなにも伝えておいた方が良さそうだな」
ドロシーさんは顎に手を当て聞いていたが、やがて思い出したように言った。
「……そういえば、他の冒険者たちからも似たような報告を受けたことがあります。いずれの場合もアランさんたちのときと同じで、クエストが終わったところを襲撃して金品を奪うのです。背格好から、正体は人間だと考えられています」
「僕たち以外にも被害が出ていたんですね」
「疲れたところを狙うなんて、ろくな輩じゃねえよ」
「おかげで死ぬところでした。絶対許せませんね」
ドロシーさんの話を聞いて、アラン君たちは憤る。
ギルドではそんな襲撃事件が起きているのか。
やるせない空気の中、ドロシーさんは疲れた様子で話す。
「クエストで体力が尽きている状態を狙うためか、未だ誰も捕まえられず……手がかりもないんです。このギルドの冒険者じゃないことを祈るばかりですね」
冒険者たちもクエストに集中したいだろうに、変なことを考えるヤツもいたもんだ。
場合によっては、今回のように生死にかかわる事案にもなる。
解決できたら皆も安心してクエストに挑めるだろうが……。
そう思案していたら、思い出したのだ。
「ドロシーさん、この件は俺に任せてもらえませんか?」
「ディアボロさんがですか? ……とてもありがたいのですが、いかんせん手がかりも何もない状況で……」
「大丈夫です、心当たりがあるんですよ。俺が解決してみせます」
これは……ゲームのイベントだ。
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