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第50話:ギルドの依頼

「……《闇の剣劇(ダークソードラッシュ)》!」

『グッアアア!』


 魔力で生成した剣が、ストライク・ボアの硬い牙をあっさりと切断した。

 こいつらの武器は強靭な牙だが、逆に弱点でもある。

 斬られたり砕かれるとバランス感覚を失うのだ。

 つまり、今が仕留めるチャンス。


「ディアボロ大回転斬り!」

『ガアアア!』


 《闇の剣》で一刀両断。

 太い首を一撃で斬り落とした。

 こいつらはCランクだが、油断は大敵だ。

 仲間が集まる前に各個撃破する。

 もう片方の角を回収しながら、戦闘前に考えていた仮説を思う。


 ――やはり、回転すると威力が増すんだ。


 仮説が実証されていくのは気持ちがいいな。

 そう思いながら角を拭いていたら、後ろの木陰がガサリッと動いた。

 大丈夫、新手ではない。

 それくらいは気配でわかるのだ。


「お疲れ様、ディアボロ。といっても、その調子じゃ疲れてなさそうだけど」

「相変わらず美しい切り口ですねぇ……惚れ惚れしてしまいます」


 現れたのはシエルとマロン。

 二人ともストライク・ボアの角を抱えている。

 ここは“戻らずの森ノーリターン・フォレスト”。

 学園から馬車で三時間といったところか。

 残暑が厳しい中、俺たちは冒険者ギルドのクエストの真っ最中だった。

 実力をさらにつけるため、授業が休みの日は依頼を受けることにしている。

 いつ断罪フラグが復活するかわからんからな。

 ……と言いつつ、冒険者気分を味わいたいというのも本音だ。

 せっかく異世界転生したんだし。


「二人は何本集めたんだ?」

「私は2本」

「私もシエルさんと同じ2本です」

「じゃあ、あと一体倒せばクリアってことか」


 クエストの内容は、ストライク・ボアの角を8本納品すること。

 つまり、全部で四体倒す必要がある。

 数が多いためか、クエストはBランクだった。

 一般的には高難易度とされているが、俺たちにとってはそこまで難しくはない。

 ちなみに、クララ姫はいない。

 学校がお休みの日になると、彼女は王宮に帰るのだ。

 国の仕事が忙しいらしい。

 なんでも、今は新しい法律の制定に注力しているとか。

 難しそうだ。

 王女様は大変だなぁ。


「よっし、さっさとクリアして帰ろう」

「「は~い」」


 残りの一体を探すため森の中を探索する。

 無論、俺たちの活動は学園にも申請してある。

 まぁ、現実世界でいうバイトのような感覚だ。

 俺は暗黒炎龍を倒したので、特例で冒険者ライセンスをもらった。

 シエルとマロンもまた、ギルド試験をクリアしてライセンスを取得。

 休日はこの三人でクエストに行くのが定番化していた。


「あっ、ディアボロ様っ」

「向こうから来てくれたわね」

「探す手間が省けてよかったな」

『ブルル……』


 五分も探さずに、ストライク・ボアが現れた。

 口から生えるは巨大な2本の牙。

 最後の一匹だ。

 《闇の剣》を生成しようとしたら、マロンとシエルが俺の前に出た。


「最後は私たちが仕留めます」

「ディアボロは休んでいなさい」

「うん」


 彼女らも俺と一緒に鍛錬を積む毎日だ。

 元からめっちゃ強かったが、今ではさらにパワーアップした。

 ストライク・ボアなんて手も足も出ないだろう。


「《体内沸騰(ボディボイル)》」

『ブギャアアッ!』


 マロンは最近、敵の体の水分を飛ばすことにハマっている。

 悶絶する様子が楽しいそうだ。

 とどめの一撃はシエルがかます。


「《超重(ヘヴィ)スタンプ》」

『グェッ』


 巨象に踏まれたかのように、ストライク・ボアの身体が潰れた。

 キレイに牙のところを避けているのは、さすがのシエルだ。

 戦闘は本当にさっさと終わってしまい、無事に角を回収できた。


「すごいな二人とも。瞬殺じゃないか」

「ありがとうございます。でも、もっと努力を積まなければいけません」

「ディアボロほどじゃないわ」


 角を持ちギルドへ向かう。

 また長閑な日々が戻りつつあった。


□□□


「……はい、ストライク・ボアの角を計8本。確かに受け取りました。クエストクリアおめでとうございます。では、こちらが報奨金ですね」

「「ありがとうございます、ドロシーさん」」


 くるっとした茶髪の女性から、コインの入った小袋を貰う。

 受付嬢のドロシーさん。

 たしか20代半ばと聞いている。

 何度も通ううち、すっかり顔馴染みになってしまった。


「それにしても、皆さんはすごいですね。まだ学生なのに、これほどのスピードで成果を出しているなんて」

「いえいえ、俺たちなんてまだまだですよ」


 たしかに、原作でも学生の冒険者パーティーなんて、主人公の周り以外にはいなかった。

 でも、訓練なんていくら積んでも足りない。

 いずれ訪れる(かもしれない)断罪フラグと戦うためにも、俺は努力していくつもりだ。

 もちろん、魔族関連も気になるしな。

 まだ余力があるので別のクエストを探そうか、と相談していると、ドロシーさんが神妙な面持ちで話しかけてきた。


「あの……皆さんの実力を見込んで……一つ頼みごとをしてもよろしいでしょうか……?」

「「頼みごと……?」」


 何だろうな、改まって。

 もちろんいいですよ、と俺たちが伝えると、彼女は少し考えたあと、一息に告げた。


「……お願いです、ディアボロさん、シエルさん、マロンさん。行方不明の冒険者パーティーを助けてくれませんか?」


 絞り出すような声は、騒がしいギルドの中にいてもやけにはっきりと聞こえた。

お忙しい中読んでいただき本当にありがとうございます


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