表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
47/96

第47話:教会の人柱(Side:フェイクル①)

 学園から脱出した私は、森の中を駆けていた。

 どうやら、フォルトは退学処分になったらしい。

 ダンジョンの落盤事故に見せかけて、暗黒炎龍にディアボロたちを殺させる作戦も失敗したようだ。

 仕方がないだろう。

 無能を形にしたような男だからな。

 まぁ、失敗したところで別に構わない。

 元々そこまで期待していなかったのだ。


 収監予定の者は、一度街の収容施設に連れて行かれる。

 そこで諸々の手続きを済ますのだ。

 “エイレーネ聖騎士学園”も例外はないはず。

 木陰に潜み機を窺う。

 学園から街までは、必ずこの幅が広い一本道を通る。

 フォルトにはまだ利用価値があるので、回収する予定だ。


「それにしても、ディアボロは面白いヤツだ……」


 思わず小声が漏れる。

 今まで暴虐だったが、ある日突然優しい人物に変わったという。

 修行嫌いが嘘のように鍛錬を積み、勉学と訓練に励み、他人を(おもんばか)る性格になった。

 何の前触れもなく。

 この現象に、私はある仮設を立てていた。


 ――ディアボロの中には異なる人間が宿っている。そう、この私と同じように……。


 そのように考えれば辻褄が合う。

 外見は同じで、中身だけ変わっているのだ。

 簡単には信じられない話だろうが、私の仮説は真実だと考えられる。

 あの男は今後の計画に支障をきたす可能性もあるが、逆に利用できる可能性もあった。

 よって、しばらくは様子を見ることとする。


「「はっ! はいやっー!」」


 待機していると、馬車が走る音が聞こえてきた。

 フォルトを乗せているあの護送馬車だ。

 さて、雑念は振り払わなければ。

 大事な仕事の時間だ。


「《闇分身》」


 私の身体からゆっくりと、オーラのような分身が現れた。

 分身体は道の中央に出ると、佇んで馬車を待つ。

 思った通り、馬車は目の前で止まった。


「「こら、そこをどきなさい。急いでいるんだ……ぐぁっ!」」


 分身に気を取られた騎士たちを不意打ちするのは簡単だった。

 たしか、騎士はもう一人いたはずだな。


「おい、何があった……うぐっ!」


 護送用の頑強なキャビンから出てきた騎士を倒す。

 これで邪魔者はいなくなった。

 キャビンの中を覗くと、怯えた様子のフォルトがいた。


「フェイクル先生! どうしてここに!?」

「あなたを助けに来ました。まずはこちらに……縄を解いてあげましょう」


 フォルトを外に出し縄を解く。

 身体が自由になるや否や、フォルトは叫んだ。


「お、お前は誰なんだよ! 学園の先生じゃないんだろ!? この僕を騙しやがって! どうしてくれんだ!」

「騙していて申し訳ありません。たしかに、私は“エイレーネ聖騎士学園”の人間ではありません」

「ほら見ろ! じゃあ誰だって言うんだよ!」

「私は……“魔族教会”の人間です」

「…………え?」


 先ほどの威勢はどこに行ったのか、フォルトは力が抜けたような真顔になる。

 ポカンとしては私の顔を眺めていた。


 ――“魔族教会”。


 封印されて久しい魔王を復活せんと活動している教団の名だ。

 愚か者たちからは危険視されることも多いが、私たちの思想こそ人類を導く。


「優秀な人材を集めるため、各地を放浪していました。結果、フォルトさんという素晴らしい人を見つけることができたんです。どうですか? 私たちのところに来ませんか?」

「あ、い、いや……でも……」


 フォルトは怖気づいている。

 ふむ、少しずつ警戒心を解いていくとするか。


「フォルトさん、考えてもみてください。平民でありながら聖属性を持つ、極めて貴重な人材であるあなたをないがしろにしたのは、“エイレーネ聖騎士学園”です」

「え……? い、いったいどういう意味で……」

「彼らはあなたの価値に気づかなかった」


 フォルトの視線が揺らぎだす。

 この男は本当に扱いやすい。

 価値があるとか特別だとか言っておけば、簡単に操ることができる。


「あなたは“エイレーネ聖騎士学園”のような鳥籠に閉じ込められるような器ではありません。どうか……あなたの特別な才能を私たちに貸してくださいませんか?」

「特別な…………才能…………」

「そうです。あなたには特別な才能がある」


 肩を掴んで力強く告げる。

 フォルトの瞳から怯えや迷いは消え、代わりに黒い野心の炎が燃え盛った。


「フェイクル…………いや、フェイクル先生、僕を連れていってください。……“魔族教会”に」

「ええ……もちろんです。これからもよろしくお願いしますね」


 大事な人材を連れ、森の中に足を踏み入れる。


 ――光と闇は表裏一体。


 フォルト…………こいつは良い人柱になる。

お忙しい中読んでいただき本当にありがとうございます

読者様の応援のおかげで、日間2位を何日も維持できており、週間ランキングも2位!!でございます!

いつも応援していただき、本当にありがとうございます!!


さらに……

日間1位までは、あと150ptくらいです!

頂点はもう目の前ですので、引き続き【ブクマ】や【評価】での応援をお願いさせてください!!!


そして月間ランキングは、ななな、なんと9位!

表紙に入れました!!

ここまで来たら、後は1位を目指して頑張っていくだけですので、引き続き応援でお力添えをお願いします!

少しでも面白いと思っていただけたら、ぜひ【評価】と【ブックマーク】で応援をお願いします!

どちらも超簡単で、超重要でございます!


評価は下にある【☆☆☆☆☆】をタップorクリックするだけでできます。

★は最大で5つまで、10ポイントまで応援いただけます!

ブックマークもポチッと押せば超簡単にできます。


皆様の応援は作品の可能性をググッと広げる、とても大きな力でございます!

どうぞ応援よろしくお願いします!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[気になる点] この馬鹿の結局改心は一瞬だけだったのね。 [一言] 利用されるだけされて惨めに死んだら良いよ。
[一言] 改心したり闇落ちしたり忙しいやつだな...
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ