第43話:討伐と落下
「そっちに行ったぞ、シエル!」
「了解! 《重力網》!」
ウサギ型のモンスターが一匹、ダンジョンの奥へと駆けていく。
隠れていたシエルが重力魔法を使い、そいつを捕らえた。
俺も彼女の下へいき、長く伸びた角を魔法で切る。
「これでよしっと」
「マロンさんとクララ姫も無事に集められているかしら」
「あの二人なら問題ないさ」
「それもそうね」
松明に煌めくのはネオ・アルミラージの角。
俺たちは二手に分かれ、依頼をこなすことにしていた。
今あるのは二本だから残り三本だな。
「クララ様、お願いします!」
「はい!」
反対側ではマロンが、ネオ・アルミラージを火魔法で追い立てている。
待ち構えていたクララ姫が蔦で締め上げた。
そのままスパッと斬り落として、角を無事に採取している。
「マロン、クララ姫ー。そっちはどうだー?」
「順調みたいねー」
「あっ、ディアボロ様とシエル様っ。ちょうど今、角を回収したところです」
「今まで見た宝石よりずっと美しい角ですわ」
駆け寄ると、マロンとクララ姫は角を見せてくれた。
光に当たるたびダイヤのように輝く。
ネオ・アルミラージ自体のランクはCだ。
それでも鋭どい角は威力が高くて突進力もあるから、油断していると返り討ちになるだろう。
すばしっこいし、何より彼らの習性が厄介だった。
ネオ・アルミラージはとある強力なモンスターと行動を共にするのだ。
無論、俺たちは学園の講義ですでに履修している。
「ディアボロ様、私たちは二本採取することができました。そちらはどうでしょうか?」
「ちょうど三本集めたところだよ。ということは……」
「「依頼達成~!」」
喜びで、俺たちは天井に向かって両手を突き上げた。
やっぱり、クエストの達成だとかは嬉しいな。
模擬試験と違って、これは本当の人間が頼んだ依頼だ。
自分たちの頑張りが誰かの役に立ってくれれば嬉しい。
とはいえ、まだ終わったわけじゃない。
「さてと、喜ぶのはこれくらいにして、さっさとダンジョンを脱出するか」
「そうね。クエストはこの角をギルドに持ち帰るまでだわ」
「暗黒炎龍も怖いですけど、例のモンスターとも遭遇しないといいですね。丸焼きにするのは楽しそうですが」
「そのときは私も植物魔法で援護いたしますわ」
俺たちが話しているのは、Aランクモンスター、ブレイクバッファローだ。
ネオ・アルミラージはブレイクバッファローの棲み処の近くに巣を作る。
守ってもらう代わりに、自分たちの角の一部を食べさせるのだ。
まぁ、共生といったところか。
あまり長居はせず、ギルドへ戻ることにする。
足を踏み出したとき、後ろから悲鳴が聞こえた。
「ディアボロ、助けてくれ! 仲間が全滅したんだ!」
振り返ると、フォルトが大きな声で叫んでいる。
遠くからでも必死の形相が見えた。
何より、彼の言葉は緊張をもたらした。
「全滅ってどういうことだ!? 何があった!」
「ブレイクバッファローに倒されたんだよ! 運悪く遭遇してしまった! みんな大怪我してるんだ! とても僕だけじゃ治しきれない! 一緒に治してくれ!」
「わかった! 待ってろ、フォルト! すぐ行くから!」
「ありがとう、ディアボロ! こっちに来てくれ!」
フォルトは通路に面した部屋に入った。
俺たち四人も急いで駆け寄る。
扉を開けて中に入ると真っ暗だった。
怪我人はおろか、フォルトも見えないほどだ。
「「怪我人はどこに……うわっ!」」
部屋に入った瞬間、床が崩れ俺たちは真っ逆さまに落下した。
とっさに下を向くと、地面まではおよそ5mほどある。
打ちどころが悪かったら大怪我じゃすまないぞ。
「《闇の反重力》!」
とっさに魔法を発動し、俺たちはふんわりと地面に降り立った。
「みんな、無事か?」
「ありがとう、ディアボロ。ごめんなさい、すぐに対応できなくて」
「おかげで怪我せずに済みました」
「ディアボロさんはいつも冷静ですわね」
三人とも怪我はしていないようでホッとした。
天井を見ると、ぽっかり穴が空いている。
脆くなっていたのだろうか。
というか、フォルトの仲間は無事なのか?
そう思った時、獣の唸り声のような音が聞こえてきた。
『ゴルル……』
「「え! ま、まさか、そんな……!」」
みんなの口から悲鳴に近い叫び声が上がる。
目の間には漆黒の鱗に身を包んだドラゴン。
口から漂うは黒みがかった不気味な息吹。
あろうことか、暗黒炎龍の目の前に落下してしまった。
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